Translate

2013/05/25

WWEスマックダウン #716

録画した日〔2013/5/20:JSPORTS2〕

9日後のPPV「エクストリーム・ルールズ」へ向けて、諸々の因縁抗争に拍車が掛かるノースカロライナ大会。
世界最強の男・マークヘンリーは、なぜか2台の超大型トレーラーを牽引する驚愕の猛デモを敢行します。
プライムタイムプレーヤーズ等の雑魚連中に見守られながら、汗でベチョベチョの暑苦しいパフォーマンスを見せつけるマークヘンリー。
トレーラー2台の総重量はなんと5万Kg。これを6m引っ張りきれば世界記録だそうです。
つつがなく世界記録を達成して終わった怪力芸。PPVの対戦相手・シェイマスが乱入したり、その足で襲撃しに行ったりの超展開はありませんでした。
「何ぁにがやりたいんだコラ」は言いっこなし。
乱入やら襲撃やらの基本フォーマットにちょっと背を向けた、見てる側としても気分転換になる面白デモでした。

<メモ>
  • 乱入軍団・シールドとケイン&ブライアンの抗争に、呼ばれてないコフィが参戦
  • 元新日・スイートT、ダンスより短い時間でビッグショーにKOされる

武豊TV!II #42「桜花賞・皐月賞」

録画した日〔2013/5/24:フジテレビONE〕

ダービーウィークの放送ですが、収録はNHKマイルCが終わった5月9日だったとの事。
桜花賞から始まった春のG1戦線を振り返ります。
今回のメインは1番人気だった桜花賞でも2着をゲットした天皇賞でもなく、ディープの仔・キズナで勝ったG2京都新聞杯。
大一番ダービーは放送の翌々日。何だかいい感じの武豊による見解は概ね以下のとおりでした。
  • 皐月賞1,2着(ロゴタイプ、エピファネイア)は強い
  • ゲートが心配
  • 実は右回りは上手くない、左回りに期待
思えば去年のダービー前は、期待値ほぼゼロのアルフレードを滑り込みで確保するという切ない状況でした。
今年はというと、前々日(5/24)の前売りオッズが何と1.9倍の過剰人気。かつては当たり前だった「武豊オッズ」の復活です。
ここ2,3年の不調も、ダービーを勝てば全部チャラ。次回放送ではオークスを制覇した弟・武幸四郎とW祝勝会でしょうか。
明日は私も府中に参戦予定。日本競馬の一枚看板の「復権」を見届けたいと思います。

2013/05/23

ワールドプロレスリングクラシックス#251「前田日明特集」

録画した日〔2013/2/9:テレ朝チャンネル〕

黒髪のロベスピエール・前田日明のタッグマッチ2試合。
いずれも昭和61年(前田=27歳)、第一次UWFが新日に出戻りしていた時期のものです。
超過激アナ・古舘伊知郎が「しょっつる」を連呼するお楽しみ出張モードの7月秋田大会。
前田は頼れるアニキ藤原喜明とのコンビで、殺人医師・スティーブウイリアムス&黒い猛牛・バッドニュースアレンの強力外国人チームと対戦しました。
ウイリアムスもアレンもキレたら底なしに恐ろしいナチュラルファイター。特にこれが初来日のウイリアムスは野心ギラギラのガムシャラ不規則ムーブを連発します。
若きリーダー前田としては、あくまでプロレスの範疇で穏便にコトを済ませUWF軍みんなで秋田しょっつる鍋を食べに行きたいところでしょう。
試合はアニキ藤原が積極的にヤラレ役を買って出る展開。
するとアレンが慣れた手つきでトップローブの留め具をクルクル回し、セルリアンブルーの四角いジャングルを解体してしまいました。
数々のガチエピソードから「最強説」も囁かれるバッドニュースアレン。柔道の五輪銅メダリストでもある凄玉は、きっとリング屋としても大成していたことでしょう。
試合後に場外でパイプ椅子チャンバラを繰り広げる格闘王。この他、ロープに振られたらちゃんと戻ってくるしツープラトン攻撃もきっちり受けていました。
電撃出戻りからは半年以上経過。UWF諸悪の根源・猪木とのピリピリ抗争も一段落して、ややまったりムードになってたのかもしれません。

12月の愛知県体育館では「ジャパンカップ争奪タッグリーグ」公式戦として、青春のエスペランサ・高田延彦との同門対決が実現しました。
前田vs高田のスタイリッシュな打ち合いはビジュアル的にも十二分にメジャー級。
それぞれのパートナー(前田=いぶし銀・木戸修、高田=ケツ越中)の泥臭さも相まって、激しくも華のある2人の世界が展開されます。
試合はジュニアヘビーの高田&ケツ組が大健闘しましたが、木戸修の小技爆発で前田組がキッチリと勝利。思う存分プロレスをやり切った4人は決着後のリングで爽やかなノーサイドです。
前田のこんな日々は、紆余曲折を経ながらもあと1年、翌年11月の「顔面蹴撃事件」まで続く事となります。
昭和61年の前田は大名言「アントニオ猪木なら何をやってもいいのか」に始まり、アンドレとの放送禁止セメントマッチ(4月・津市)、ドラゴン藤波との両者KO決着(6月・大阪城)、ニールセン撃破で格闘王襲名(10月・両国)などプロレス史に残る不滅の金字塔を幾つも打ち立てました。
私は顛末をよく覚えていないのですが、あのブルーザーブロディとの一騎討ちも11月の札幌で実現するはずだったそうです(超獣がお得意のドタキャン…)。
屈強な外人レスラーと比べても全く見劣りしない体躯に鋭くクールな面構え。
血が騒ぐ入場曲や派手な必殺技、数え切れないガチ&トンパチエピソード等々、よくよく考えると前田日明こそ完璧な「プロレスラー」だったのではないでしょうか。
90年代も新日に残ってたら…、馬場さんの引き抜きに応じてたら…。
あらゆる偉業を成し遂げた殿堂クラスの超大物なのに「たられば」の妄想&幻想が無限に広がる、やっぱり唯一無二の「プロレスラー」です。

2013/05/22

サラブレッドと見る夢 ~夢までの100日間~

録画した日〔2013/5/19:テレビ東京〕

80回記念の日本ダービー(5/26)の煽り番組。
レースに参戦する4人のトップジョッキーが、競馬界最高峰への並々ならぬ想いをブチ上げます。
20分の番組にラインナップされたのは、登場順に内田(レッドレイヴン)、福永(エピファネイア)、蛯名(ヒラボクディープ)、武豊(キズナ)の各ジョッキー。
1人ぐらい若手がいてもよかった気はしますが、このメンツがJRAの「センター」であることに異論はありません。
3年前のエイシンフラッシュで夢を成就させた内田ジョッキーは、高度経済成長期のサラリーマンのような髪型で登場。今回は軽視できない不気味な伏兵というポジションでしょうか。
それにしても同じ地方競馬出身の人気者・岩田ジョッキーがいないのが寂しい限り。シャベリがデンジャラス過ぎて呼ばれなかったのではなく、そもそも今年のダービーに乗る馬がいないようです…。
ポカばっかりでダービー未勝利の福永ジョッキーは、キングヘイローにおける超大ポカもシレッと回顧。黒歴史に敢えて踏み込んだのは名実ともにトップの座へ到達した余裕の表れでしょう。
偉大すぎて並びようがないお父さんも意外な事にダービー未勝利。ここで勝てば、ほんのちょっとお父さんにデカイ顔ができるかもしれません。
去年のフェノーメノでは数センチ差で涙を呑んだ蛯名ジョッキー。
同級生・武豊との丸坊主お宝赤面映像を引っ張り出されて、初勝利への悲壮な決意がブチ壊しとなりました。
インチキ新聞・東スポでなぜか連載を持っているので、勝てば栄光の一面ジャックが確実です。
ダービー4勝の武豊はJRAの大正義というだけあってVTRもやや長め。今回は久々に手応えを感じていることが強く伝わって来ました。
80回目の記念レース、馬の名前も何だかカッコいいので、勝って世間が一番盛り上がるのはやはりこの御大という事になります。
登場した4人はもちろんの事、競馬に携わる人はすべてダービー原理主義者。5年前のドンジリ馬・サクセスブロッケンが新聞社に乱入するなど、80回記念の今年は中の人(馬)たちが例年以上に暴発気味の超過熱傾向です。
ここまで熱くなったら見てる我々も否が応に盛り上がってくるというもの。
まずは晴れの良馬場で。変な審議やら遺恨やらがないスカッとした結末を期待しています。

2013/05/21

ヒーローたちの名勝負「ジョホールバルの舞台裏 日本サッカー歴史的勝利」

録画した日〔2013/4/20:NHK総合〕

日本がW杯初出場を決めた1997年11月16日のイラン戦(マレーシア・ジョホールバル)。
キャプテン井原、ゴン中山、城彰二が各シーンを振り返ります。
プリップリッの笑顔で16年前の死闘を振り返るポッチャリ系男子。
大きくなったどっかの子役タレントかと思ったら、後半31分に渾身の同点ヘッドを叩き込んだ城彰二でした。
まさしく起死回生価千金のヘッド。私としては岡野のアレよりも思い入れは強いかも知れません。16年経った今見ても全身を熱いものが駆け巡ります。
岡野のアレだけではなく、城彰二のコレも日本サッカー史に残る名場面として100年、200年と語り継がれるべきでしょう。
キャプテン井原、ゴン中山が一番恐ろしかったシーンとして振り返ったのが、延長後半11分のアリ・ダエイによる「どフリー(ゴン中山)」シュートでした。
当時テレビで見てた私はなんとも思わなかったんですが、いろいろ調べるとあの中田ヒデですら「完全にやられた」と絶望した程の最悪局面だったようです。
アジア最強FWには申し訳ありませんが、日本人としては外してくれて何より。この案件で「たられば」は考えたくもありません。
当時のイラン代表はこのダエイの他、車椅子大好きアジジや、若き天才マハダビキアなど「畏れ」といった言葉がぴったりの尊敬すべき強豪。好感度抜群のヒール軍団だったと思います。
まあ、あの日負けなかったから言える事なんでしょうが…。

「マガジン」「ダイジェスト」を両方買って、仕事してても頭の中は勝ち点計算でいっぱい。KINGカズを応援したり嫌いになったり、歓喜、落胆、絶望、妄想、現実逃避のジェットコースター状態…。
9月7日の第1戦国立から最終決戦ジョホールバルまでの2ヶ月は、私が人生で最もサッカーにのめり込んだ期間でした。
広島アジア杯→ドーハ→アトランタ→ジョホールバルと、ほぼ2年周期で壮絶ドラマを見せてくれた1990年代の日本代表。
2002年W杯の時には既に「昔は良かった」系の食えない奴になってしまっていた人も多いはずです。
そろそろドーハを知らない世代が代表の中核を占める頃か?
世界標準になろうとも、もう二度と起こり得ないアジアローカルの狂乱をいつまでも伝承していってほしいものです。

2013/05/20

タイガーマスク #59「命しらずの挑戦状」

録画した日〔2013/5/17:TOKYOMX〕

伊達政宗ゆかりの地・仙台へ遠征した伊達タイガー。
伊達つながりとはなんの関係もありませんが、なぜか日プロのシリーズ名が「シルバーリーグ」から「第2次シルバーリーグ」に変わっていました。
第2次もなにも、そもそも6週前に開幕した第1次(?)の時点でリーグ戦の体をなしていなかったシルバーリーグ。
ここで言う“2次”とは昔のサッカーW杯の2次ラウンド的なものなのか?、かつての全日プロ夏の陣・サマーアクションシリーズⅡの“Ⅱ”と同義なのか?。我々プロレスマニア特有のセコくて細かくてみみっちい気質を逆撫でする、残念な予告無しテキトー改変です。
そんなこんなの仙台巡業中、伊達タイガーは戦国時代から四百年の伝統を持つ古武術「穂積流」の道場を表敬訪問します。
仲介者はちょくちょく登場する闇紳士・嵐先生。
さすがは日プロ顧問の大物フィクサー、伊達タイガーは技術習得、穂積流は宣伝効果、両者に貸しとメンツを立てた嵐先生本人も含めて有意義なWinwinのマッチングです。
歴史ある穂積流道場ですが、師範の病気と弟子不足の経営難により借金が積もり積もっている状態。「若先生」と呼ばれる勝ち気な長男が必死に流儀普及と金策に走っています。
しかしこの長男はガチガチの反プロレス派。日本が世界に誇るトップレスラーの伊達タイガーに対し「力比べの芸人」とシュート極まりない大暴言をブチ込みます。
そんな長男が講じた金策は伊達タイガーとの賞金マッチ。困ったときだけプロレスに擦り寄ってくるなんとも小賢しいアンチ野郎です。
決戦場に誘い出された伊達タイガーは「素人相手に本気で戦えない」と絶妙なセリフで対応。プロレス幻想を維持しつつ無駄な争いに首を突っ込まないスタンスを取ったのですが…。
根っからのいい人・伊達タイガーは穂積流のお家事情を察して一騎討ちを受諾。
四方を有刺鉄線で囲んだリングでお互いの手をロープで繋いで行う「ジャパニーズデスマッチ(長男が命名)」に臨むハメになってしまいました。
FMW風にネーミングすると「ノーロープ有刺鉄線インディアンストラップデスマッチ」となる借金返済ダークマッチ。
涙のカリスマ・大仁田厚と狼酋長・ワフーマクダニエルの濃厚デスマッチエキスを掛け合わせるとは、この長男ホントは生粋のプロレス馬鹿なのかもしれません。
チャリティ精神でデスマッチを引き受けちゃった伊達タイガーですが、さすがにただの道場の跡取り息子とは凌いできた修羅場の数がケタ違い。「素人相手に…」のセリフどおり瞬殺モードで長男を圧倒します。
しかしそこで伊達タイガーが直面したのは、自分が勝っちゃったら穂積流は破産確定というこのデスマッチの初期設定でした。
何だかもうグダグダの伊達タイガー。
勝手に窮地に陥ったこのチャリティ馬鹿は、あろうことか禁断の片ヤオ担ぎで状況の打開を図り自ら進んで「寝る」決断をしてしまいます。
百歩譲って片ヤオはプロレスの範疇だとしても、地方の貧乏若手古武術家に沈められるのはプロレス界としてあってはならない大スキャンダル。
そんな全国8000万プロレスファンの焦燥を救ったのは、ドラゴンストップならぬ穂積パパストップでした。
伊達タイガーの片ヤオを見抜いた穂積パパは道場の権利証を悪徳金貸し業者へ献上。息子のデスマッチだけでなく穂積流400年の歴史にも潔く終止符を打ちました。
虎の穴叩き上げの凄腕シューターであるが故、結果的に伝統の名家を壊滅させてしまった伊達タイガー。
いつもならファイトマネー(仙台大会では噛み付き魔の愛弟子・グレートXに完勝)をポーンと寄付して道場再建に一役買うところですが、今回は人手に渡った道場前をクールに素通りしてシレっと巡業の旅を続けます(今回の巡業はマイカーで移動。同乗者は猪木)。
だったら最初からブッ潰しときゃあ良かったんでは?
チャリティとシュートとプロレスがゴッチャゴチャになった迷走の伊達タイガー。
ブラック企業・日プロの看板を背負う心臓毛むくじゃらの凄玉になるにはまだまだ時間がかかりそうです。

2013/05/19

WWEロウ #1041

録画した日〔2013/5/18:JSPORTS2〕

PPV「エクストリームルールズ」でトリプルHとの金網デスマッチに臨むブロックレスナー。
なんと今回、コネチカット州スタンフォードのWWE本社に悪のマネージャー・ポールヘイマンとアポなし突撃。仇敵・トリプルHの重役室への無法乱入を敢行しました。
WikipediaによるとトリプルHの役職は「タレント開発部門統括」。
レスナーが乱入したそのオフィスは意外と狭くてシンプル。壁にはアティテュード期の盟友・HBKマイケルズ&アンダーテイカーとのスリーショット写真と、自らのシンボルである鋼鉄ハンマーが飾られていました。
やけにブッ壊れやすい木製の重役机を、お好きな様に使って下さい的に飾られた鋼鉄ハンマーでブッ壊したブロックレスナー。
大本営WWEの本社機能を麻痺させる言語道断の大暴挙です。
メチャクチャに破壊された重役室の主・トリプルHは、バージニア大会のリングに登場して首謀者・ポールヘイマンに大バッシング砲撃。
「オレのオフィスはこのリングだ!」とWWEユニバースへのリップサービス込みの爆勝宣言をブチ上げました。
ネタ重視のWWE好きからすれば「ヤッパリこうでなくっちゃ」と溜飲を下げざるを得ない、レスナー&ヘイマンによる悪辣本社訪問。
下世話なノゾキ見願望も十二分に満たす100点満点の面白コントでした。

<メモ>
  • シナvsライバックのPPV試合形式は「ラストマンスタンディング」に
  • ビッグショーが毒蛇オートンを襲撃、PPVで一騎打ちへ
  • WWEとYahooが業務提携したとの事
  • Y2Jジェリコとファンダンゴが次回RAWでダンス対決

ポール・マッカートニードキュメンタリー「THE LOVE WE MAKE」

録画した日〔2013/2/8:WOWOWライブ〕

慈善ライブ「The Concert for New York City」(2001.10.20マジソンスクエアガーデン)の提唱者であるポールマッカートニーを追い掛けたドキュメント映画。
公開は「9.11」から10年経過した2011年でした。
9.11の朝、まさにその瞬間をNYケネディ空港で目撃したポールマッカートニー。
もちろんフライトはキャンセルとなってそのままNYへ居残り。そこから一ヶ月足らずで超豪華巨大スケールのライブ開催に漕ぎ着けたとの事です。
作品前半では、ライブ開催に向けてリハーサルやTV出演に奔走するポールに密着。
しかしそこに緊迫感や悲壮感はほとんどなく、思いのほかユルい等身大の天才ミュージシャンの姿が映し出されます。
リバプール出身のポールは大都会ニューヨークが大好き。好きな野球チームは名門・NYヤンキースだそうです。
そしてなぜか"お散歩"も大好きなようで、摩天楼界隈を自由にブラブラ歩いたりします。
しかし言うまでもなくポールは世界最強、国家元首クラスのセレブ。好奇心旺盛なニューヨーカーがこの「ポー散歩」をほっとく訳がありません。
サインや握手をねだられるのは当たり前。泣き出す女性やらライブ共演を懇願するアブナイ自称ミュージシャンやらを、ポールは良くも悪くも適当にあしらって行きます。
60年代のいわゆる「ビートルズ状態」と比べればどうってことないニューヨーカーの追っかけ。
ただ、よくよく考えるとこの散歩時のNYは9.11直後の空前の厳戒態勢だったはずです。
そんな「戦時下」のNYをビビることなく飄々と闊歩するポール師匠から、ミスター長嶋さん的な天才系スーパースター特有の大らかさが伝わってきました。
素顔のポールは、ファンをないがしろにする文句なんかを吐いたりもします。
しかし独善的でイヤな奴というイメージには全く至りません。
見てる側からすると「まあ、これぐらいの事は言ってんだろうな」というレベル。逆に「ポールはこれぐらいの事しか言わないのかも…」とも思わせる絶妙なベビーフェイス戦術です。
そしていよいよ幕を開けるベネフィットライブ。
ミックジャガー&キースリチャーズ、ザ・フー(ドラムはリンゴスターの息子さんが担当)、エリッククラプトン等々、ポールの同級生世代を中心としたワールドフェイマスな超スーパースターが集結しました。
スーパースター連中とポールの雑談シーンも多数ピックアップ。時代を熱狂させた大物同士のツーショットは強烈無比、それだけで名場面です。
ただ私としては、ミック&キースとの三者会談がなかったのが少し残念。ビートルズとストーンズ、ギミック上のライバル関係は今だ継続中という事なのでしょうか。
ポールの楽屋に乱入してきた元合衆国大統領・ビルクリントン。モニターの中でシャウトしてるのはミックジャガーです。
このクリントンの他、ハリソンフォード、レオナルドデカプリオ等々の非ミュージシャン系超大物セレブもこのNYライブに賛同、参加していました。
ちなみに我らがミックとキースは「MissYou」と「Salt Of The Earth(地の塩)」を披露しましたが、この映画で採用されたのはミスユーの一部だけ。ポールも含めた他のミュージシャンも同じ扱いです。
あくまでドキュメント映画なのでこれは至極当然の構成。ポール的には、演奏見たけりゃDVDでも買っとけというスタンスとなります。
準備期間一ヶ月足らずながら大成功に終わった超弩級チャリティーライブ。
これもすべて、世界の偉人・ポールマッカートニーがその中心にいたからこそでしょう
そして私がこのドキュメント全編を通じて凄いと思ったのは、そんなポールから、やらされてる感、やってるぜ感のいずれも伝わってこなかったという事です。
世界が自分に期待する事と自分が世界に与える影響力を客観的に把握しているポールからすれば、9.11の極限状態でも深く考えず自然にその役割を果たしただけなのかも…。
まさしく「レット・イット・ビー」。音楽だけでなく、行動哲学においても天才肌のスーパースターなのでしょう。
不謹慎ではありますがテロへの憐れみや追悼をも忘れてしまうほどのポール満載ドキュメント。
淡々としたタッチなのに不世出の天才・ポールマッカートニーの魅力がやたらと増幅される、不思議なパワーを持った作品でした。