Translate

2014/04/09

タイガーマスク #105最終回「去りゆく虎」

録画した日〔2014/4/4:TOKYOMX〕

虎の穴ラスボス(タイガー・ザ・グレート)に手も足も出ない伊達タイガー。
敗戦ムード漂う中、いよいよ闘いのエピローグを迎えました。
後輩の苦境に居ても立ってもいられず、いつのまにやら放送席に陣取った猪木。
待望のBI砲復活に昭和の茶の間は大満足ですが、瀕死の伊達タイガーからすれば背広なんか着てねえでセコンドにでも付きやがれと言いたいところでしょう。
そんな背広組BI砲などに目もくれず反則攻撃に拍車をかけるザ・グレート。
すでに勝負ありの状況ではあるものの、この試合のテーマはあくまで伊達タイガーを葬り去る事。
裏切り者をそのギミックごと抹殺すべく、ついに黄金マスクに魔の手を伸ばします。
ザ・グレートが見せたマスク剥ぎは凶器(テーブルの破片)を使う異質な手法。小林邦昭や寺西勇のようなビリビリに破るやり方とは一線を画していました。
自分も一概のマスクマン、商売道具に直接手を掛けるのは良しとしなかったのでしょうか。
ついに素顔を晒してしまった伊達タイガー。
ただ日プロ既存レスラーではないため、武道館および茶の間のファンからすると「Who?」という微妙な感じだったかもしれません。
ヤングライオン期のない「4虎」こと新日の現役タイガーがマスクを脱いだら、きっと同じような空気になるのでしょう。
全国的には無風でも練馬のちびっ子ハウスにとってこの顔バレは青天の霹靂、驚天動地の超巨大インパクト。
「タイガーマスク」と「キザ兄ちゃん」のギミックが崩壊と同時に融合するという、何にも考えてないクソガキには難易度が高過ぎるカオスです。
顔バレして失うものがなくなった伊達タイガーは、グレートニタのような不敵な笑い声を上げ一転攻勢のヒールターン。
サミングや急所攻撃、TV照明にザ・グレートを括りつけるなどハードコアファイトを次々炸裂させます。
これらはもちろん虎の穴で学んだ悪行。ラスボスにしてみればあまりにもキツい自業自得のしっぺ返しとなりました。
伊達タイガーの覚醒に急に張り切り出したのは実況席のBI砲。
プロレスの範疇を越えてしまった愛弟子に対し、上着を脱いで「もうやめてやれよ」といかにも上層部っぽく制止を図ります。
それにしても我らがBI砲の最終話ラストショットがヘタレ系セコンド芸だとは…。
最後にド派手なスポットを仕掛けて欲しかったと思うのは私だけではないはずです。
TV照明によるスクラップ攻撃でラスボスをミンチにした伊達タイガー。いつもながらそのハードコア耐性は驚愕の一語です。
しかし顔バレしちゃったりでこの勝利の後に残るものは何も無し。
虎の穴との最終決戦は伊達タイガーのキャリア最終戦にもなってしまいました。
虎の穴最強の称号などいらない伊達直人という1人の男に戻った伊達タイガー。
ちびっ子ハウスのルリ子さん、およびガキ共へ別れを告げることなく「行けば分かるさ」と海外へ旅立つ決断をします。
いわば置いてけぼりとなったハウス側の面々。
しかしすべてを達観するディーバ・ルリ子さんが、動揺するガキ共に「キザ兄ちゃん」の心情を語り聞かせます。
ここでお涙頂戴シーンなど不要、心の機微と顔芸だけで別れを演出するあたりは男の星座・梶原イズムの真骨頂と言えるでしょう。
なお伊達タイガーが苦楽を共にしたマスクは、馬場さんが一旦預かり入院中の舎弟・ケン高岡へ受け渡されました。
これは2代目タイガー擁立へのプロレス的儀礼か。
興行の目玉を失った馬場さんは、既にメキシコあたりの使い勝手のいいジョバーを「高岡タイガー」デビュー戦にブッキングしているものと思われます。
足掛け3年、壮大なプロレスアニメのラストシーンは行き先不明の日航機。
この旅立ちから10年後、2次元の伊達タイガーをブッコ抜いて「4次元」佐山タイガーが出現したことは、アニメの枠と茶の間の幻想を超えた奇跡だったと言えるでしょう。(馬のクソにもならない「2世」も出現しましたが…)
また最近では、伊達直人名義で児童施設にランドセルを送りつける「タイガーマスク運動」なる事件も勃発。
ストーリーの根幹であった伊達タイガーのチャリティ馬鹿スピリットは、飽食極まれりの21世紀平成の世にも然と受け継がれています。
もしかしたら日本で一番知名度があるプロレスラーかもしれない「タイガーマスク」。
その原点であるこのアニメはわかりやすさとネタ要素の配分が絶妙。各方面各世代に時代を越えて愛される理由がよくわかった気がします。
まあ、いずれにせよ私のお目当ては終始一貫BI砲でしたが…。