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2015/06/18

WWE「ホール・オブ・フェーム2015」

録画した日〔2015/4/20:スカチャン1〕

レッスルマニア前日恒例のプロレスリスペクト祭り。
なんと今年は炎の飛龍・藤波辰爾がWWE殿堂(=Hall of Fame)入りを果たしました。
プレゼンターはドラゴンと同世代のネイチャーボーイ・リックフレアー。
両雄の接点は「'91スターケード in 闘強導夢」。
ドラゴンが王座奪取して喜んでたらアメリカ本部からオーバーザトップロープで難クセ付けられて結局怒りのベルト返還という、NWA(WCW)の大正義伝統芸を新時代平成のプロレスファンに見せてくれた名試合です。
記録上は王座から引きずり降ろされた事となるネイチですがこの日はもちろんノーサイド。
「道場(Dojo)」などドラゴンを育んだジャパニーズスタイルを礼賛するだけでなく「ムタが好き」とW-1タコ社長の殿堂入り示唆までブチ上げてくれました。
招待席に陣取っていた皇帝戦士・ビッグバンベイダー。フレアーから「おい、ベイダー!」のご指名をもらって直立不動です。
ドラゴンとベイダーの因縁は語り尽くせぬほど。ベイダーからのお祝いメッセージはありませんでしたが、この後カリフォルニアの地で旧交を温めたことでしょう。
そしていよいよWWEのド真ん中へリングイン(ドラゴンリングインではない)したドラゴン。
もちろん会場のファンとレスラー連中からは温かく迎え入れられたのですが、日本のプロレスファンとしてはこの段階では祝福ムードなどもってのほか。
我らがドラゴンは、殿堂入り剥奪にも繋がりかねない極めて危険な爆弾を抱えています。
その爆弾とは殿堂者の必須スキルである「気の利いたスピーチ」。
日本語すらままならないダーティな滑舌がよりによってしゃべくりプロレスの最高峰の舞台に…。
グダグダだったらハサミで前髪切ってごまかしときゃいいという戦術はここWWEでは通用しません。
かくしてガッチリロックアップしたドラゴンvsWWE。
アンチョコ&メガネで武装したドラゴンは、単語を一つ一つ読み上げるねちっこい無我スタイルで奮闘します。
そしてドラゴンストップもかからず無事終了したドラゴンスピーチ。
単語重視のスロートーク効果で結果的には日本語より分かりやすかったんじゃないでしょうか。
アメリカのお約束「家族に感謝」の一節では奥様のかおりさんと長男の怜於南くんもカットイン。
現役立教大生にしてなぜかプロレス入りした大バカ息子「LEONA」にとっては、パパの晴れ舞台というだけでなく業界最高峰の空気を体感する有意義な一夜となったのではないでしょうか。
新日時代のVTRもオマージュとして多数カットイン。
猪木や橋本、蝶野らにまぎれ、報道ステーションの超過激アナ・古舘伊知郎の若き日の勇姿もめでたくWWEユニバースへ向けて発信されました。
米マット限定のキャリアで見ると「なんで?」って感があるドラゴンの殿堂入り。
日本人レスラーの殿堂者が1人目猪木→2人目藤波と続いたのは、きっとWWEによる「格」への配慮。
これからムタやライガーの世代が3人目、4人目として名を連ねていく布石なのだと期待が膨らみます。

今年の殿堂入りの目玉は「マッチョマン」ランディサベージ。
その人気やキャリアを考えると、このタイミング(亡くなってから4年後)の殿堂入りは遅い評価だと言えるでしょう。
なお私としては“日米レスリングサミット”の天龍源一郎戦が25年経った今でも忘れられません。
マッチョマンを紹介したのはもちろんハルクホーガン。
「メガパワーズ」として共闘したり美人マネ・エリザベスを取り合ったり、プレゼンターはこの男の他にいないという人選。なによりこうしたお祭りイベントには欠かせない不滅の超人です。
三度の飯よりスピーチが好きなトリプルHが紹介したのは、なんと前カリフォルニア州知事のアーノルド“コマンドー”シュワルツェネッガー氏。
シュワちゃんの鉄拳制裁に自らの鼻のデカさを絡めた自虐ネタがバカ受けしてご満悦の様相でした。
「Get to the chopper!!」の一吠えでツカミはOKのシュワルツネッガー氏。ボディビルダーからプレデターに、さらにガバナーを経てホールオブフェイマーとなった鉄人です。
ちなみに好きなレスラーはオットーワンツだとか。
第1回IWGPでの泡沫不戦敗ネタが時を超えてシュワちゃんの耳に伝わらないことを祈ります。

この他の殿堂者はケビンナッシュやリキシ、日本でもおなじみの元メデューサ(アランドラブレイズ)など。
また、小児麻痺で夭逝してしまったプロレス大好きチビっ子「コナー君」も“コナー・ザ・クラッシャー”のリングネームで見事殿堂入りを果たしています。
心温まるシーン連発のWWEの良心ともいえるセレモニー。
日本も1.4ドームあたりでやればいいのにと思いますが、本家の華やかさやホスピタリティは我々日本人には真似できないような気もします。

2015/06/17

WWEロウ #1149

録画した日〔2015/6/11:JSPORTS3〕

PPV「エリミネーション・チェンバー(日本では視聴不可)」明けのサンアントニオ大会。
当該PPVのWWE王座戦は、セスロリンズの不可解防衛にキレたアンブローズがベルト盗んで逃亡という顛末だったそうです。
狂犬の暴走に激昂するAuthority軍。如何なる理由があろうとベルト持ち逃げは許されるものではありません。
ICベルト関連での前科もあるアンブローズへの制裁は必至。ただしこの日は(今のところ)会場に来ていないようです…。
そこに登場したロマンレインズ。ステファニーの暴言に耳を貸すことなく、盟友の王座再挑戦をロリンズ本人へ直訴します。
かつての同僚から執拗に挑発されたロリンズは、よせばいいのにCOO夫妻の頭越しに次回PPVでのリマッチをブチ上げてしまいました。
アンブローズ不在となればAuthority軍のターゲットは当然レインズに。
そうでなくてもレインズの出すぎた真似に怒り心頭のCOO夫妻はキングバレット→マークヘンリー→ワイアットとの超過酷な3連戦を強要。
負けたら即PPV参戦権剥奪という理不尽レギュレーション付きです。
もちろんここでレインズが取りこぼす訳は無くきちっと3タテ成功。やっぱり会場に来てたアンブローズと共に次回PPVへ向けて怪気炎を上げました。
本番は早くも2週間後。元シールド以外の連中のアングルは曖昧で明らかに仕込み不足。
社運を賭けた「WWEネットワーク」がカツカツだからって変なPPVを割り込ますのはもう勘弁してほしいもんです。

<メモ>
  • NXT王者のデブ・オーエンスが、前夜のPPVでジョンシナからピンフォール勝ちしちゃったとの事
  • PPVでIC王座戴冠のライバック、久々登場のビッグショーと抗争開始
  • ラナ嬢に捨てられたルセフ、足の怪我で戦線離脱という弱り目にたたり目
  • ヒールだかベビーだか中途半端なベラ姉妹が伝統の双子入れ替わり芸でペイジを粉砕

2015/06/16

WWEスマックダウン #823

録画した日〔2015/6/8 :JSPORTS3〕

PPV「エリミネーション・チェンバー(日本では視聴不可)」直前のモヒガンサン大会。
主役を張ったのはディーンアンブローズでした。
前回RAWで地元警察に逮捕されてしまった狂犬。
ほどなく釈放とはなりましたが、ハメたセスロリンズに対する怒りは当然収まっていない状況。北米最強ヒール「ジャスティンビーバー(Justin Bieber)」になぞらえ熱い挑発を展開します。
ちなみにアンブローズによると、RAWの釈放劇の手を回してくれたのはロマンレインズだったとの事。
元シールドの2人がここへ来て再接近。ただしスポットは上層部イチ押しだったレインズではなくアンブローズの方に当たっています。
ストーンコールド系キレキャラが板についたアンブローズと権威を傘にする小物ロリンズの相性は抜群。
一歩引く事で批判が止んできたレインズの巻き返しも含め、元シールド3人の天下はしばらく続きそうな気配です。

2015/06/15

引田天功 死の火煙塔大脱出 時限装置爆破3分前 -プリンセス天功 出演特番付き-

録画した日〔2015/4/26:ファミリー劇場〕

初代・引田天功の脱出イリュージョン第6弾。
放送は昭和50年の4月でした。
例によってヘリ宙吊りでド派手に登場した天功。(ちなみに天功的にはヘリではなく「ヘリコ」)
リアクション豊かな和田浩治、一谷伸江、日テレ石川牧子アナの大本営司会陣を前に、壮絶な闘いへ向けた決死の覚悟をブチ上げました。
実は3ヶ月前にお母様を亡くしている天功。病床から「2度と危ないことはやめておくれ」と懇願されたのだとか…。
今回はそんな母の願いを振り切ってのチャレンジ第6弾。分厚いタレサンの奥から「危険を買う男」の哀しい宿命が窺われます。
決戦の舞台はイリュージョンの聖地・富士急日本ランド遊園地(現「ぐりんぱ」)。
陸上自衛隊中央音楽隊がにぎやかに練り歩くその傍らには、高さ21mの威容を誇る恐怖の火炎塔がそびえ立ちます。
どデカいスケールとは裏腹のちっちゃいオモチャで概要を解説する天功。驚愕の仕掛けは以下のとおり。
  1. 時限爆弾付きの木箱に入る
  2. ヘリコで地上21mの火炎塔てっぺんに移動
  3. 火炎塔炉口の石炭燃料に点火(爆破ではない)
  4. 木箱は炉口点火後3分で爆発するのでそれまでに箱抜け
  5. 火炎塔内部のチェーンを伝って塔下の脱出小屋へ退避
もちろん火炎塔、脱出小屋自体も折を見て適当に爆破。
箱抜けしたその足で21mの高さから炎と煙のド真ん中に向かって降下するという、難易度最凶のイリュージョンとなります。
今回怖いのは火炎ではなく「煙」。
「ほとんどの火災は煙で死ぬ」という天功のガバガバ理論を受け、ちっちゃなチャブ台に集まった大本営司会陣は徐々に言葉少なになってきました。
そんな天功へ向けて各界から応援VTRが続々到着。
「仕事に対してのガッツが感じられますよね」とエールを送ったのはガッツ石松。6月に世界初挑戦を控える拳闘界のニュースターです。
この他、堀江謙一(太平洋ひとりぼっち)、三浦雄一郎(冒険スキーヤー)、生沢徹(カーレーサー)からもメッセージが届けられました。
歴戦の強者たちに紛れ込んでVTR乱入を敢行したのが亜土ちゃんこと水森亜土。
「ダッシュチュ」「デャッシュチュ」etc…と「脱出」がうまく言えない亜土ちゃんは「火が付いて、宇宙に飛んで、ユーエフオー(UFO)なんかに遭ったりなんかしてきてほしい♪」と大炎上必至の不規則発言を繰り返します。
そしてこの日の実況担当は全日本プロレス中継でおなじみの倉持アナ。
ヘリがフラッと飛んで来ただけで「嵐のような大砂塵が巻き上がる!」と絶叫するなど、序盤からお得意の大ボラを連発します。
天功イリュージョンと昭和プロレス。その融和性は抜群と言っていいでしょう。
いよいよその時を迎えた聖地・日本ランド。
動きやすさを重視して耐火装備なしのスウェードジャケットのまま木箱に入った天功。もちろん両手には手鎖。木箱は五寸釘で密閉されます。
ヘリコで火炎塔のてっぺんまで吊り上げられる木箱。
黒ジャージの年配スタッフが上に乗ってコントロールするのですが、すでにこれがイリュージョンの範疇。高所恐怖症の視聴者は本チャン前にすっかり縮み上がったことでしょう。
上空でヨレたりブレたりしながらも何とか塔のてっぺんに固定された木箱。
すると間髪いれず炉口に点火。「もうもうたる黒煙(by倉持アナ)」があっという間に21m上の木箱まで到達しました。
続いてテンポよく木箱爆破のカウントダウンが開始(3分)。
この時点で天功が箱抜けできているのかは黒煙に遮られ確認不能です。
ちなみに黒ジャージの年配スタッフはここでもプチイリュージョンを展開。
気掛かりな事でもあったのか、降りては戻っての挙動を繰り返し昭和の茶の間をヒヤヒヤさせます。
ほどなくして黒ジャージの年配スタッフは無事安全圏へ降下。
そして3分ぴったり、めずらしくフライングなしの時間どおりに木箱が大爆発。この威力を見る限り、天功がまだ中にいたとしたら間違いなくお陀仏でしょう。
木箱のお次は火炎塔本体が爆破ターゲットに。
今まさに天功がチェーンで降下してるかもしれない中、いきなり塔の上から3分の1が分断されてしまう緊急事態勃発です。
ここから先は手慣れたルーチンで関連施設をもれなく全部爆破。もちろんその中には最後の砦である脱出小屋も含まれています。
倉持アナによると、その破壊力は「放送席まで破片が到達」するほどのものでした。
こんな感じで爆破、炎上、延焼、類焼が一段落すると、至近距離で見学してた地元消防士(計5人)がおっとり刀で消火活動を開始。
重点ポイントは天功が退避しているはずの脱出小屋です。
鎮火はできたものの天功がいる気配がない脱出小屋。
ここで堪らず飛び出したのが例の黒ジャージの年配スタッフ。まだ爆発の危険も残っている小屋内へ単身突入を掛けました。
内部は1人で手に負えない状況になっているのか、黒ジャージの年配スタッフはチーム天功の面々を緊急招集。
「何かハプニングが起こったのかもしれません」と実況の倉持アナが不安を煽ります。
膠着状態の小屋に動きがあったのは突入から10分弱が経過したところ。
床下だかどっかから見覚えある白ヘルメットが引き出されると、続けて天功と思わしき男の姿が然と確認されました。
見物客の拍手歓声の中、大本営司会陣に迎えられた天功。
ブルーのスウェードジャケットは真っ黒。更には「口の中まで真っ黒(by一谷伸江)」という痛々しい姿ながらその足取りはしっかりしているようです。
ボサボサパーマで顔中ススだらけの天功は「もうちょっと早く出たかった」「100%思うようにいかなかった」と反省しきり。
しかし見てる我々からすれば無事なのが何より。
タートルネックだけ真っ白のままという点が気にはなりますが、イリュージョン第6弾は見事に大成功と言えるでしょう。
なお、要所要所で小イリュージョンを披露した黒ジャージの年配スタッフは「梅原さん」という方だそう。
エンディングで天功は、渡されたコップの水を自分より先に梅原さんに飲ませるという心優しいボスの一面を見せてくれました。
冗談抜きで1秒ズレたらほんとに即死という超肉体派バラエティ。
天功が亡くなったのはこの放映から4年後の1979年で享年45歳。
80年代、90年代もご存命だったらたけし軍団やダチョウ倶楽部とどんなマッチアップを見せたのか?
つくづく惜しい早逝のスーパースターです。