昭和57年の年間ベストバウトに選出された2.4東京体育館・馬場vsハンセン。
その2ヶ月後の4月22日、場所も同じ東京体育館で両者のリマッチ（PWFヘビー級戦）が行われました。
なんだか渋い顔なのは試合終盤に食らったウエスタンラリアットのダメージではなく、そのちょっと前にやらかした「大ポカ」が起因しているものと思われます…。
「2.4」で見せた腕殺し戦法とのアクセントなのか、この日はジャイアントキチンシンク、ジャイアントストンピングといったキック系の打撃技を中心にハンセンをグイグイと引っ張ります。
時折繰り出す不規則で危なっかしいムーブは、馬場さんとの信頼関係が順調に構築されている証とも言えるでしょう。
これを受けて更にギアが上がったのか、試合終盤、馬場さんは人類初の驚愕ジャイアント殺法を発動しました。
まさかまさかの超展開に、実況席のホラ吹きコンビ・倉持アナ&東スポ山田さんも状況に食らい付くのがやっとです。
倉持アナ「そして馬場がぁ、何を出すのか!」「ウルトラCか!!、G馬場のウルトラCか!」
山田さん「…」
倉持アナ「セカンドロープ!」「そして、おっとトップロープに馬場がアガった!!」
山田さん「…」
倉持アナ「そして何だ!!」「そしてアーッと!」
山田さん「…」
倉持アナ「ニードロップは失敗」「ウルトラC、ジャイアントストンピングと言っていいでしょうか…」
倉持アナ「ウルトラC、失敗ですねぇ!」
山田さん「そうですねぇ、ジャイアントストンピングを狙ったんですねぇ」
倉持アナ「そうですねぇ、惜しい…かったですねぇ」
案の定この直後ハンセンに捕獲され、ノド笛に必殺ウエスタンラリアットをブチ込まれてしまいました。
自分も一度はブン投げられてみたかったのか？、馬場さんの意図はまったくもって不明です。
名勝負数え唄にもなり得た黄金カードもこの「大ポカ」によってちょっとスポイル気味に。これも昭和プロレスのミステリー、謎掛けの一種なのでしょう。
この時点では最高峰NWA戦線からちょっと距離を置いている美獣。WWAヘビーとかいうローカルチャンプとして悠々自適に王座奪取を狙います。
善戦マンを返上すべく、この6月に星3つパンツからフォーマルな黒パンツへ衣替えしたジャンボ。
いちおうエクスキューズ的な「きわどい判定」があったものの、ファンのガッカリ感を増幅させる陥落劇です。
この年大旋風を巻き起こした超ミラクルパワーコンビが初出場初優勝を賭けて臨む暮れの本場所千秋楽です。
なお、ファンクス関連なら偏向報道も厭わない倉持アナによると、満身創痍のテリーの元には全国の熱狂的ファンからファンレター、千羽鶴、安眠用マクラなどたくさんのプレゼントが寄せられているそうです。
そして今年も場外戦で火を吹いたハンセンの必殺ウエスタンラリアット。
犠牲者は今年ももちろん荒馬テリーファンクでした…。
テリーのバンプ芸は引退目前(?)にしてアートの域に達したと言えるでしょう。
しかし弟が場外で紙テープぐるぐる巻きという事は、リング内では兄・ドリーが孤軍奮闘のサンドバッグ状態という事。
毎度毎度のネタではありますが、必勝を期す兄弟コンビに絶望の赤信号が灯ります。
ハンセン&ブロディのツープラトン攻撃に無理やり突っ込んでルーチンワークの失神KO。テリーをも凌駕する極上のパフォーマンス、まさしく日本プロレス界の至宝です。
ちなみにプロレス界の大正義・ルーテーズのポジションはジョー樋口のサブレフェリー。
なんだか根本的に間違っているような気がします…。
思い出補正は多分にありますが、私はこの昭和57年頃から2,3年が一番プロレスが面白かった時期だと思ってます。
ただし、馬場さんのジャイアントストンピングの謎は何年経っても解けないままでしょう。
