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2014/09/28

ワールドプロレスリングクラシックス#66「外国人レスラー特集」

録画した日〔2013/11/30:テレ朝チャンネル2〕

昭和と平成をまたいだ3試合。
アンドレ、エルヒガンテの2大ガリバー旅行記が中心です。
昭和58年11月のMSGタッグリーグ高崎大会。
グンマーに上陸した大巨人アンドレは何やら不機嫌そう。高崎ダルマ級の超巨大フェイスで会場をムスッと一瞥します。
アンドレのご機嫌をそこねたと思われるのは、この日の対戦相手・ドラゴン藤波&スパークリングフラッシュ前田日明。
見栄えが良くて人気抜群のフレッシュコンビですが、大巨人の文字どおり上から目線からすればプッシュされてヒーコラ頑張ってる若造2人といったところでしょう。
イライラアンドレの公式戦パートナーを務めるのはS・ハンセン。
この“S”はもちろん「スタン」ではなく「スウェード」のS。日本プロレス史上最大級の名前負け出オチ野郎です。
ちなみにS・ハンセンは50歳のロートル。よって試合はアンドレの一人舞台となりました。
そんな難攻不落の人間山脈登頂に挑む新日フレッシュコンビでしたが、2枚重ねフォールから仲良く吹っ飛ばされるという小兵雑魚コントの洗礼を受けてしまいます。
“人間エグゾセミサイル”18文キックで前田を撃墜したアンドレ。
古舘伊知郎率いる超過激テレ朝実況席の情報によると、アンドレはこのリーグ戦を制するために嗜みをビールからワインに変え20kgの減量を実践したそうです。
ここで「いや、そもそも…」と突っ込む輩は前田同様18文エグゾセ砲の餌食となるでしょう。
終始のびのびと格下イジりを楽しんだアンドレ。試合前のイライラは定番ムーブの範疇だったのでしょう。
なお相方S・ハンセンは、この後の大阪大会でマードック&アドニスの場外パイル葬を食らって病院送りの憂き目に。
勝ち点トップなのに優勝戦棄権という、アンドレにとっては無念のリーグ戦となってしまいました。

遠近法が崩壊したような平成7年2月の札幌中島体育センター。
後のブルージャスティス・永田裕志が対峙するのは身長231cmの超巨人・エルヒガンテ。まさに「白目」を剥くほどの高低差です。
この試合はヒガンテおもてなしモードの1対2ハンデキャップ戦。永田のパートナーは安田忠夫でした。
195cm/130kgという、日本人としては規格外のサイズを誇る安田。
そんな元小結スモウレスラーをハンデ戦噛ませ犬に据える点からも、エルヒガンテの超規格外っぷりがうかがえます。
とはいえ、エルヒガンテのプロレス適性はトホホの一語。悪い言い方ですが見世物小屋の域が精一杯というクオリティです。
一方、世界8番目の奇跡でありながら生粋のプロレスラーとして業界に君臨した「大巨人」アンドレ・ザ・ジャイアント。
そんな偉大なる先人のフォロワーと定義づけられた事こそ「超巨人」最大の悲劇であったのでしょう。

平成5年5月3日、新日初侵略の福岡ドームに鳴り響く大音量のリアルアメリカン。55,000大観衆の前に超人・ハルクホーガンがその姿を現しました。
その腰に巻かれているのはヨコヅナから奪還したばかりの「WWF」世界ヘビーベルトです。
ホーガンにとって8年ぶりとなる新日マット。そこで待ち受けていたのは「IWGP」のベルトを保持するザ・グレート・ムタでした。
ただし「スーパードリームマッチ・リアル・アメリカン」と銘打たれたこの試合はノンタイトル戦。
絶対的キャラを誇る両雄の初遭遇に獲ったり獲られたりのアングルは不要ということなのでしょう。
ホームの利を生かしたムタは、花道に寝っ転がったり縄梯子で空中ブランコしたりの自由奔放な変則ムーブでこのドリームマッチを掌握。
現役WWF王者にしてIWGPレジェンドでもある超VIPに対し、不遜の極みのおもてなしを敢行します。
一方、スライディングレッグシザースやアームロックなどの「新日流」をきっちりと披露していくホーガン。
これらは当時のWWFでは見る事ができない日本限定のレアなムーブ。
闘いの大海原・新日マットは、ムタだけでなくホーガンにとってもホームリングです。
新日流のみならず「ムタ流」にも理解を示すこの日のホーガン。イス振りかぶったら顔面に毒霧…、という不条理なお約束にも律儀に対応します。
しかしムタはこの見せ場で顔面を外すという痛恨の誤射。そしてお腹に噴射された毒霧を顔にこすり付けて悶絶するホーガン。
8年の歳月は超人を空気の読める大人レスラーへと成長させました。
やりたい放題のムタに対し一歩引いて花を持たせた感のあったホーガン。平成新日が放つイケイケムードに諸々自重したのかもしれません。
マサ斉藤withタイガー服部プロデュースのスポット参戦は純製ビジネスか、それとも自らのルーツを辿る癒やしの旅だったのか…。
結果としてなんとなく前者となったような気がします。
つくづく残念なのは”ベビーvsヒール”の構図がないまま両雄をワンマッチに解き放ってしまった事。
これが新日の流儀といえばそれまでですが、例えばムタに大ブーイングが注がれるストーリーを作りこんでくれたら、この試合はプロレス世界遺産級になっていたのではないでしょうか。

そういえば、このグレートムタも「外国人レスラー特集」の適用範囲なのかも…。