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2013/07/06

ワールド・プレミアム・ライブ「ストーンズ・イン・ハイドパーク」(THE STONES IN THE PARK)

録画した日〔2013/6/30:NHKBSプレミアム〕

昭和44年7月5日にロンドン「ハイドパーク」で行われたフリーコンサートの記録映像。
ライブシーンは実際の演奏順とバラバラ、どちらかというとドキュメント重視のようです。
伝説のフリフリ白ドレスで絶唱するミックジャガー(当時25歳)。
ステージ上の両性具有系パフォーマンスはもちろん、インタビューやらバックステージネタやらで1時間弱のこのドキュメントをひとり占めします。
キースやチャーリーは殆どのシーンで細切れカット扱い。
やっぱり昔のストーンズは”ミックジャガーとその仲間たち”だったのか?。
終始ドヤ顔&オレ節全開のフロントマンの姿を見ると、その俗説もあながち間違ってないんじゃないかと思えてきます。
このハイドパーク大会は、新米ギタリスト・ミックテイラーのお披露目会でもありました。
しかし2日前の元リーダー・ブライアンジョーンズ急逝で状況は一変。
初夏のお祭りコンサートだったはずが、謎、偏見、疑惑に満ちた前代未聞の異様な追悼イベントとして敢行される事となります。
そうでなくても悪名高き不良ロックバンドのストーンズ。草食系ギタリストにとってあまりにも過酷なシチュエーションです。
後に黄金時代のダイナモとして躍動する超絶技巧派のテイラーですが、さすがにこの日は精彩を欠いてしまいました。
まあいずれにしても、デビュー戦のルーキーを25万(映像中ミックは”65万人”と特盛り)の大群衆の前に放り込むとは、ストーンズの育成方法恐るべしと言えるでしょう。
そんなテイラーの不振もあってか、このライブは演奏がグダグダだったというのが定説です。
ただ楽器も唄もやった事がない私からすれば、この日のパフォーマンスはルーズでカッコいいグルーヴの範疇。超スローペースの「#6 Jumpin' Jack Flash」あたりはシビれる程の名演という認識です。
好き勝手にダラけるヒッピー系のお客さん、なぜかいつも警備を任される極悪暴走集団・ヘルズエンジェルス等々、1960年代終盤の空気を捉えたドキュメンタリーとしても意義のあるこの作品。
2日前の悲劇によるネガティブさは殆ど伝わってこない、いい天気がもたらした明るさとユルさが印象的です。
そんな平和ムードのおかげか、お約束のステージ乱入はちょっとブッ飛んだお姐ちゃん2,3人のみ。後の4,000人斬り男・ミックジャガーは、これっぽっちも興味を見せる事なく平然と受け流します。
全裸ババアから野良犬までが突入してきた阿鼻叫喚の年末オルタモント大会と比べたらどうって事ないイージーモード。
ブラック企業・ヘルズエンジェルスの警備員達にとっても、ちょっと物足りない夏の一日だったのではないでしょうか。

なぜか今まで見る機会がなかったこの定番フィルム。私は今回が初見でした。
盟友を2日前に亡くした極限のシチュエーションであるはずなのに、まったりマイペースで突き進むミックジャガー(と仲間たち)が強烈な印象です。
巡り巡って今日(2013/7/6)、ハイドパークへ凱旋するストーンズ。しかしこの「In The Park」の再現はもちろん不可能です。
ちょっと物足りない気もしますが、21世紀ショービズ基準の”キッチリとハメを外す”お祭りが展開されるのでしょう。