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2012/12/10

ワールドプロレスリングクラシックス#236「80年代外国人レスラー特集」

録画した日〔2012/10/20:テレ朝チャンネル〕

前代未聞の元旦興行となった昭和57年1月1日後楽園ホール決戦から4試合。
神様・カールゴッチが登場するなど「80年代」とはあんまり関係ないような気もします。
何ともおめでたい元旦プロレスだけあって、正規軍、外人軍団、国際プロ勢もひとまずノーサイドで新春サインボール投げ。超満員札止めのお客さんにビッグなお年玉をプレゼントします。
メイン戦で猪木と激突する地獄の墓掘り人・ローランボックも束の間のリラックスモードといったところでしょうか。
しかしそんな松の内ほっこりムードを切り裂く危険な男が約一名…。
佐山タイガーとのWWFジュニア王者決定戦を控えたダイナマイトキッドは、尋常でない豪速球フォームを披露。初夢気分のリングサイドに狂気のサインボール弾丸をブチ込み続けます。
これぞ爆弾小僧の真骨頂。1年365日「ダイナマイトキッド」であり続けるプロ中のプロの新年初仕事です。

サインボール投げの余韻冷めやらぬまま行われたカール・ゴッチvs藤原喜明の師弟マッチ。
当時58歳の神様。もちろん第一線から引いたポジションとはいえ、信じられないほどのグッドシェイプです。
大声援に後押しされた神様は、プロレスの芸術品・ジャーマンスープレックスホールドで藤原喜明を撃沈します。
超豪華元旦決戦のラインナップ中ではエキジビションマッチ的な扱いでしたが、醸し出すムーブは世界遺産クラス円熟の境地。
新時代のプロレス界に「それともカール・ゴッチは超大物ではないかな?」と逆アップを食らわす名人芸でした。

ニューヨークの帝王・ボブバックランドは、ドラゴン藤波の「ヘビー級転向10番勝負」の第1戦にお付き合い。
お約束のキーロック抱え上げでドラゴンの新たな挑戦を祝福します。
試合はやや不透明なカウントスリーでバックランドの勝利。ドラゴンに「負けたとはいえ…」的なエクスキューズを与える理想的な10番勝負キックオフ戦でした。
欧州ストロングファイトの帝王・ローランボックと猪木の試合は、ファンの最強探求心をくすぐる「5分10ラウンド制」。
ただし、ボックがミスター高橋をブン投げての反則負けという、プロレス以外の何物でもないお見事な結末でした。
「幻想」という昭和プロレスならではの鎧に包まれたローラン・ボック。後日談では交通事故後で絶頂期からは程遠いコンディションだったようです。
しかしそのデカさとナチュラルボディは威圧感満点。当時その「後日談」を知らないでよかった、私にとっては今でも幻想に包まれたままの未知の凄玉レスラーです。

とにかく選手もファンもハイテンションで突っ走る異例づくめの「1.1」。
直後にゴールデンタイム絶頂期を迎える新日にとって、大きなターニングポイント、エポックメイキングとして伝説的な大会といえるでしょう。
当時9歳の私もたしか生中継で見ていたか?、猪木vsボックが古舘アナの「このへんでお時間が…」でブッタ切られたのを何となく覚えています。
東京ドームがない30年前に「ホール」で決行されたドーム級のビッグマッチ。平成の世に受け継がれたお正月大会「1.4」に、この熱さとエッセンスを少し分けてあげて欲しいもんです。
ドームでサインボール投げは難しそうですが…。