録画した日〔2013/4/19:TOKYOMX〕
「シルバーリーグ」巡業で三重県四日市市に降り立った日プロ主力4人衆。
四日市では”四日市ぜんそく”が社会問題化、当地の環境はコンビナート地帯から吐き出される煤煙により酷く澱んだ劣悪な状態でした。
大気汚染でどんより曇った四日市駅前。
荒鷲・坂口征二は開口一番「こんな酷いところじゃ立派なファイトができないな」と大暴言。コンビナートに負けず劣らずの劣悪ガスを噴射します。
リスペクトに欠ける若き荒鷲に御大・馬場さんと若頭・猪木は閉口気味。
猪木は「相手だってそうじゃないか」とコンディションは皆同じである事を至極真っ当に諭します。
そして馬場さんは「弘法筆を選ばず」と深いんだか浅いんだか良く分からん説法を展開。
しかしそもそも、プロレス界でも稀有な常識人・坂口征二があんな暴言を吐くものなのか?、私としては、馬場さん主導のメディアを活用した巧妙な若手潰しと捉えます。
四日市市民体育館のラインナップは伊達タイガーvsビッグアマゾン、坂口征二vsミスターゼロの2大シングルマッチ。
地方興行とはいえ、日プロのホープ2人がメインとセミを張る大抜擢となりました。
メイン戦を任された伊達タイガー。しかし試合前のリラックスタイムに、番記者から思いもよらぬ慈善ネタがもたらされました。
盟友坂口の心配、メインイベンターの責任などどこ吹く風、伊達タイガーはお気に入りの黄色いトレーナーに着替えて現場へ急行します。
伊達タイガーが飛び付いた慈善ネタとは、ぜんそく問題の諸悪の根源であるコンビナート煙突によじ登って籠城してるちびっ子の説得。
ちびっ子の要求は全コンビナートの稼働停止です。
ちびっ子が孤児だからというだけで、誰からも頼まれてないのに煙突によじ登っての説得交渉を請け負った伊達タイガー。
慈善ネタに前後の見境がなくなってしまうのは良くも悪くも彼の持病です。
なお、ちびっ子説得の決め手は「煤煙の届かない高台にちびっこハウスを移転する」という公約。
デキもしない公約をした伊達タイガーはそれはそれで問題ですが、暴走デモの対価をきっちり手に入れたこのちびっ子のタフネゴシエーターっぷりは大いに称賛されるべきでしょう。
色々あって迎えたメイン戦は、ビッグアマゾンの極悪メリケンサック攻撃を凌いだ伊達タイガーが完勝。セミファイナルでミスターゼロを撃破した坂口とともに、日プロ新世代の躍進を猛アピールしました。
なお、この勝利が「シルバーリーグ」の星争いにどうリンクしているのかは相変わらず不明です。
伊達タイガーにとって気掛かりだった「ちびっ子ハウス移転」の公約問題は、馬場さんの寄付(四日市大会の売上の一部)と煙突籠城事件のマスコミ報道で翌日すんなり解決。
真の勝利者は、全コンビナート停止の大義名分デモからハウス移転という実利をもぎ取った暴走ちびっ子であると言えるでしょう。。
どす黒い描画と、おどろおどろしいBGM&効果音に終始した異色の今回#55。公害の街・四日市をヒールとして徹底的にバッシングした印象です。
私には当時の世間の温度や製作者が向けたベクトルを知る由もありませんが、子供向けプロレスアニメにしてはちょっとやりすぎ、主義主張が強すぎな陰鬱社会派エピソードでした。