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2013/07/03

タイガーマスク #64「幸せの鐘が鳴るまで」

録画した日〔2013/6/21:TOKYOMX〕

東北、北陸を経て関東甲信越サーキットに突入した第2次シルバーリーグ。
今回の巡業先は山梨県甲府市です。
伊達タイガーの対戦相手はザ・エンゼルという雑魚レスラー。盛岡大会(#60)でタッグマッチながら完全粉砕している相手となります。
やや気になるのはエンゼルのルックスが盛岡大会当時と全く異なっている事。
シリーズ中のギミックチェンジとは、ブッカー馬場さんから相当なダメ出しがあったのでしょう。
雑魚ガイジン相手で余裕綽々の伊達タイガーは、クリスマスムード溢れる甲府市内をのんびり散策します。
そこで出会ったのが地元のちびっ子・太田タカシ君。
タカシ君はお父さんを交通事故で亡くしてしまい、市内の寂れたアパートでお母さんと2人暮らしをしている「交通遺児」でした。
時は昭和45年の暮れ。年間の交通事故死亡者数がピークに達した年でした。(16,000人超。現代も含め統計史上最悪の数。)
四日市公害など社会問題に敏感な伊達タイガーは、交通戦争とも呼ばれるこの深刻な現実に対しても真正面から対峙します。
健気なタカシ君や全国の交通遺児に対し、自分に何ができるのか自問自答を繰り返す真面目一本槍な伊達タイガー。
まあ、そんな伊達タイガーが普段真っ赤な超ド派手スポーツカーをブン回してちびっこハウスに乗り付けてやがる事は、ここでは一時棚上げとしておきましょう。
心優しき伊達タイガーは、さっそくクリスマスプレゼント(自分のソフビ人形)を買い込みタカシ君のアパートで夕食を共にする事となりました。
この束の間の団欒、家庭料理の味には伊達タイガーも大いに元気をもらった模様。
長期ロードの第2次シルバーリーグ。毎晩ムサ苦しいレスラー連中や強面タニマチ衆とメシを食ってるのでしょうから、確かにタカシ君&お母さんとの食卓は一服の清涼剤となったのかもしれません。
伊達タイガーは翌日の興行にタカシ君とお母さんを招待。
しかし交通遺児問題が頭から離れなかったのか、ザ・エンゼル相手に辛くも反則勝ちを拾うという不完全燃焼の一戦に終わってしまいました。
昭和の悪しき反則決着に憮然とするタカシ君。これが初観戦だったはずですが、とんだクソ試合を見せられてしまいました。
心優しいお兄さん=タイガーマスクというギミックも明かされぬまま、彼とプロレスの接点はこの日が最初で最後となるのでしょう。
山梨県だけにタカシ君がジャンボ鶴田クラスの逸材だった可能性もゼロではない。伊達タイガーのみならず日プロスカウト部門にとっても痛恨の反則決着となってしまいました。
そしてこのメイン戦には馬場さんも激昂。
覆面王座戦の挑戦者がブラックパンサーに確定したことを報じるスポーツ紙を持って、伊達タイガーのドレッシングルームへ乱入します。
群雄割拠のアメリカマットでメインを張った馬場さんからすれば許容できない塩試合、何より甲府の興行主に顔向けできない、レスラーとしてブッカーとして至極当然の臨時説教部屋です。
次回はいよいよ未知の強豪・ブラックパンサーとのタイトルマッチ。
しかしその煽りプロモは終盤のわずか1,2分で、他は交通遺児・タカシ君とのエピソードに当てられました。
何かと社会派ネタにクビを突っ込む傾向があるこのアニメ。
21世紀のオッサン目線で見ればこれはこれで悪くないのですが、昭和のちびっ子はこの展開をエンターテイメントとして楽しむ事ができたのでしょうか…。