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2012/09/19

座頭市物語 #9「二人座頭市」

録画した日〔2012/8/17:時代劇専門チャンネル〕

オヨビでない・植木等が勝プロにお呼ばれ。
昭和が誇るスーダラ系男子は、ドジでマヌケな座頭市の幼なじみを演じます。
ゆく先々で“座頭市”を名乗り、調子良くオイシイ生活を送っていた盲目の植木等。
20年ぶりに再会した幼なじみ「市」がリアル座頭市だとは気付きません…。
そんな「ニセ座頭市」と行動を共にするのは悪徳ツボ振り女・浜木綿子。ドライ且つビジネスライクに植木等をコントロールします。
心優しいリアル座頭市は、浜木綿子に操られるがまま悪の道に染まる幼なじみにタッグ解消を忠告。
しかし、浜木綿子にメロメロの植木等は「こつこつやる奴ぁ、ご苦労さん」とニセ座頭市稼業を辞めようとしません。
ウルトラマン、仮面ライダーも対峙した「ニセ◯◯」。
これはスーパーヒーローの宿命、我らが座頭市にとっても一つの通過儀礼と言えるでしょう。
なお、ニセモノと本物に対立軸を立てないのが座頭市テイスト。正体がバレたニセモノを悪党から救出、カタギに戻すという手法でキッチリと「封印」しました。
稀代の無責任男&座頭市(ある意味無責任男)という極上の芸達者2人による掛け合いは、さすがに絶品の面白セッション。
しかし、笑った後「やがて哀しき」的にブルーな気分になる、ちょっと複雑な余韻が残ります。
大物として突き抜けた座頭市と、自立できないまま無邪気に座頭市に頼るニセモノ。
20年ぶりの奇妙な旧交は「面白い」ではなく「滑稽な」という言葉がハマるうら寂しいものでした。
同じスタートラインにいたはずの2人に生じた残酷なコントラスト。監督・座頭市がさらっと茶の間に投げかけた、結構重たい人間ドラマだったような気がします。