録画した日〔2013/5/17:TOKYOMX〕
伊達政宗ゆかりの地・仙台へ遠征した伊達タイガー。
伊達つながりとはなんの関係もありませんが、なぜか日プロのシリーズ名が「シルバーリーグ」から「第2次シルバーリーグ」に変わっていました。
第2次もなにも、そもそも6週前に開幕した第1次(?)の時点でリーグ戦の体をなしていなかったシルバーリーグ。
ここで言う“2次”とは昔のサッカーW杯の2次ラウンド的なものなのか?、かつての全日プロ夏の陣・サマーアクションシリーズⅡの“Ⅱ”と同義なのか?。我々プロレスマニア特有のセコくて細かくてみみっちい気質を逆撫でする、残念な予告無しテキトー改変です。
そんなこんなの仙台巡業中、伊達タイガーは戦国時代から四百年の伝統を持つ古武術「穂積流」の道場を表敬訪問します。
仲介者はちょくちょく登場する闇紳士・嵐先生。
さすがは日プロ顧問の大物フィクサー、伊達タイガーは技術習得、穂積流は宣伝効果、両者に貸しとメンツを立てた嵐先生本人も含めて有意義なWinwinのマッチングです。
歴史ある穂積流道場ですが、師範の病気と弟子不足の経営難により借金が積もり積もっている状態。「若先生」と呼ばれる勝ち気な長男が必死に流儀普及と金策に走っています。
しかしこの長男はガチガチの反プロレス派。日本が世界に誇るトップレスラーの伊達タイガーに対し「力比べの芸人」とシュート極まりない大暴言をブチ込みます。
そんな長男が講じた金策は伊達タイガーとの賞金マッチ。困ったときだけプロレスに擦り寄ってくるなんとも小賢しいアンチ野郎です。
決戦場に誘い出された伊達タイガーは「素人相手に本気で戦えない」と絶妙なセリフで対応。プロレス幻想を維持しつつ無駄な争いに首を突っ込まないスタンスを取ったのですが…。
根っからのいい人・伊達タイガーは穂積流のお家事情を察して一騎討ちを受諾。
四方を有刺鉄線で囲んだリングでお互いの手をロープで繋いで行う「ジャパニーズデスマッチ(長男が命名)」に臨むハメになってしまいました。
FMW風にネーミングすると「ノーロープ有刺鉄線インディアンストラップデスマッチ」となる借金返済ダークマッチ。
涙のカリスマ・大仁田厚と狼酋長・ワフーマクダニエルの濃厚デスマッチエキスを掛け合わせるとは、この長男ホントは生粋のプロレス馬鹿なのかもしれません。
チャリティ精神でデスマッチを引き受けちゃった伊達タイガーですが、さすがにただの道場の跡取り息子とは凌いできた修羅場の数がケタ違い。「素人相手に…」のセリフどおり瞬殺モードで長男を圧倒します。
しかしそこで伊達タイガーが直面したのは、自分が勝っちゃったら穂積流は破産確定というこのデスマッチの初期設定でした。
何だかもうグダグダの伊達タイガー。
勝手に窮地に陥ったこのチャリティ馬鹿は、あろうことか禁断の片ヤオ担ぎで状況の打開を図り自ら進んで「寝る」決断をしてしまいます。
百歩譲って片ヤオはプロレスの範疇だとしても、地方の貧乏若手古武術家に沈められるのはプロレス界としてあってはならない大スキャンダル。
そんな全国8000万プロレスファンの焦燥を救ったのは、ドラゴンストップならぬ穂積パパストップでした。
伊達タイガーの片ヤオを見抜いた穂積パパは道場の権利証を悪徳金貸し業者へ献上。息子のデスマッチだけでなく穂積流400年の歴史にも潔く終止符を打ちました。
虎の穴叩き上げの凄腕シューターであるが故、結果的に伝統の名家を壊滅させてしまった伊達タイガー。
いつもならファイトマネー(仙台大会では噛み付き魔の愛弟子・グレートXに完勝)をポーンと寄付して道場再建に一役買うところですが、今回は人手に渡った道場前をクールに素通りしてシレっと巡業の旅を続けます(今回の巡業はマイカーで移動。同乗者は猪木)。
だったら最初からブッ潰しときゃあ良かったんでは?
チャリティとシュートとプロレスがゴッチャゴチャになった迷走の伊達タイガー。
ブラック企業・日プロの看板を背負う心臓毛むくじゃらの凄玉になるにはまだまだ時間がかかりそうです。