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2013/06/23

NHKアーカイブス「サッカーにかける男たち 〜Jリーグ誕生から20年〜」

録画した日〔2013/5/5:NHK総合〕

平成5年5月14日=Jリーグ開幕戦の前日に放送されたNHKスペシャル。
Jリーグ20周年に合わせた再放送となります。
歴史的スタートアップ直前にNHKが仕掛けた煽り番組。
登場する「男たち」は、カズ、ジーコ、リネカー、加藤久、川淵チェアマンの5人。いろんな意味でJリーグ誕生のドラマを象徴するメンバーです。
品川ナンバーのブラックポルシェで颯爽とよみうりランド練習場に現れたニューヒーロー・カズ=三浦知良(当時26歳)。
あっという間にイケイケのヴェルディギャル&ちびっ子連中に囲まれてしまいます。
初代MVP、キング襲名、翌年のセリエA参戦など、その後の活躍と影響力は説明不要。
しかしそれから20年、カズが下部リーグの1選手として、あの頃以上にファンから崇められ現役を続行しているとは誰一人想像できなかったでしょう(その「下部リーグ」にヴェルディがいる事も含めて…)。
Jリーグ開幕期には94年アメリカW杯のアジア1次予選も行われていました。
今思えば、W杯前年5月の開幕は「W杯とは」「代表とは」「アジアとは」をふまえながら国内プロリーグのポジション付けを啓蒙できる絶妙なタイミングだったと言えるのではないでしょうか。

Jリーグ最大の功労者である神様ジーコ。
考えれば考えるほど「なんであの時期に、しかも鹿島に来てくれたんだろう」というミラクル感がいっぱいです。
このジーコ招聘に始まって、専用スタジアムの落成、盟主としての無双っぷり等々、地方の非ビッグクラブ・アントラーズが初期Jリーグで果たしたシンボルとしての役割は絶大なものでした。

”フラグ”という概念がまだ浸透していなかった当時「W杯得点王」「年俸3億円」「イエローカードすら貰ったことがない英国紳士」といった看板を引っさげて名古屋グランパスに降臨したガリー・リネカー。
もちろんこのNHKスペシャルはその後の「黒歴史」など知らずに制作されたもの。
リネカーに限っては、時代が悪かったと割り切って考えるしかありません。
年金リーグとも揶揄された黎明期のJリーグ。
リネカーを獲った名古屋にも世界各国から売り込みリストが届いていたようです。
ざっと見ただけでも「ドゥンガ」「ストイコビッチ」の後のJリーガーから「ジャン・ティガナ」「トニーニョ・セレーゾ」「マリオ・ケンペス」といったロートルまで玉石混交の錚々たるメンツ。
この紙っペラの扱い一つでJリーグ、ひいては日本サッカーの歴史が変わっていたかと思うと胸が熱くなります。

お宝映像連発のアーカイブをNHKスタジオで見ていたのが、開幕戦の実況アナ・山本浩とJリーグカレーの始祖・ラモス瑠偉でした。
このお二人のような、過去・現在・未来を語る資格を持つ前向きな「重鎮」キャラが確立されたのもJリーグ20年の成果物なのでしょう。
20年後のJリーグ40年企画で、川平慈英がこの席に座っていることを期待します。
J開幕当時の私は大学3年生。東京のあちこちでパンフやらグッズやらの販促品がバラまかれていた記憶があります。
あれから20年、一番伸びたのは選手=育成でしょうか。
代表選手リストに(インテル)や(マンU)といった名称が入ってくるとはまさしく隔世の感です。
不況やら多様化やらを乗り越えて程よく安定しているJリーグ。
決して高度安定とは言えないのでしょうが、フリューゲルスみたいな事を起こさない様に今後も堅実路線で進むのでしょう。
ただ私としては、ヒールポジションの金満ビッグクラブが登場してほしいのですが…。