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2015/06/15

引田天功 死の火煙塔大脱出 時限装置爆破3分前 -プリンセス天功 出演特番付き-

録画した日〔2015/4/26:ファミリー劇場〕

初代・引田天功の脱出イリュージョン第6弾。
放送は昭和50年の4月でした。
例によってヘリ宙吊りでド派手に登場した天功。(ちなみに天功的にはヘリではなく「ヘリコ」)
リアクション豊かな和田浩治、一谷伸江、日テレ石川牧子アナの大本営司会陣を前に、壮絶な闘いへ向けた決死の覚悟をブチ上げました。
実は3ヶ月前にお母様を亡くしている天功。病床から「2度と危ないことはやめておくれ」と懇願されたのだとか…。
今回はそんな母の願いを振り切ってのチャレンジ第6弾。分厚いタレサンの奥から「危険を買う男」の哀しい宿命が窺われます。
決戦の舞台はイリュージョンの聖地・富士急日本ランド遊園地(現「ぐりんぱ」)。
陸上自衛隊中央音楽隊がにぎやかに練り歩くその傍らには、高さ21mの威容を誇る恐怖の火炎塔がそびえ立ちます。
どデカいスケールとは裏腹のちっちゃいオモチャで概要を解説する天功。驚愕の仕掛けは以下のとおり。
  1. 時限爆弾付きの木箱に入る
  2. ヘリコで地上21mの火炎塔てっぺんに移動
  3. 火炎塔炉口の石炭燃料に点火(爆破ではない)
  4. 木箱は炉口点火後3分で爆発するのでそれまでに箱抜け
  5. 火炎塔内部のチェーンを伝って塔下の脱出小屋へ退避
もちろん火炎塔、脱出小屋自体も折を見て適当に爆破。
箱抜けしたその足で21mの高さから炎と煙のド真ん中に向かって降下するという、難易度最凶のイリュージョンとなります。
今回怖いのは火炎ではなく「煙」。
「ほとんどの火災は煙で死ぬ」という天功のガバガバ理論を受け、ちっちゃなチャブ台に集まった大本営司会陣は徐々に言葉少なになってきました。
そんな天功へ向けて各界から応援VTRが続々到着。
「仕事に対してのガッツが感じられますよね」とエールを送ったのはガッツ石松。6月に世界初挑戦を控える拳闘界のニュースターです。
この他、堀江謙一(太平洋ひとりぼっち)、三浦雄一郎(冒険スキーヤー)、生沢徹(カーレーサー)からもメッセージが届けられました。
歴戦の強者たちに紛れ込んでVTR乱入を敢行したのが亜土ちゃんこと水森亜土。
「ダッシュチュ」「デャッシュチュ」etc…と「脱出」がうまく言えない亜土ちゃんは「火が付いて、宇宙に飛んで、ユーエフオー(UFO)なんかに遭ったりなんかしてきてほしい♪」と大炎上必至の不規則発言を繰り返します。
そしてこの日の実況担当は全日本プロレス中継でおなじみの倉持アナ。
ヘリがフラッと飛んで来ただけで「嵐のような大砂塵が巻き上がる!」と絶叫するなど、序盤からお得意の大ボラを連発します。
天功イリュージョンと昭和プロレス。その融和性は抜群と言っていいでしょう。
いよいよその時を迎えた聖地・日本ランド。
動きやすさを重視して耐火装備なしのスウェードジャケットのまま木箱に入った天功。もちろん両手には手鎖。木箱は五寸釘で密閉されます。
ヘリコで火炎塔のてっぺんまで吊り上げられる木箱。
黒ジャージの年配スタッフが上に乗ってコントロールするのですが、すでにこれがイリュージョンの範疇。高所恐怖症の視聴者は本チャン前にすっかり縮み上がったことでしょう。
上空でヨレたりブレたりしながらも何とか塔のてっぺんに固定された木箱。
すると間髪いれず炉口に点火。「もうもうたる黒煙(by倉持アナ)」があっという間に21m上の木箱まで到達しました。
続いてテンポよく木箱爆破のカウントダウンが開始(3分)。
この時点で天功が箱抜けできているのかは黒煙に遮られ確認不能です。
ちなみに黒ジャージの年配スタッフはここでもプチイリュージョンを展開。
気掛かりな事でもあったのか、降りては戻っての挙動を繰り返し昭和の茶の間をヒヤヒヤさせます。
ほどなくして黒ジャージの年配スタッフは無事安全圏へ降下。
そして3分ぴったり、めずらしくフライングなしの時間どおりに木箱が大爆発。この威力を見る限り、天功がまだ中にいたとしたら間違いなくお陀仏でしょう。
木箱のお次は火炎塔本体が爆破ターゲットに。
今まさに天功がチェーンで降下してるかもしれない中、いきなり塔の上から3分の1が分断されてしまう緊急事態勃発です。
ここから先は手慣れたルーチンで関連施設をもれなく全部爆破。もちろんその中には最後の砦である脱出小屋も含まれています。
倉持アナによると、その破壊力は「放送席まで破片が到達」するほどのものでした。
こんな感じで爆破、炎上、延焼、類焼が一段落すると、至近距離で見学してた地元消防士(計5人)がおっとり刀で消火活動を開始。
重点ポイントは天功が退避しているはずの脱出小屋です。
鎮火はできたものの天功がいる気配がない脱出小屋。
ここで堪らず飛び出したのが例の黒ジャージの年配スタッフ。まだ爆発の危険も残っている小屋内へ単身突入を掛けました。
内部は1人で手に負えない状況になっているのか、黒ジャージの年配スタッフはチーム天功の面々を緊急招集。
「何かハプニングが起こったのかもしれません」と実況の倉持アナが不安を煽ります。
膠着状態の小屋に動きがあったのは突入から10分弱が経過したところ。
床下だかどっかから見覚えある白ヘルメットが引き出されると、続けて天功と思わしき男の姿が然と確認されました。
見物客の拍手歓声の中、大本営司会陣に迎えられた天功。
ブルーのスウェードジャケットは真っ黒。更には「口の中まで真っ黒(by一谷伸江)」という痛々しい姿ながらその足取りはしっかりしているようです。
ボサボサパーマで顔中ススだらけの天功は「もうちょっと早く出たかった」「100%思うようにいかなかった」と反省しきり。
しかし見てる我々からすれば無事なのが何より。
タートルネックだけ真っ白のままという点が気にはなりますが、イリュージョン第6弾は見事に大成功と言えるでしょう。
なお、要所要所で小イリュージョンを披露した黒ジャージの年配スタッフは「梅原さん」という方だそう。
エンディングで天功は、渡されたコップの水を自分より先に梅原さんに飲ませるという心優しいボスの一面を見せてくれました。
冗談抜きで1秒ズレたらほんとに即死という超肉体派バラエティ。
天功が亡くなったのはこの放映から4年後の1979年で享年45歳。
80年代、90年代もご存命だったらたけし軍団やダチョウ倶楽部とどんなマッチアップを見せたのか?
つくづく惜しい早逝のスーパースターです。