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2012/07/18

ハゲタカ(上) (下) / 真山 仁

読み始めた日〔2012/7/9〕

1990年代後半から00年代前半が舞台の経済小説。
外資ファンドマネージャー・鷲津が、旧態依然の日本経済にえぐり込んで行くストーリーです。 

バブル崩壊後の失われた10年を描いた作品ですが、失われたというより取り返しのつかない10年だったんだなぁと、今更ながら暗澹たる思いになりました。
95年に就職した私は、自分達をバブルのツケを払わされている世代だと思っていましたが、今の20代30代からすれば単なる“ツケを先延ばしにした世代”に過ぎないのでしょう。
「あの時こうしてれば‥」が積み重なり過ぎてどうにもならない。かといって個人的には何もできない。もどかしい限りです。
はるか昔にTVドラマを見て、最近「2」→「1」の順にチェックした感想としては、先に「2」を読んでしまったのは失敗ということ(当たり前ですが…)。
しかし、TV版を見ていたのはプラスでした。
・ハゲタカ鷲津=大森南朋
・元バンカー芝野=柴田恭平
・ワル飯塚=中尾彬
これら役者さんの顔を頭に入れとくだけで、この本の楽しさ・緊張感は倍加。
つくづく絶妙なキャスティングだったんですね。 

このシリーズ「レッドゾーン」という続編小説や映画版もあるとの事。 時間があったらチェックしようと思います。

2012/05/17

暴動フットボール / 熊崎 敬

読み始めた日〔2012/5/16〕

作者がトルコのサッカーを見て語った本(電子書籍)。
扇情的な内容を想像しますが、全編リスペクトあふれるトルコ賛歌でした。
このタイトル、売るためのキャッチの様なものなんでしょうか。

ともかく、トルコではとんでもないシーンが日常風景のようです。

  • 基本的に凶器持ち込み可。上級者はサーベルもOK。
  • 爆竹、放火も基本フリー。チーム側が演出で燃やすことも。
  • プレシーズンマッチですら救急車に行列。喧嘩ではなく興奮して自傷したサポーター。
  • 1試合で5000席の椅子が引っ剥がされる。半分は投げるため、もう半分は前の客が頭を守るため。

相当な修羅場なのに不快感がないのは「愉快犯」がいないからでしょう。
愚直に自分のチームを応援して、相手を憎む。代を重ねてサッカーが遺伝子レベルで組み込まれているからこその価値観です。

そんな国の巨大クラブ・フェネルバフチェ監督に就任してしまった神様ジーコのエピソードも語られています。
どこへ行っても愛される「天然」と「天使」紙一重のジーコマジックには痺れるものがありました。

私は試合や選手よりも、サッカーを通して知る未知の文化、無名の市民に惹かれます。
一定の需要はあるらしくその手の刊行物はたくさん出回っていますが、この熊崎 敬氏の存在は知りませんでした。
過去モノを探して読んでみようと思います。

2012/05/15

僕はビートルズ(9)(10) / 藤井哲夫・かわぐちかいじ

読み始めた日〔2012/5/14〕

ビートルズのコピーバンド「Fab4」の4人が、本家デビュー前の1961年にタイムスリップする話。
雑誌『モーニング』に連載されていた漫画で、この単行本(9)と(10)は同日発売の最終巻です。

タイムスリップした「Fab4」は、葛藤しつつもビートルズの原曲そのままでレコードデビューし、当然のごとく大ヒットを連発。
先んじて“本家”となってしまいます。
一方のビートルズ4人は未来を盗まれているとも知らず、「Fab4」の才能に絶望してリバプールで燻っている状態。

このフェイクと本物の対面が最終巻のクライマックスとなります。
タイムスリップ物という時点でリアリティを求める必要はないのですが、程よく説得力のある終わり方でした。
結末がどうあっても、とにかくこの設定を思いついた時点で原作者の勝ちですよね。

漫画本を1巻から最後までリアルタイムで買ったのは、40年間でこの作品が初めてです。
続編や映像化はいかにも失敗しそうですが、外伝的ネタが入った小説になったら是非とも読んでみたいです。

2012/05/02

鉄の骨 / 池井戸 潤

読み始めた日〔2012/4/27〕

入社4年目のゼネコン社員・平太が、談合の闇の中で奮闘する話。
建設と全く無縁な私は、無責任にエンターテイメントとして楽しみました。
救いのない話が苦手なので、主人公とその味方たちがハッピーエンドで終わって何よりです。
それにしても「談合」という2文字、比類なきダーティーっぷりですね。誰が言い出したか知りませんが…。
ただ、昔は利益を山分けするための栄養剤だったのが、今は業界の病巣を散らすための投薬の意味合いになってるようです。
そして根本の治療は、その投薬をやめること。
薬漬けから抜けられないオールドタイマーの悲哀もグッと来る一冊でした。

2012/04/26

ハゲタカ2(上) (下) / 真山 仁

読み始めた日〔2012/4/16〕

主人公の鷲津政彦とそれを取り巻く敵味方たちの企業買収戦争です。
アホかと言われそうですが「1」をまだ読んでません。早速買おうと思います。 
ストーリー上のヒールはハゲタカではなく、守旧派と呼ばれる日本の企業文化の魑魅魍魎たち。
私とはかけ離れた世界の話なのに、身につまされる場面と台詞が連続します。
勧善懲悪で大団円を迎えた事が救いでした。 

しかし私にとってのカタルシスは、登場人物中ただ一人の「普通のサラリーマン」村岡の転落劇です。
彼は買収を仕掛けられた曙電機の社員。役付きで独自の情報網もしっかり持っているのに、直視を避け、「まあまあ騒ぎなさんな」と達観者を演じていました。
根拠のない安全意識と、誰かが何とかしてくれるという先延ばし感覚。
結局、最後の最後に何もしなかった事へのツケをまとめて払うことになります。 

それ見たことか!的な痛快さ。私の中の同族嫌悪というか何というかが騒ぎました。
本当のヒールは、ハゲタカでも魑魅魍魎でもなく、村岡=私のような行動しない傍観者という事なのでしょうね。