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2013/12/28

WWE PPVスペシャル「WWE TLC:テーブル、ラダー&チェアー 2013」

録画した日〔2013/12/27:スカチャン1〕

2013年を締めくくるPPV。
メインはWWE王者・ランディオートンと世界王者・ジョンシナによる世紀のベルト統一戦です。
ハシゴを登りきり、世界統一の偉業を成し遂げたのは毒蛇・ランディオートン。
試合のキモと思われたトリプルHの乱入はなく、10年来のライバル2人がデスマッチの範疇で真っ向からぶつかり合った素晴らしい試合内容でした。
ふんだんなアイディアと献身ムーブで机、ハシゴ、イスの基本セットを使いこなす両雄。
多忙な「通常業務」の傍らでどうやってシミュレーションを積んだのか…。その順応力は賞賛すべきでしょう。
そして終盤、オートン持参の追加オプション・手錠が勝負を決定づけるスパイスを効かせます。
シナをサードロープに括りつけたオートン。
手錠縛りと言えば昭和62年海賊男による大阪城ホール事変。そして海賊男=ビリーガスパーと言えばボブ・オートン・ジュニア…。
この手錠アングルは、バカ息子・ランディからオヤジへの25年の時を経たオマージュであると超解釈するべきでしょう。(ただし大阪城の海賊男はクロネコ)
オートンの極悪作戦に絶体絶命のシナでしたが、なんと括られてるサードロープそのものを外すという豪快無比の大脱出を敢行。
なるほど、この発想はなかった…。
トリプルHが乱入→前回RAWの伏線回収でシナ救出、という妄想をふくらませていた私はまだまだ甘いという事になります。
脱出はされたものの、オートンからすればロープをブラブラ引きずるシナなど無問題。きっちりベルトをGETしてマクマホン家から祝福を受けました。
なお試合開始からエンディングに至るまで、介入、裏切り、どんでん返し系のドラマは一切無し。
これは2本のベルトに対するマクマホン家の敬意の表れなのでしょう。
いつものとおり、諸々の要件追加、補正は翌日のRAWで行われる模樣。
レッスルマニアへの道が始まる事もあり、オートンがすんなり統一王者に収まるとは思えません。

そしてやや気になったのが久々登場だった御大ビンスマクマホンのコンディション。いつものギラギラがなく、何だか右半身がかったるそうな感じが見受けられました。
年相応と言えばそれまでなんですが、どうぞご自愛いただきたい悪の総帥です。

①開会演説:トリプルH夫妻
歴史的統一戦を前に喋りたくてたまらない悪のCOO・トリプルHが嫁・ステファニーを同伴してオープニングに登場。
歴代王者の羅列に自分を含めなかったのは、どういう風の吹き回しでしょうか。

②CMパンクvsシールドの3人
イケメンと薄毛の同士討ちを誘ったCMパンクが、これっぽっちもオイシくない1対3理不尽ハンデキャップ戦を克服。
これを機に、鉄の結束を誇るシールドに亀裂が生じる事はあるのでしょうか。

③ディーバ王座戦:AJリーvsナタリア
スラミー賞で無冠(受賞者はよりによってベラ姉妹)に終わった怒りのAJリーがちょっとズルして長期防衛ロードを堅守。
この最強王者に勝てるのは、一番強そうなセコンド・タミーナスヌーカだけでしょう。

④IC王座戦:ラングストンvsダミアン・サンドウ
それなりに会社から期待されてる中堅2人の王座戦は、相変わらずトンデモない筋肉のラングストンが圧勝。
だからといって来年がラングストンの年になっちゃっても困るんですが…。

⑤タッグ王座4ウェイ戦
ヒール2組(ライバック&アクセル、国粋主義タッグ)が早々に退場するという珍しい展開。
残されたベビー組同士の攻防は、陥落が既定路線と思われた王者ローデス兄弟が凸凹コンビ・ビッグショー&ミステリオを封じ込めました。

⑥Rトゥルースvsファンクサウルス・クレイ
近ごろ凶暴化してるファンクサウルスが、相方・テンサイと専属の踊り子さん2人を追放する暴挙。
ファンクサウルスはともかく、ここはお役御免のテンサイ=ジャイアント・バーナード新日復帰フラグと解釈したいところです。

⑦ノーDQ戦:ミズvsコフィ・キングストン
事前のアオり番組で乱闘が勃発し、そのまま緊急決定されたらしい因縁カード。
もちろん本当の意味での急ごしらえじゃないのでしょうが、お客さんはご丁寧な「boring」チャントでやっつけ仕事をバッシングです。

⑧ダニエルブライアンvsワイアットファミリーの3人
CMパンクに続きたかったブライアンでしたが、ワイアットファミリーの前に惜敗。
ただ、ファミリーのデブ大将が放つスピリチュアル系のキモさを見ていると、そんな勝ち負けの機微などどうでも良くなります。

WWEスマックダウン #747

録画した日〔2013/12/24:JSPORTS4〕

前回RAWでトリプルHの嫁・ステファニーに不慮のタックルを敢行してしまったランディオートン。
ポートランド大会のリングで、夫妻への公開謝罪をする事になりました。
RAWにおける事象はオートン側に過失ゼロの明らかなアクシデント。
しかしとにかく威張りたいトリプルHは、被害者ヅラを通り越した超悪辣ドヤ顔でオートンへの怒りをブチ撒けます。
こうして迎えたメインのリング。背水のオートンは、傲慢キャラをかなぐり捨て殊勝に詫びを入れます。
そして強大な権力と器のデカさをアピールしながらこれを受け入れたトリプルH。
身内に甘く従業員と客には厳しい悪のCOOとして、ぐうの音も出ない万全のリカバリ術です。
どうにか許しを得たオートンが抱える次の懸念は、前回RAWのオーラスでジョンシナがCOO夫妻と接近遭遇した事。
これについて心配無用と宣言したトリプルHですが、明らかにアヤしい顔をしています。

PPVは48時間後。トリプルH&シナの禁断コラボは実現するのか?
絶妙な謎掛けを残した直前アオリ大会でした。

<メモ>
  • 極右オヤジ・コルター、サンタクロースを不正入国者として糾弾

2013/12/25

タイガーマスク #90「無冠の王者」

録画した日〔2013/12/20:TOKYOMX〕

ミシガン州デトロイトに乗り込んだミスターX。
伊達タイガーの刺客として、地元の有望レスラーを日本マットに送り込む事が目的です。
ミスターXが目を付けたのは絶大な人気と実力を誇る「ザ・ミシガニアン」でした。
ちなみに北部デトロイトはアラビアの怪人ザ・シークのテリトリー(当時)。
下手な引き抜きビジネスを仕掛けた場合、顔面に報復の火炎攻撃を食らう危険性をはらんでいます。
ミシガニアンはそんなレスリングビジネスと一線を画す孤高の賢人タイプ。ミスターXが提示した高額のファイトマネーに心を動かす事はありませんでした。
ちなみに「中の人」はビッグネーム・森山周一郎氏が担当。
その苦みばしった風貌など、名優・チャールズブロンソンへのオマージュと思われます。
金や名誉で動かないはずのミシガニアンですが、結局ミスターXと日本行きのジェットに搭乗。
しかしこれは黒い勧誘に陥落したためではなく、伊達タイガーと真の闘いを追求するための決断でした。
この手の「理想のプロレス系」離合集散は、昭和のプロレスファンが何度も騙されたもの。
まあ、ミシガニアンには大タニマチなど背後関係がなさそうなのでとりあえず信用してもいいでしょう。
ところが来日したミシガニアンは、日プロブッカーの馬場さんに直接プロモートを依頼する仰天行動に打って出ます。
虎の穴のブラック要素を排除したいが故の直談判ですが、これはプロレスラーとして最悪のダブルクロス中抜け行為。
ビジネスに興味が無いのとルールを守らないのは別の話。どうにも七面倒臭いガチンコ野郎です。
一方の伊達タイガーは、ミシガニアンに付きまとう虎の穴の影にやや訝しげです。
しかし、最近は八百長レスラー・アキラローゼとのシングル戦などマッチメイクに恵まれていない事も確か。
真の闘いを求める漢2人は、引き寄せ合うかのごとく日本武道館での一騎討ちを迎える事となりました。
シューター同士のマッチアップは、ともすれば自己満足のバチバチ系、ネチネチ系の攻防に陥りがち。
しかしそこはそれぞれ日本、デトロイトでトップを張る両雄。
あくまでもプロレスの範疇でスイングし、武道館を感動と熱狂の坩堝へ誘います。
エプロンから凶器を手渡すミスターX。この悪徳プロモーターもあくまでプロレスの範疇でスイングしたかったのでしょう。
しかし、これをミシガニアンが良しとするはずはなし。
律儀なヒールムーブはガチな無冠の帝王に即刻却下されてしまいました。
フルタイムドローに終わった不純物ゼロのピュアな一戦。試合後の清涼感は1988.8.8横浜文体の猪木vs藤波に近いものでしょうか。
すべてを出し切った正統派ファイトに、両雄はもちろん武道館のお客さんも大満足です。
かたや大団円のバックヤードでガックリ落ち込むミスターX。
遠路招聘した刺客が逆に伊達タイガーの闘魂に火を点けてしまうという、無能丸出しの完全なウラ目状態です。
もはや通常業務でのリカバリは不可能な段階か…。
幾多の同業者がそうしたように、リングに登場して面白おかしく痛め付けられる道も視野に入れるべきでしょう。

2013/12/24

田コロ決戦!新日本プロレス闘魂史(#43)

録画した日〔2013/3/30:サムライTV〕

昭和56年9月23日に開催されたブラディファイトシリーズ最終戦田園コロシアム大会からの3試合。
「田コロ決戦」として崇められる昭和プロレスの金字塔です。
9.23田コロを伝説たらしめる所以は、もちろんアンドレ・ザ・ジャイアントとスタン・ハンセンの一騎打ち。
超満員13,500人の大観衆は合計体重400kgの「バトルオブスーパーヘビーウェイト(by古舘伊知郎)」に失神寸前の大興奮状態です。
日本プロレス史上最高レベルのビッグマッチ。何度見ても圧巻なのは人間山脈・アンドレのポテンシャルです。
ハンセン寄りの田コロ観客席を”シャーラァーップ!”とアオり、飛んだり極めたりのジャパニーズスタイルを楽々こなすその勇姿は、日本以外の「何も知らない」世界のプロレスファンにとって驚愕必至のクオリティと言えるでしょう。
コンディション抜群のビッグボスに引っ張られ、ブレーキの壊れたダンプカー・ハンセンもエンジン全開。
230kgの大巨人をボディスラムでブン投げた瞬間は「世界で5人目!世界で5人目!!」の超過激古舘節と共にプロレスファンの間で永遠に語り継がれていくでしょう。
目くるめく肉弾戦は昭和プロレスお約束の場外戦へ。
東スポ・桜井さんの「これはもう、止めようが無いですね」のテキトー解説に見られるように、ファンにとっては既定路線、納得ずくの不透明両リン決着のはずだったのですが…。
闘い足りない両雄はカウントアウト決着に文句たらたら。
これを受けたレフェリー・ミスター高橋、超過激な仕掛け人・新間寿、WWFの悪徳マネ・アーノルドスコーランの超インチキ野郎3人衆は、まさかまさかの時間無制限エクストラマッチを決議しました。
昭和プロレスのレギュレーションを根底から覆す超展開に田コロはこの日何度目かの沸点到達。
この異常テンションに呼応したアンドレとハンセンは、尋常でないハイスパットレスリングを繰り広げます。
大巨人お約束のロープ絡まりムーブもこの日は豪快そのもの。ハンセンも珍しいオーバーアクションでアンドレの渾身芸にレスポンスしました。
エクストラマッチ終盤、黄金の左腕・ウエスタンラリアット炸裂で田コロはホントにホントに大噴火。
昭和のプロレスファンとしてはこれでもうお腹いっぱい。
このうえ完全決着が着こうもんなら死者が出るレベルの阿鼻叫喚壮絶バトルオブスーパーヘビーウェイトです。
そんな世界遺産級の激戦に終止符を打ったのは、右腕にサポーターを巻いたアンドレによる大巨人ラリアット。
その人間凶器がハンセンではなく何故かレフェリー・ミスター高橋に向けられたのは、フランス人アンドレ・ザ・ジャイアント流の謎掛け、エスプリと解釈するべきでしょう。
重厚エクストラマッチの更なるエクストラ番外乱闘では、後のスパークリングフラッシュ・前田日明がハンセンのグローバルハンマー式ラリアットの餌食に。
この日の犠牲者は前田1人だけ。まさしく選ばれし者の恍惚と不安です。

バトルオブスーパーヘビーウェイトの熱風が吹き止まぬまま、田コロ決戦はメインイベント「IWGPアジアゾーン予選」猪木vsタイガー戸口に突入。
その試合開始前のリングには、マット界のドレスコードをパーフェクトに満たした国際軍団・ラッシャー木村&アニマル浜口が陣取ります。
2人の目的は来月に迫った10.8蔵前決戦のプロモ。
超過激予備軍・保坂アナの直撃インタビューを受けた総大将ラッシャーは、出場にあたっての用件とそれに対する準備進捗状況を切々とブチ上げます。
「こんばんは」
「あのですね、10月8日の試合は、わたくし達は、国際プロレスの名誉にかけても必ず勝ってみせます」
「またですね、その試合のために、今、わたくし達は、秩父で、合宿を張って、死に物狂いでトレーニング…、トレーニングをやっておりますので、必ず勝ちます」

狂熱の田コロをクールダウンさせるに余りある、なんとも律儀な対新日宣戦布告。
これこそ、1981.9.23もう一つのレジェンド「こんばんは」事件です。
不意打ちのマイク爆弾、突如襲い掛かった“笑ってはいけない”超過激シチュエーション。
総帥・猪木は陥落寸前となりながらも、持ち前のバーニングスピリットで大惨事の類焼をなんとか食い止めました。
ちなみにこの新日魂は、10年後の1990.2.10東京ドーム「時は来た」事件において極悪バタフライ・蝶野正洋が継承しています。
一気に秋風の田コロに再び熱風を吹き込んだのはラッシャーの懐刀・アニマル浜口。
「オレ達が勝つぞ、10月8日を見てろ!」と実にプロレス的な怪気炎を上げ、大将の失策を気合でリカバリします。
生き馬の目を抜くバラエティ業界で重用され続ける浜さん。
そのキャラおよびバイタリティは、こうした修羅場をくぐり抜けた経験から培われたものなのでしょう。
いろんな出来事にすっかり持ってかれた感のあるアジア予選は、珍しいグランド卍固めでタイガー戸口がタップアウト。
壮大なIWGP構想の実現まで1年を切り、提唱者・猪木のテンションもとりあえず上がってきたようです。

実に27回目の防衛戦を迎えたWWFジュニア王者・藤波辰巳。
アイドル顔負けのカウボーイスタイルは、セコンドのWWF常任理事(!)野末陳平のボンクラ顔とのコントラストも相まって眩いほどの精悍さを誇ります。
翌月にヘビー級へ転向するドラゴンは、必殺ドラゴンロケットをブッ放すなどJr戦士のスタイルで全力投球。
チャレンジャーの孤狼仮面・エルソリタリオを完封し、一心同体、代名詞のディファジオメモリアルをガッチリと守り抜きました。

閑静な田園調布のド真ん中で大爆発した史上最高クラスの神興行。
この3戦の他にもエルソラール脱臼事件(=小鉄の理不尽荒治療)などミラクルが連発しました。
ただし、大巨人の巧さと不沈艦の勇気あるバンプが完全融合した「アンドレ-ハンセン」はミラクルでなく必然か。
日本のプロレスを深く理解する2人だからこそ生まれた昭和のマスターピースと言えるのではないでしょうか。

2013/12/22

ヒーロー達の名勝負「オグリキャップ復活のラストラン」

録画した日〔2013/11/2:NHK総合〕

第35回有馬記念(平成2年)におけるオグリキャップ復活の真実を探るドキュメント。
鞍上だった武豊を始め、瀬戸口調教師から獣医さんまで様々な関係者の証言で構成されます。
あれから23年、もはや一滴の雫も残らない程に語り尽くされた奇跡のラストラン。
今さら驚愕の初公開秘話などある訳もなし、でもやっぱり西陽掛かった冬枯れのターフ、ギューギュー詰めの中山スタンド等々とセットで年に一度は振り返りたいオッサン殺しコンテンツです。
獣医さん曰く、オグリの心拍数はサラブレットの常識を超えた驚異的なものだっととの事。
そしてこの数値は、惨敗を喫した天皇賞やジャパンカップでは一般的な値に落ちてしまっていたようです。
これは新しい発掘ネタなのか?
たとえプロレススーパースター列伝的な大ボラだとしても、オグリならあり得ると思わせるのが超アイドルホースたる所以です。
レースの分析では、極端なスローペースにきっちり折り合った人馬のファインプレーをクローズアップ。
しかしこれはそもそも、逃げ馬ミスターシクレノン・松永幹夫現調教師が出遅れた事によるもの。オグリ原理主義者として未来永劫賞賛したいミッキーの超ファインプレーでした。
いろんな分析やら証言よりも嬉しかったのはラストラン実況のNHK版が聞けた事。
「さぁ頑張るぞ」のラジオたんぱ版と「”右手”をあげた」のフジテレビ版は何度も聞いたのですが、「ラストランはウイニングゴール!!」のNHK版は23年目にして初めて聞きました。
オグリを勝利に導いたモミアゲのない武豊21歳。
「天才」とカテゴライズされていた事により、当時は逆に凄さを感じなかった気がします。
しかし、今のJRAの21歳ジョッキーに同じ事ができるか、そもそも同じシチュエーションに身を置く事ができるかを考えると、この男の大正義っぷりが際立つというものでしょう。
絶頂期の主戦・南井ジョッキーもコメンテーターとして登場。G1連闘のくだりは「そもそもお前が秋天で…」と言いたくなるもどかしさです。
ちなみにこの他では河内ジョッキーが参戦。オグリの笠松時代の戦友・安藤”アンカツ”勝己ジョッキーは不参加でした。
大復活に至る乱高下プロセスはもちろん、中山競馬場の17万人大観衆、特別番組やら何やらメディアの破格の扱い等々「もう一回やれ」というのが絶対に無理な壮大ドラマ。
オグリキャップというヒーローの存在は、その再来を待つのではなく現実離れしたお伽話として熱く語り継いでいくべきものなのかもしれません。