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2013/01/20

NHKスペシャル「大海原の決闘! クジラ対シャチ」

録画した日〔2012/11/25:NHK総合〕

ベーリング海の入り口、北米アリューシャン列島のユニマック海峡で繰り広げられるクジラとシャチの攻防戦を撮影したドキュメント。
陸・海・空から初めて捉えられた映像だとの事です。
エサ場であるベーリング海に遥々旅して来るクジラの親子。
ユニマック海峡はその入口・関所のようなもので、獰猛なシャチが長旅疲れのクジラを待ち伏せ襲撃する構図となります。
ドキュメントの骨子は「闘い」ではなく、そんなシャチの攻撃からクジラがどうやって逃げ切るかというものでした。

①コククジラ母子vsシャチ6頭
2対6の理不尽ハンデキャップマッチはあっさりとシャチの勝利。
シャチの狙いはクジラの子供のみ。噛み付くとか喰い千切るとかではなく、上から覆い被さって海中に沈め、呼吸をできなくする殺法です。
泳ぎ疲れてヘロヘロのクジラ親子を狡猾な戦術で落とし込むシャチの悪徳っぷりが際立つ1戦でした。

②迷子コククジラvsシャチ5,6頭
もはや試合として成立し得ないこれまた理不尽なマッチアップ。どう転んでもシャチ軍団の圧勝と思われました。
しかし、そんな予定調和をブッタ斬る驚愕の超展開が闘いの大海原で展開される事になります。
シャチに蹂躙される迷子を救出に来たクジラ軍団。
ここまでなら野生の世界では有りそうな話なのですが、ポイントは乱入した救世主達がコククジラとは異種の「ザトウクジラ」である事です。
まさに団体の枠を超えた友情ストーリー。ヒール軍・シャチはクジラ越境正規軍の猛反撃の前にあえなく退散して行きました。

③運動音痴コククジラ母子vsシャチ5,6頭
もう見るに耐えないまたまた理不尽ハンデキャップマッチ。
しかも今回は、他のクジラから遅れてユニマック海峡に到着した、身体能力的にも劣るであろう母子がターゲットでした。
圧倒的なシャチ軍団の猛攻に立ち向かったのは力強い母の愛。子供を背中に乗せて海中に沈められるのを防ぎます。
しかし子供を背中に乗せるという事は、海中の自分が呼吸できなくなるという事。
先祖代々何10万年も海なんだからそろそろエラ呼吸とかできるようになれよ、と思うのは文明に飼いならされた人間の戯言でしょうか。
シャチが攻め疲れる程の母の愛・鉄壁ディフェンス。40分ロングランマッチに持ち込み、シャチ軍団を見事退散せしめました。
こんな感じで放送3試合中シャチの勝利は1試合。ただし実際は、クジラの子供の半数近くがシャチの餌食となってしまうそうです。

シャチ=冷酷無比のヒール、クジラ=情愛に満ちたベビーフェイスという対立アングルで繰り広げられるドキュメント。
そもそも番組タイトルからしてプロレス的な匂いを感じます。
タイトル文字におどろおどろしい「プロレスフォント」を使わなかった事、決闘を「血闘」としなかったあたりは国営放送NHKが超えてはいけないラインだったのでしょうか。
とにかくNHKのこの手のドキュメントにハズレは一切なし。今回も「どうやって撮ったんだ?」的な驚愕映像が連発しました。
これからもこんなA級ドキュメントに受信料をブッ込んでいってほしいもんです。