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2013/06/08

特集 勝新太郎~甦るカツシン伝説~ ビッグショー勝新太郎「たまには歌う夜もある」

放送時間〔10:20~11:10:日本映画専門チャンネル〕

昭和53年3月にNHKで放送された番組。
超ビッグスター勝新太郎が、歌謡曲の殿堂・NHKホールで超ビッグなワンマンショーをブチ上げました。
オープニングチューンは、フジ月9ドラマ新・座頭市Ⅱ(この年1月放送開始)の主題歌「#1 座頭市子守唄」。
真っ白な装束に身を包んだ現役座頭市は、ちょっとハニカミつつも「♪子守りぃぃぃ唄ぁぁ~」と粘っこいシャウトを超満員札止めのNHKホールに轟かせます。
気持ち良く1曲目を唄い上げた勝新は「僕はアガっちゃって何もできなくなるんで…」とホステス役の研ナオコをステージへ招聘。
高そうなお酒で豪快に喉を潤します。
ちなみにこの時=昭和53年3月の研ナオコは”ちょっとした事件”の謹慎明け直後だった模様。この共演は、出直しを期す後輩への助け舟だったのでしょう。
後に自らも”ちょっとした事件”を勃発させるブリーフ愛好家。彼が業界のビッグボスとして誰からも慕われた理由がわかるような気がします。
研ナオコのリクエストでもあった「#2 座頭市」では、イントロの台詞パートで伝家の宝刀・白目芸が披露されました。
地獄の墓掘り人・アンダーテイカーやブルージャスティス・永田裕志に伝承されているエンタメ秘技。やはり本家のそれは迫力が段違いです。
勝新のルーツは長唄三味線。
このビッグショーでは研ナオコにドヤ顔でその超絶テクニックを伝授。ビッグな即席三味線教室の開講です。
しかし残念ながら続く「#3 さのさ」は三味線無しバージョン。速弾きや弾き語り等々、お父さん直伝の粋な芸をもう少し見たかった気もします。
三味線投入でエンジン全開となった勝新は、コーラスグループ・アップル&研ナオコを従え「#4 世界の果てに」「#5 アンチェイン・マイ・ハート」をパワフルに熱唱。
長唄三味線からスタンダード洋楽カバーへ豪快なシフトチェンジ。これぞ生粋の芸人・勝新太郎の真骨頂と言えるでしょう。
ショーの先導役という重要ポジションを任された研ナオコは「#6 恋は気まま」で勝新とアツアツデュエット「#7 LA-LA-LA」でソロ曲を披露してお役御免となりました。
相手が超大物だけに丁々発止のやり取りとはいきませんでしたが「6人目のドリフターズ」とも称されるそのエンタメ対応力は見ていて安心、盤石のクオリティです。
「#8 いつかどこかで」に続く「#9 カラスの子守唄」ではチビっ子をステージに上げるいい人系パフォーマンス。
客席最前列のステージ中央寄りに”たまたま”座っていたこのマシュルーム坊や。マイクを向けても無言で終始怯えた表情だったのは、勝新=座頭市が醸し出すリアル凄玉ムードによるものと好意的に捉えるべきでしょう。
「照れくさいんだけど…」と言いながら女性へのリスペクトを唄った「#10 俺より先に死ぬなよ」がビッグショーのエピローグ。
もちろん勝新における女性とは糟糠の妻・玉緒さんに他なりません。
国営放送のド真ん中で愛を叫ぶ…、勝新イズムに満ちたダンディ極まりないラストソングです。
「エンターテイナー」「芸人」「粋人」というフレーズがぴったりハマるあっという間の50分、めくるめく全10曲。
ちょっと意外だったのは、MCが終始ボソボソでパブリックイメージである豪快な大ボラが不発だった事でしょうか。しかしむしろ、そっちが勝新の素顔なのかもしれません。
つい先日(2013/6/5)十七回忌が営まれた稀代のビッグスター。
関連して暴走ドラマ警視-Kなどのアーカイブ放送もちらほら見受けられるようになりました。
私としては、映画やドラマよりも今回のような歌やトーク、バラエティで大暴れする勝新をもっと見たい。
愛のあるテレビ関係者が日本映画専門チャンネル以外にも存在する事に期待です。