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2013/08/08

ワールドプロレスリングクラシックス#67「外国人レスラー特集」

録画した日〔2013/3/16:朝日ニュースター〕

クラシックどころかつい昨日の出来事のような2000年代暗黒期の3試合。
番組製作者の悪意を感じるラインナップです。
2002年10月開催の「THE SPIRAL IN 東京ドーム」。
黒のカリスマ・蝶野正洋は、子分4人(ヒロ、後藤、邪道、外道)を引き連れ「ガッチャメラエェッ!」とドームの花道を闊歩します。
この年のG1覇者であり新日の“現場監督”という要職を担っていた蝶野。
しかしそのサングラスの奥底から中間管理職の悲哀が感じ取れるのは気のせいでしょうか…。
そんな蝶野を待ち構えているのは「元チャイナ」ことジョーニー・ローラー。
エンタメプロレスの最高峰WWEから、新日暗黒時代の諸悪の根源「ロス道場」を経由して日本マットに流れ着いた最強女戦士です。
連綿と紡がれたキングオブスポーツの理念をブチ壊す、史上初の超邪道な男女ミックスドマッチ。
しかしこの一戦をネジ込んできたのは他でもない新日創始者・アントニオ猪木でした。
神が投じた劇薬に「マタぐなよ」などと言える猛者は当時の新日に居るべくもなく、会社思いで人のいい現場責任者の極悪バタフライが「ガッチャメラエェッ!」と汚れ役を買って出た事となります。
いくら元チャイナがトレーニングを積んだ本職だとしても、三鷹のサラリーマン家庭で育った常識人としては女性を蹴ったり叩いたりなど元来できないはず。
いろんな意味でお気の毒な黒いカリスマですが、しかしこれは新日のトップ中のトップにおける「vsホウキ」適性を見極めることができる、ある意味贅沢なマッチメイクだったとも言えるでしょう。
そんな限りなく微妙な期待に包まれた禁断の一騎打ち。
リード役を引き受けた常識人・蝶野は、分かりやすいリアクションと大げさバンプを多用する「ドームプロレス」を構築していきます。
一方、元チャイナも蝶野の必殺のケンカキックを顔面で受けるなどさすがの対応力を発揮。
プロレスで結ばれた男と女2人の世界は、思いのほかノーマルな決着となりました。
締めくくりは、勝者によるお約束のお尻ペンペン黒いスパンキング制裁。
バチバチぶつかり合って愛情が芽生えたのか、この2人はこの後タッグを組んだり仲良く共闘した模様です。
これぞ黒いカリスマの黒い交際。
リング内外における蝶野のその後の黒い活躍を見ると、決して黒歴史ではなくバラエティ豊かな黒いステップアップだったと位置付けられるのではないでしょうか。

放送2試合目は2004年3月両国国技館で行われた佐々木健介vsボブサップ。
健介はWJから脱北して再起中、ボブサップは3ヶ月前の大晦日・曙戦に勝利して間もないという、なんだかよく分からんけど旬と思われる2人によるIWGPヘビー級戦です。
ワクワクドキドキよりもハラハラソワソワが先に立つ不器用ファイター同士による一戦ですが、鬼嫁・北斗晶をはじめ蝶野、天龍、魔界倶楽部らの熟練メンバーが賑やかにリング外で2人をサポート。
とりあえずボロを最小限に抑えて、ボブサップが至宝IWGPを強奪しました。

史上初の3WAY形式で敢行された、2005年10月東京ドーム「闘魂創造 NEW CHAPTER」のIWGP王座戦。
蝶野とともに王者・藤田和之のベルトを狙うのは、これが新日初参戦となるブロックレスナーです。
前年のレッスルマニア以来のリングとなるレスナーは相変わらず凄玉ムードプンプンの全身凶器フォルム。
出て来ただけで藤田と蝶野を視覚的にスクラップします。
混沌がウリの3WAYマッチですが、この日に限っては超大物レスナー様のお披露目会状態。
ライバル2人に超大型台風・F5を平等にブチかまし、新日マット初登場にしていきなりのIWGP戴冠を果たしました。
ちなみに台風一過の表彰式では、後の日本人スーパースター・ヨシタツ(Yoshi-Tatsu)が新王者レスナーとの遭遇を果たしています。
紆余曲折を経て今はいちおう同僚となった2人。次に同じリングに立つとしたらどんな場面なのか?…。
まあ1vs3のハンデ戦あたりな気はしますが、夢を捨てずにリアルタイムで追いかけたいと思います。

実況中にやたらと飛び出した「猪木」という固有名詞。これこそ暗黒時代たる所以でしょう。
まさに「何ぁにがやりたいだコラ」状態だったあの頃。私もドームの2試合は現地観戦してたはずなんですが、ほとんど覚えてるシーンはありません。
ホントにあのまま潰れないで良かった。
元チャイナもボブサップもクラシックな面白ネタとして笑い飛ばせる今、ブシロード資本にあらためて感謝しておきたいと思います。(ついでにイイ人蝶野へのねぎらいも…。)