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2014/10/02

プロレスクラシック(110) 輪島大士 NWA世界王座初挑戦!

録画した日〔2014/3/3:日テレG+〕

昭和62年「エキサイトシリーズ」からピックアップした数試合。
最終戦3.12武道館大会では、デビュー半年の輪島大士が世界最高峰NWAベルトに挑みました。
第54代横綱の挑戦を受けて立つ第68代NWA王者・リックフレアー。
最高峰の在位期間はこの昭和62年をもって足掛け7年。伝説のNWA/AWA統一リックマーテル戦以来1年半ぶりの日本マット降臨です。
角界では屈指の実績を誇る輪島ですが、プロレス的にはスリ足グセがようやく抜けたかって感じのグリーンボーイ。
そうなるとこのタイトル戦の見どころは「ホウキ」相手でも試合ができると崇められる、ネイチャーボーイの世界遺産級プロレススキルです。
この武道館大会には、この後20年以上の長期政権を築くことになる第2代フレアー夫人・ベスさんが参戦。実に心強い援軍です。
ちなみに2人の愛娘・アシュリーさんは現在WWEの下部組織「NXT」でディーバ王座に君臨。崇高なネイチ魂を継承しています。
相手が未熟だからといって手を抜いたり潰したりしないのがフレアーのいい所。
鶴田や天龍相手のスタイルとなんら変わらず、じっくりノラリクラリと大横綱に敬意を示します。
なおこの日も炸裂した十八番命乞いムーブは、この後ベス夫人の前で何千何万回と繰り返される事となるでしょう。
足四の字に悶絶する輪島。最後は両リンでも反則でもなく小包固めできっちり丸め込まれてしまいました。
デビュー半年で迎えた大一番は、馬場さんから教わった基本動作を忠実にこなして終わった印象。
これだけで十分及第点なのですが、元来のトンパチっぷりで思いついたまま荒っぽく不規則な動きをしても良かったのでは?
というかそれをサラッと捌くフレアーを見たかった気がします。

最高峰NWA戦から武道館のメインを奪取したのは、鶴田&天龍vsザ・ロード・ウォリアーズのインタータッグ選手権。
来日6度目においても相変わらずインパクト抜群で絵になるド迫力暴走戦士。倉持アナの「現代プロレスの決定版」というキャッチも決して大ボラではありません。
「ベンチプレスで240kgを数十回…」というのは倉持アナの大ボラだとしても、ヘビー級のジャンボや天龍を軽々天井からブン投げるパワーは脅威の一語。
もはや存在自体がギミックと言える単純明快さ。ウォリアーズこそ究極のプロレスラーです。
いつもの調子でサクっと暴走両リン決着と思われたこの試合ですが、10分過ぎに天龍がリングアウトでまさかの轟沈。
ウォリアーズが第39代王座となり、BI砲も巻いた伝統のベルトは無念の海外流出となってしまいました。

武道館の5日前、3.7秋田大会では輪島とウォリアーズがTVマッチ初遭遇。
輪島のパートナーはもちろん師匠・馬場さん。ほのぼの師弟コンビと暴走戦士の熱い視殺戦は実況生中継で全国の茶の間へ送り届けられました。
リングのド真ん中、ホークウォリアーとのがっぷり四つ力比べは五分と五分。
ケタ外れの「黄金の左」で角界最高峰まで昇りつめた輪島。そのナチュラルパワーを持ってすれば暴走戦士をも凌駕できるのではという幻想を抱かせます。
試合は7分弱という「ウォリアーズ時間」で両リン決着。
結局はボコられてしまった輪島ですが、屈強なウォリアーズに挑むがむしゃらな姿は清々しいもの。
ほとんど授業参観状態だった馬場さんも愛弟子のブルファイトにとりあえず満足気な表情です。

秋田大会のメインはデビュー7年目・谷津嘉章のNWA初挑戦。
倉持アナによると、王者フレアーは谷津のフロリダ武者修行時代にコカコーラを1本ごちそうしてくれたんだとか…。
限りなくどうでもいいネイチャーボーイ列伝です。
欠場中の長州(もともと3.12武道館で挑戦予定だった)に成り代わり、ジャパンプロ軍を背負っての最高峰挑戦となった谷津。
場外4の字で組んずほぐれつの両リンという決着は、ルーキー輪島と差別化をする配慮なのでしょうか。

過密な防衛ロードを進むフレアー。谷津と輪島の間となる3.10郡山ではジャンボ鶴田を迎え討ちます。
実力的には抜きん出たジャンボですが、フレアーにとっては長いお付き合いの好敵手。いろんな意味で最もイージーなチャレンジャーなのかも知れません。
この日フレアーは、毎度おなじみのポスト最上段デッドリードライブ芸を解禁。
これは一見客の谷津と輪島には出さなかった極上NWAメニュー。常連のジャンボはズダーンと美味しくいただきました。
もちろんオー絶叫vs命乞いムーブの定番メニューも炸裂。
足掛け7年の間に2人の間で争われたNWA戦はこれが5回目。勝手知ったる者同士のスイングはまさしく「様式美」の域に達しています。
フレアーとジャンボが織り成したお腹いっぱいのNWAフルコース。
もちろんメインディッシュは脆弱性レフェリー・ジョー樋口の流れ弾被弾失神芸。今回は何だか分からんけどジャンボにラリアットでブッ飛ばされてしまいました。
失神こそしなかったもののジョー樋口は光の速さでジャンボの反則負けを宣告。
フレアーとジョー樋口による毎度毎度の合わせ技に「オー」とエキサイトするジャンボ。
これで初挑戦以来実に18回連続のNWA奪取失敗となってしまいました…。

アライアンスとしては風前の灯状態だった昭和62年のNWA。
しかし「フレアーモデル」を腰に巻くネイチャーボーイはまだまだ健在、ノラリクラリと極東過密防衛ロードを消化しました。
なお残念な事に、NWA-WCW-WWEと引き継がれたこのフレアーモデルは、昨年暮れのPPV(シナvsオートン統一戦)を機にどっかにウヤムヤになったままです。
フレアー好きにとってはかなり嬉しい今回のラインナップ。TVマッチとは言え地方会場での勇姿も見ることができて大満足でした。
おそらくこの頃が全日とフレアー(=NWA)のラストセッションか。
それにつけても、この後30年以上リビングレジェンドとして悪い事をし続けてる狂乱の貴公子。「To Be The Man」本物のプロレス世界遺産です。

2014/09/30

WWE NXT #241

録画した日〔2014/9/26:JSPORTS3〕

前週の特番・TAKE OVERでWWEファンの前に初お目見えした「ヒデオイタミ」(元・KENTA)。
レギュラー放送の今回、初めての試合に挑みます。
東京出身のヒデオイタミ。神社の鳥居みたいな映像をバックに三味線のようなテーマ曲で入場します。
元No1アナウンサー・フナキ氏がサポートしているそうなので、今後この和風スタイルにもヒネリを加えてくれるのではないでしょうか。
会場のお客さんはTAKEOVERと同様に日本人ルーキーを大歓迎。これに決めポーズで応えるヒデオイタミ。
記念すべきファーストマッチは上々の空気の中でゴングを迎えます。
実況席から「ジャパニーズスタイル」「コバシ」というフレーズが聞かれるなど、ヒデオイタミは試合に関してもかなりの水準で期待、信頼されている模様。
ネットで世界中のプロレスが見られる時代。極東ノアマットで積み重ねた実績がここで生きてきます。
今回噛ませ犬として登用されたのは最近すっかり見なくなってたジャスティンガブリエル。
若手の登竜門としてだけでなく、燻ってるトップメンバーの調整場所としても機能するNXT。
独自興行という点も含めプロ野球の2軍とそっくりです。
フィニッシュはトップロープからズドンと両足で飛び降りるダイビングフットスタンプ。
相手の胃袋はもちろん、ヒデオイタミの足首までグニャっとなっちゃうんじゃないかとヒヤヒヤする、実にハードな踏みつけ技です。
試合後は例によってヒールタッグ「アセンション」が乱入。
TAKEOVERでは2人まとめて返り討ちにしたものの、この日はなすすべなく撃沈されたヒデオイタミ。
デビュー戦白星の余韻をブチ壊されてしまいました。
ただの顔見せマッチで終わらず、きっちり因縁ストーリーが勃発したのは嬉しい限り。この抗争は本流・NXTベルト戦線の一枚下あたりのポジションになるのでしょう。
そして1vs2の構図が「2vs2」になるのはいつなのか?
近日登場(?)のプリンスデヴィットが「+1」である事を期待したいと思います

2014/09/29

~プロ野球ニュースで綴る~プロ野球黄金時代 #1「ザ・長嶋茂雄」

録画した日〔2014/9/6:フジテレビONE〕

昭和51年から放送されている「プロ野球ニュース」のアーカイブ映像特集。
#1のテーマはミスター長嶋さんでした。
平成4年10月12日、ジャイアンツ監督就任会見に臨むミスター。
国民的注目を集める中、この年のドラフト超目玉である星稜高校・松井秀喜指名をブチ上げました(ついでに息子・一茂獲りも示唆)。
そして迎えた「運命の日」11.21ドラフト会議当日。ミスターは国民的スマイルを振りまいて田園調布のお宅から出陣です。
大一番にとんでもない強さを発揮してきた燃える男。ドデカイ「初仕事」の予感が漂います。
一方の松井は眠そうな顔。何だかんだ言ってもまだまだ高校生。ぶっきらぼうなぐらいで丁度いいのでしょう。
VIPタクシー登校もおそらくセキュリティ上の配慮。
ただし、キラリと輝くゴールドの腕時計はその打棒同様文句なしの超高校級です。
結果を知っていてもドキドキする4分の1くじ引き決戦。
国民の昼飯時にミスターが放ったホームランは、後にプロ野球の歴史、ひいては日本の社会文化史までも変えてしまうとんでもない破壊力でした。
にぎやかな祝福が続く松井とサクっと早上がりのミスター。2人の「運命の日」はひとまず終了です。
こんな感じでドラフトの主役を朝から夜まで淡々と追い掛ける見せ方は、プロ野球ニュースの伝統芸と言えるでしょう。

昭和59年1月5日に放送された王さんとの「新春放談」。
この年ジャイアンツは創立50周年。BIGな年のスタートを華やかに彩る超BIGなON砲マッチアップが実現しました。
ジャイアンツ「新監督」としてメモリアルイヤーを迎えた王さん。
打倒西武と日本一奪還が至上命題。その表情から過酷な1年へ向けた勝負師としての悲壮な覚悟が見て取れます。
一方、ミスターはこの年も相変わらず自由業。自由なおしゃべりも相変わらず。
「プレッシャーみたいなものは感じるでしょうね」「ひとつの最高責任者ですからね」「攻撃的なね」「攻撃型のね」「キャンプの出来不出来ではないでしょうかね」「スプリングキャンプをきっちりと」などなど、新監督・王さんに明るく容赦ない千本ノックを叩き込みます。
挙げ句「ま、アドバイスはありませんけどね」とやったミスター。新春放談の“放”のパートを忠実に実践しました。
ON砲結成から20何度目かのお正月。このあたりは王さんも慣れたものなんでしょう。

大リーグ事情にも造詣の深いミスター。
昭和57年3月には「フロリダのオレンジ畑の下」で行われているドジャースのスプリングキャンプを表敬訪問しました。
ロッカールームでは日本でも有名なラソーダ監督と和やかな野球談義。
通訳が介する「東京はどうですか」には「Cold」、「ジャイアンツ今年はどうですか」に「Good」とミスターはラソーダさんのトークにノーバウンドの返球を送りました。

プロ野球ニュースの名物コーナーといえば「今日のホームラン」。血が騒ぐ例のテーマに乗って幾多のメモリアルアーチが紹介されました。
それにしても5年連続開幕HRとは、燃える男・ミスターならではの快記録です。

よくよく考えると番組開始の昭和51年はミスターの現役引退後。アーカイブは必然的に監督期と自由業時代のものになります。
現役時代の映像は各方面で出尽くした感があるのでこの縛りはむしろ歓迎。
特にリラックスした自由業時代の映像は、見てるだけで思わずニヤニヤ嬉しくなってしまいます。
40年近くブレずに野球ばっかり追いかけてるからこそできた素晴らしい企画。ミスターだけでなく王さんやイチロー、松井などネタは無限にあるはずです。
ただ次回#2は広島市民球場がターゲットである模様。
私としてはあと7,8回ミスター長嶋さん特集が続いてもいいのですが…。

2014/09/28

ワールドプロレスリングクラシックス#66「外国人レスラー特集」

録画した日〔2013/11/30:テレ朝チャンネル2〕

昭和と平成をまたいだ3試合。
アンドレ、エルヒガンテの2大ガリバー旅行記が中心です。
昭和58年11月のMSGタッグリーグ高崎大会。
グンマーに上陸した大巨人アンドレは何やら不機嫌そう。高崎ダルマ級の超巨大フェイスで会場をムスッと一瞥します。
アンドレのご機嫌をそこねたと思われるのは、この日の対戦相手・ドラゴン藤波&スパークリングフラッシュ前田日明。
見栄えが良くて人気抜群のフレッシュコンビですが、大巨人の文字どおり上から目線からすればプッシュされてヒーコラ頑張ってる若造2人といったところでしょう。
イライラアンドレの公式戦パートナーを務めるのはS・ハンセン。
この“S”はもちろん「スタン」ではなく「スウェード」のS。日本プロレス史上最大級の名前負け出オチ野郎です。
ちなみにS・ハンセンは50歳のロートル。よって試合はアンドレの一人舞台となりました。
そんな難攻不落の人間山脈登頂に挑む新日フレッシュコンビでしたが、2枚重ねフォールから仲良く吹っ飛ばされるという小兵雑魚コントの洗礼を受けてしまいます。
“人間エグゾセミサイル”18文キックで前田を撃墜したアンドレ。
古舘伊知郎率いる超過激テレ朝実況席の情報によると、アンドレはこのリーグ戦を制するために嗜みをビールからワインに変え20kgの減量を実践したそうです。
ここで「いや、そもそも…」と突っ込む輩は前田同様18文エグゾセ砲の餌食となるでしょう。
終始のびのびと格下イジりを楽しんだアンドレ。試合前のイライラは定番ムーブの範疇だったのでしょう。
なお相方S・ハンセンは、この後の大阪大会でマードック&アドニスの場外パイル葬を食らって病院送りの憂き目に。
勝ち点トップなのに優勝戦棄権という、アンドレにとっては無念のリーグ戦となってしまいました。

遠近法が崩壊したような平成7年2月の札幌中島体育センター。
後のブルージャスティス・永田裕志が対峙するのは身長231cmの超巨人・エルヒガンテ。まさに「白目」を剥くほどの高低差です。
この試合はヒガンテおもてなしモードの1対2ハンデキャップ戦。永田のパートナーは安田忠夫でした。
195cm/130kgという、日本人としては規格外のサイズを誇る安田。
そんな元小結スモウレスラーをハンデ戦噛ませ犬に据える点からも、エルヒガンテの超規格外っぷりがうかがえます。
とはいえ、エルヒガンテのプロレス適性はトホホの一語。悪い言い方ですが見世物小屋の域が精一杯というクオリティです。
一方、世界8番目の奇跡でありながら生粋のプロレスラーとして業界に君臨した「大巨人」アンドレ・ザ・ジャイアント。
そんな偉大なる先人のフォロワーと定義づけられた事こそ「超巨人」最大の悲劇であったのでしょう。

平成5年5月3日、新日初侵略の福岡ドームに鳴り響く大音量のリアルアメリカン。55,000大観衆の前に超人・ハルクホーガンがその姿を現しました。
その腰に巻かれているのはヨコヅナから奪還したばかりの「WWF」世界ヘビーベルトです。
ホーガンにとって8年ぶりとなる新日マット。そこで待ち受けていたのは「IWGP」のベルトを保持するザ・グレート・ムタでした。
ただし「スーパードリームマッチ・リアル・アメリカン」と銘打たれたこの試合はノンタイトル戦。
絶対的キャラを誇る両雄の初遭遇に獲ったり獲られたりのアングルは不要ということなのでしょう。
ホームの利を生かしたムタは、花道に寝っ転がったり縄梯子で空中ブランコしたりの自由奔放な変則ムーブでこのドリームマッチを掌握。
現役WWF王者にしてIWGPレジェンドでもある超VIPに対し、不遜の極みのおもてなしを敢行します。
一方、スライディングレッグシザースやアームロックなどの「新日流」をきっちりと披露していくホーガン。
これらは当時のWWFでは見る事ができない日本限定のレアなムーブ。
闘いの大海原・新日マットは、ムタだけでなくホーガンにとってもホームリングです。
新日流のみならず「ムタ流」にも理解を示すこの日のホーガン。イス振りかぶったら顔面に毒霧…、という不条理なお約束にも律儀に対応します。
しかしムタはこの見せ場で顔面を外すという痛恨の誤射。そしてお腹に噴射された毒霧を顔にこすり付けて悶絶するホーガン。
8年の歳月は超人を空気の読める大人レスラーへと成長させました。
やりたい放題のムタに対し一歩引いて花を持たせた感のあったホーガン。平成新日が放つイケイケムードに諸々自重したのかもしれません。
マサ斉藤withタイガー服部プロデュースのスポット参戦は純製ビジネスか、それとも自らのルーツを辿る癒やしの旅だったのか…。
結果としてなんとなく前者となったような気がします。
つくづく残念なのは”ベビーvsヒール”の構図がないまま両雄をワンマッチに解き放ってしまった事。
これが新日の流儀といえばそれまでですが、例えばムタに大ブーイングが注がれるストーリーを作りこんでくれたら、この試合はプロレス世界遺産級になっていたのではないでしょうか。

そういえば、このグレートムタも「外国人レスラー特集」の適用範囲なのかも…。