録画した日〔2013/3/30:サムライTV〕
昭和55年9月に行われたNWA世界戦と暮れの最強タッグ決定リーグ優勝戦の2本立て。
9月のNWA戦は美獣・ハーリーレイスvs仮面貴族・ミルマスカラスという、全日ならではの超豪華な一騎打ちとなりました。
3日前に馬場さんを倒して世界最高峰返り咲き(4度目)を果たしたばかりの王者レイスは、大ボラアナウンサー・倉持さんに言わせると「世界中3000人のプロレスラーの頂点にいる男」。
この称号が凄いんだか凄くないんだかはよく分かりませんが、飾りっ気のないジャージ姿が一層凄玉ムードを醸し出す、文字どおり世界最高峰に君臨するミスタープロレスです。
チャレンジャーの仮面貴族にとって日本マットはホームリングのようなもの。これまた倉持アナ言うところの「全国20万人のマスカラスファン」が力強く初戴冠を後押しします。
この20万人という数字が多いのか少ないのかはともかく、戦闘モードのアニマル柄オーバーマスクは世界最高峰への並々ならぬ意欲の現われでしょう。
過去にテキサス州ヒューストンで数回実現しただけというドリームマッチは、マスカラスの柔とレイスの剛ががっちり噛み合った好勝負に。
(何の目的もなく)トップロープに登ったら見つかってブン投げられちゃうという、横綱土俵入りにも似た厳粛なNWA王者の儀式も滞りなく取り行われました。
結果は昭和プロレスの不文律に則り、両者リングアウトで美獣が返り咲き後初の防衛に成功。
全国20万人+解説席のゴング竹内さん(熱狂的マスカラス信者)には残念な結果ですが、プロレスに対する哲学と信念を持ったビッグスター2人の攻防は見どころ満載の重厚マッチでした。
昭和55年の掉尾を飾る最強タッグ蔵前決戦は、馬場&鶴田vsザ・ファンクスの友情対決。星取り上は、引き分けでも優勝のファンクスが有利な立場です。
それにしてもビックリするのはテキサス荒馬兄弟の異常人気。
この日の蔵前国技館は、全日の大正義である馬場さんとジャンボにとってまさかのアウェイモードとなってしまいました。
手の内を知り尽くした両チームは40分超の大熱戦を繰り広げますが、フルタイムドロー直前の43分、NWA公認レフェリー・ジョー樋口は唐突に馬場&鶴田の勝利を宣告します。
これは試合権利があることを忘れてテリーが場外乱闘に没頭したため。優勝目前だったファンクスが無念のリングアウト負けとなってしまいました。
全日らしからぬ不明瞭決着に、馬場さん含めてポカーン状態の超満員蔵前国技館。
ブッチャーやシークの凶器殺法は完全スルーのくせに、タッチしたかしないかは厳しくチェックしてやがるNWA公認ハゲの裁量にはいささか疑問が残ります。
最強タッグ優勝はもぎ取ったものの、超人気ファンクス台風に圧倒された感のある馬場さんとジャンボ。
空気を読んだジャンボはちょっとヒールっぽい動きも見せていました。
一方の馬場さんは終始どこ吹く風のマイペース。
前年のブッチャー&シークと翌年のブロディ&スヌーカ(withハンセン)の狭間で光った、なかなか味わい深い師弟コンビのファンクス対策でした。