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2013/03/03

ワールドプロレスリングクラシックス#242「グレート・ムタ特集」

録画した日〔2012/12/1:テレ朝チャンネル〕

平成2年9月に行われた、ザ・グレート・ムタの日本デビュー2戦目、3戦目を放送。
ちなみにデビュー1戦目(vsサムライシロー)はノーテレビだったとの事です。
舞台は「アントニオ猪木30周年メモリアル・フェスティバル」。国内3戦目、関東初見参のグレート・ムタは、横浜アリーナの天井からスルスルっとリングインしました。
勝負の白メイクは、後にバカ殿バージョンと呼ばれます。
対戦相手はNWAのトップにして新日マット初登場のリッキースティムボート。
たいして縁のないアントニオ猪木のブロンズ像を渡された南海の黒豹は、和製カンフー少女の全力演舞にちょっと戸惑い気味。
満面のリッキースマイルとは裏腹の「ボクと新日、合ってないかも…」感が伝わってきます。
ハイテンション猪木祭りの横アリで繰り広げられた試合は古典的なアメプロ仕様。
リングイン時の沸騰具合とのコントラストを踏まえ、当時は「凡戦」だの「ショッパイ」だの散々な評価だった記憶があります。
ショッパイは言い過ぎだとして、やっぱり今見てもあんまり面白くない試合。戦犯はクールな善玉に徹したリッキーでしょうか。
会場はムタをヒールとして迎えたものの、いかんせんNWAからの「お客さん」リッキーへの感情移入が難しい状況。
もうちょっと単純な勧善懲悪アングルだったら良かったのかもしれません。

横アリ決戦の半月前に広島サンプラザで行われた馳浩戦。
この年6月の福岡決戦で後藤達俊の高角度バックドロップを食らって死にかけた馳。9月にはすっかり元気になって、黄色く明るいノーザンライトへ絶賛ギミックチェンジ中です。
初期ムタの名勝負として数えられるこの試合。
試合前はムタが赤メイクだったのに、やがて馳が尋常でない大流血で赤メイクになるという体を張った壮絶ドラマが展開されました。
タイガー服部を突き飛ばして反則負けとなったムタは「お道具箱」のリング下から担架を投入し、大流血KOの馳浩へ超高速ラウンディングボディプレスを敢行。
日本マット初公開の担架芸。本場アメリカマットから逆輸入の天才が、カッコイイヒールという新ジャンルを確立した瞬間です。
レジェンド級の和製ヒールは世紀を跨いで今でも現役。
nWoバージョン、毒グモバージョンなどチューンアップを繰り返してオドロオドロしく進化を続けています(頭髪を除く)。
しかし、2、3分でメイクがボロっと剥がれて代理人・武藤敬司そっくりの顔になるのがグレート・ムタの原点。
どう見てもいつもの武藤なのにやっぱりムタにしか見えない、天才レスラーの懐の深さを感じさせてくれるグレートなヒールです。