録画した日〔2012/10/17:フジテレビ〕
1969/11/27マジソンスクエアガーデン公演から12/6オルタモント野外公演までの10日間を記録したフィルム(1970年発表)。
フジテレビ“3夜連続ロック映画企画”の第3弾(①ビートルズ②ボブディラン③ストーンズ)と言うふれ込みです。
地上波放送=一般向けという意味合いからでしょうか、歌詞や会話以外にも収録時期や場所を説明する丁寧な日本語字幕が付いていました。
映画好きには要らないモノかも知れませんが、私にとってはありがたい措置。
今まであんまり気にしてなかった、全体を通しての時系列を確認する事ができました。
そしてこれも地上波ならではの仕掛けなのか、冒頭に「LOVE PSYCHEDELICO=ラブサイケデリコ」がナビゲーター役で登場。
だがこのお二人、ブレの範囲とは言え「Jumpin' Jack Flash」を「ジャンピング…」と紹介するなどストーンズにはあんまり興味が無い模様。Wikipediaによるとビートルズが大好きなようです。
しかしそんなサイケデリコ両氏の「瑞々しい」「オシャレ」「カッコイイ」という煽りには私も完全に同意しました。
20代半ば、まさしくイケイケドンドン期の絢爛&狂乱ファッションは音楽史の重要なエッセンス。見てるだけでニヤニヤしてしまいます。
特に秀逸なのが、プロレスの殿堂・MSG決戦におけるミックジャガーでしょう。
星条旗ハット+パープルマントにオメガマークの長袖Tシャツ。タイトなパンツはジッパーがすぐに外れる仕様です。
定番「Street Fighting Man」でNYの観衆に花びらを撒き散らす姿からは、70年代に開花する両性具有キャラへの萌芽を感じさせます。
最終戦・オルタモント大会は、大荒れカオスの無法地帯。
よりによって極悪暴走軍団「Hells Angels」を警備会社に選んじゃったもんだから、ステージには暴走軍団、酔っぱらい、全裸ババァ、毛むくじゃら男等々、次々と問題児が乱入してきます。
挙句はどっから来たのかワンちゃんが闖入、ミックvs犬の異種格闘技戦が実現してしまいました。
私は”例の事件”の瞬間よりも、その一曲前「悪魔を憐れむ歌」がこのフィルムのハイライトだと思います。
治安、設備共々いつ決壊するか分からない極限状態のボロステージで、体クネクネ、扇情的なフレーズを放ちまくるミック。何食わぬ顔でリズムを刻み続けるキース、チャーリーらの楽器隊。
そのふてぶてしい姿は新時代の悪魔そのものです。ミックはさすがにビビり気味でしたが…。
オルタモントに詰めかけた30万人の元・若者たちは「12.6」を一生の思い出として年金暮らしでもしてるのでしょう。
かたや諸悪の根源・悪魔教ストーンズは、21世紀、43年後の今でもまさかの現役続行中。50周年ライブのスケジュールもいよいよ確定しました。
ロック、カルチャーの1つの区切りになったとも言える怒涛の10日間ですが、彼らにとっては「なんだったっけ、それ?」的なただの10日間なのかも知れません。