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2012/12/20

座頭市物語 #24「信濃路に春は近い」

録画した日〔2012/9/12:時代劇専門チャンネル〕

前回#23の越前極寒弾丸ロケツアーに懲りたのか、今回はのどかな信濃路が舞台。
世間知らずのわがままお嬢様との2ショット珍道中という、お茶の間向け鉄板ストーリーを展開します。
極寒ロケ帰りでお疲れの座頭市を振り回したのは、元マゼラン星人・香野百合子(吉田ゆり)。地域No1名門絹問屋のご令嬢という役どころです。
このご令嬢は善光寺参りの道中で宿屋から脱走。かつての乳母に会うために1人で山麓の田舎村へ向かいます。
道中でたまたま出会った座頭市は、飲まず食わずだったご令嬢に巨大オニギリを配給。「お箸はどこですか?」とのセレブ流ブッ飛びクエスチョンには、百戦錬磨のドカ食い猛デモで答えます。
決して悪い娘ではないご令嬢ですが、「キレイだったから」と農家の畑から菜の花をかっぱらって来るなどセレブならでは仰天奇行を連発。
そのたびに座頭市は説教モードへシフト。市井人の慎ましさと社会のルールをレクチャーします。
なおこの場合、座頭市への「お前が言うな」は封印しておくのが正しい鑑賞法でしょう。
わがまま気ままのご令嬢は座頭市に反発。その隙を突いたインチキ女・新橋耐子に騙されて、裸の大将・芦屋雁之助率いるヒール軍に身代金目的で誘拐されてしまいます。
ちなみに裸の大将は脇役のヘタレヒールポジション。
乱入してきた座頭市に「いやっ、えらいとこ見つかってしもた」とビビりまくりますが、メッタ斬りの対象にはなりませんでした。
もちろん最後は座頭市がフル回転。救出されたご令嬢は名門絹問屋スタッフのもとに無事帰って行きました。
しかし大団円かと言うとちょっと違うような…。
エンディングのシーンは真っ暗な夜。例によって座頭市は、目も合わさず静かに去っていきます。
「春」である事には変わりないが何とも暗い幕引き。出来過ぎ=トゥーマッチを嫌う座頭市独特のバランス感覚、帳尻合わせなのでしょう。