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2014/11/08

WWE PPVスペシャル「ヘル・イン・ア・セル 2014」

録画した日〔2014/11/6:スカチャン1〕

テキサス州ダラス開催のPPV。
看板のセル戦は2試合。メインには若手同士の対決「アンブローズvsセスロリンズ」が大抜擢されました。
PPVメインという特大タスクを全うするには、2人じゃなきゃできない事を片っ端からやり尽くすスピリットが必要。
前のめりで怖いものなし「もう後には引けない」アンブローズとロリンズは、なんと地上6mのルーフトップで戦闘を開始します。
「悪魔の遊び場」でバンプを取りまくる両雄(+ジェイミー・ノーブル&マーキュリー)。
NY上場企業施工だけに安全性は120%保証なのですが、ベロンとたわむ金網を見るにつけ分かっちゃいるけど色んな所がキュンとなってしまいます。
ルーフトップでひとしきり乱闘をこなした2人は、リングに戻りがてら金網の中ほどから仲良く超特大バンプを敢行。
ぶっ壊されるためにだけあるスペイン語実況席のみならず、大本営USA実況席も大破してしまいました。
ちなみにここまではゴング前の出来事です。
ド派手なツカミ後の本編でも身を削るファイトを繰り広げたアンブローズとロリンズ。
さすがにレッスルマニア級ではないにせよPPVメインとして満足度は十二分。結果がどうであれ2人にとっては充実の「出世作」になると思われたのですが…。
アンブローズがフィニッシュを決めようとしたところで場内は突然の停電。
このWWEお得意の電球コントロール後に出没したのは、最近リングから遠ざかっていた「ワイアットファミリー」のデブ大将でした。
伏線があったかどうかはよく分かりませんがデブ大将の狙いはアンブローズ。
「前座」に甘んじたオートンとシナはこのエンディングに完全ノータッチ。いわゆる新世代がメインストリームを独占した事になります。
サプライズだけどストーリーとしては「で、どうすんの?」という感じ。
今後はアンブローズとデブ大将、シナとレスナー(withヘイマン)、オートンはベビーターンしての対ロリンズという分散の構図になるのでしょうか。
WWEがホントにプッシュしたいのはいずれも療養中のダニエルブライアンとローマンレインズのはず。
しばらく収まる見込みのない迷走は、彼ら本命復帰までの試行錯誤、実験期間であってほしいものです。

①IC王座戦:ジグラーvsセザーロ
解説者JBL言うところの「懐かしい試合形式」=3本勝負で行われた王座戦は、王者ジグラーがそのウマ味を活用する事なく2本連取であっさり防衛。
1本勝負じゃアカンかったのか…。意図不明のレギュレーションです。

②ベラ姉vsベラ妹
「負けたら即奴隷(ただし30日間限定)」という茶番臭プンプンの条件付けがされた双子対決。
そもそもベビーがヒールを奴隷扱いするストーリーなどあるはずはなくヒールのベラ姉が順当に勝ち。さっそく妹イビリを展開しました。

③タッグ王座戦:ローデス兄弟vsウーソズ
前回PPVのリターンマッチはローデス兄弟がウーソズを返り討ち。
実質この2兄弟だけで回ってる現状のタッグ戦線。燻ってる1.5軍連中を適当にくっ付けて新たな展開を見せてほしいところです。

④セル戦:ジョンシナvsランディオートン
第4試合という冷遇にも腐らず健気に体を張った両雄。
最後はシナがオートンにテーブル葬を食らわせ、ブロックレスナーが持つ世界王座ベルトへの挑戦権を手に入れました。

⑤US王座戦:シェイマスvsミズ(&影武者・ダミアンサンドゥ)
王者シェイマスが無難に防衛成功。
しかしお客さんや実況席の視線は、ミズを何から何までコピーするリングサイドの影武者・ダミアンサンドゥ(ダミアンミズドゥ)に集中していました。

⑥ビッグショーvsルセフ
USAのラスボスと思われるビッグショーに対し、なんとルセフがアコレード(キャメルクラッチ)を決めてタップアウト勝ち。
マークヘンリーの寝返りアングルも無く、米露両軍ともいよいよネタ的に弾切れの様相です。

⑦ディーバ王座戦:AJリーvsペイジ
何だか毎回PPVで試合してる2人。
毎度のとおりAJリーが完勝しましたが、今回はペイジとアリシアフォックスの仲間割れというどうでもいい新アングルが追加されています。

WWEスマックダウン #792

録画した日〔2014/11/3:JSPORTS1〕

PPV目前のため主力メンバーがお休みのカンザス州ウィチタ大会。
ルセフとの米露決戦を控えるビッグショーはインタビュー形式のVTR参戦となりました。
聞き手はジャーナリストとしてけっこうガチな経歴を持つマイケルコール。
ビッグショーによるロシア国旗侮辱や、ルセフの米兵襲撃などのナイーブな案件を必要以上に重苦しく問いただします。
そんなコールに釣られて大巨人は神妙なリアクション。
悪いことは素直に反省、ロシアじゃなくてルセフが憎いという旨の健全なナショナルヒーローっぷりをアピールしました。
ちなみにナショナルヒーローと聞いて黙ってられないのは超人・ハルクホーガン。
PPV戦のカギは怒りの感情を抑制できるか否かだとした上で、ビッグショーに大興奮のワッチャガナドゥ系激アツエールを送ります。
ちなみにルセフ&ラナ嬢はVTRでも登場しない全休。何だかんだで出突っ張りだった2人には程よい骨休めとなったでしょう。
ラスボス感プンプンのビッグショーの先に何が待っているのか?
やっぱり勝敗よりもルセフ&ラナ嬢の今後の方向性が気になってしまいます。

2014/11/07

昭和偉人伝「梶原一騎」

録画した日〔2014/10/22:BS朝日〕

政治家や財界人、作家など昭和の重鎮達を掘り下げる番組。
今回は劇画界の超巨星・梶原一騎が特集されました。
梶原邸玄関に掲げられたド迫力のご尊顔。奥様・篤子さんの「ドロボー除け」発言もあながちネタとは言い切れません。
並立するタイガー像は昭和57年元旦の後楽園決戦で出現したものか?
だとすれば昭和プロレスファンとしては実に感慨深い創造主への帰還です。
次々と明かされる巨星のエピソード。
それらは概ね自伝/評伝で把握できる範疇ではありましたが、お宅潜入と奥様ブッキングの効果で説得力は充分。
この番組に関して大ボラてんこ盛り手法は用いられなかったようです。
「先生は天才」と律儀にマスク姿で参戦した佐山タイガー。昭和のクソガキだった私からすれば2人ともリスペクトし尽くせぬ超ド級の天才です。
リアルが原作を追い越しちゃったタイガーマスク。
そんな文字どおりの漫画みたいな奇跡はこれから先二度と起こらないでしょう。
「プロレススーパースター列伝」の原田久仁信氏も堂々の参戦。
「血のしたたるステーキ」「涙のしょっぱい味付け」「アントニオ猪木(談)」「女の子のXXを脱がすみたいでオモチロ~イ」といった名フレーズ続出の昭和プロレス大ボラ経典。
「…オモチロ~イ」に関しては氏のオリジナルではないかと勘繰ってしまうキュートな風貌です。
未完の遺作「男の星座」でもタッグを組んでいた原田氏。
“最後の原稿に血がついていた”との激烈エピソードはきっと大ボラ。これぞ私達が愛してやまない梶原イズムの真骨頂です。
ただし、世間一般における梶原イズムは血のしたたるステーキではなく「飛雄馬」と「ジョー」。
巨星とがっちりロックアップした川崎のぼる、ちばてつや両氏も証言者として登場しました。
ちば氏のオープニング改変事件など、当時の苦労話の一つ一つはすべて業界の伝説へと昇華しています。
残念なのは昭和のヒーロー「飛雄馬」「ジョー」はいずれも現代平成のモラルから逸脱してしまっているという事。
特に「ジョー」は設定自体がほぼ放送禁止、いわゆる地上波でのアニメ再放送は無理でしょう。
未来を担う平成のちびっ子達に極太の“イズム”が継承されてゆくのか不安でなりません。
もちろん「巨人の星」「あしたのジョー」の他にも前出の「タイガーマスク」や「柔道一直線」「赤き血のイレブン」など名作が無限にある梶原作品。
しかしそれらを差し置いてグロ系の「カラテ地獄変」を画面のド真ん中に並べた番組制作サイド。
「人間兇器」は入手できなかったか…。いずれにせよ梶原作品に対する熱烈な拘りがうかがえます。
格闘技界のフィクサーとしても超凄玉だった梶原一騎。
没年は50歳だった昭和62年。平成26年の今もご存命だったら77歳です。
「たられば」の話としてK1やPRIDEとは喧嘩したのか仲良くやったのか、離合集散喧しいプロレス界にはどんな睨みを効かせたのか…。
何やらドス黒い幻想が次々と沸き上がってきます。
私は、再放送で見たタイガーマスクや巨人の星に始まり30年越しで梶原ワールドをほぼコンプリート。
面白いマンガという域を遥かに通り越し、人格形成や思考回路にまでその影響が及んでいると自覚しています。
こんな男はもう出てこない、というか出てきたらいろいろたいへんな不世出の傑物です。

2014/11/06

WWEロウ #1117

録画した日〔2014/10/30:JSPORTS3〕

週末のPPVで行われる「オートンvsシナ」についてトリプルHが強権発動。
なんと勝者にWWE王座挑戦権が与えられる事になりました。
直近のオートンとシナはそれぞれセスロリンズ、アンブローズの後塵を拝しており、PPVはノーテーマの負け組対決となっていたはず。
そこにブチ込まれた迷走ここに極まれりの強引ストーリー。
いずれにせよ冷遇に甘んじる両雄にとってはとりあえずの朗報。舌戦にも自然と熱が入ります。
そんなシナ&オートンに茶々を入れに来たのはハゲデブ・ポールヘイマン。
しかし肝心の王者・ブロックレスナーは例によってお休みでした。
人件費(外注費?)削減というWWEの事情により、王者はPPVにも出て来ない見込みです。
ここで注目すべきは、ロリンズにケチ付けたりシナをリスペクトしたり何やらベビーターンの気配を漂わせるオートン。
私としては悪い奴のままでいてほしいのですが、今の扱いから抜け出せるのならどうぞ何でも手を尽くしてくれって感じです。
そもそも“$9.99”のWWEネットなんちゃらが絶不調のくせに高給パートタイム野郎をチャンプに据えてるのが諸悪の根源。
今のWWEにはカネもなければ知恵もない?
過渡期とはちょっと違う、革命戦士・長州力の言葉を借りれば「非常ベルが鳴っている」状態ではないでしょうか。

ちなみにこの日の開催地はカンザスシティ。「ロイヤルズ」が出場するMLBワールドシリーズの第1戦前夜でした。
地元イジり予想合戦はオートンの勝利(3勝4敗●ロイヤルズ)。PPV大一番に向けて幸先の良い結果となっています。

<メモ>
  • ルセフが善良な州兵をキック葬、ビッグショーは涙を流して大激怒
  • ミック・フォーリー登場、ロリンズとアンブローズにセル戦の注意点をレクチャー

2014/11/05

プロレスクラシック(21)ハンセン,ブロディ初来日&鉄の爪一家特集

録画した日〔2013/7/1:日テレG+〕

超獣コンビとエリック一家の特集。
両軍はいちおうテキサスつながりとなります。
昭和50年10月の大阪野外大会(万博公園お祭り広場)。
初来日のスタンハンセンは、日本が誇るプロレス文化「花束嬢」にデレデレニヤニヤを隠せません。
後に来日回数を「131」まで積み重ね、日本人の奥さんまで娶っちゃうほどの親日家っぷりは、この秋の日の原体験によって形成されたものと断定できるでしょう。
ハンセンの相方はカウボーイギミックの兄貴分・ボビージャガース。対戦相手は馬場さん&アントンヘーシンクの全日正規軍です。
なお馬場さんのセコンド・大仁田厚は、16年後このお祭り広場で「有刺鉄線バリケードマット地雷爆破デスマッチ(vsミスターポーゴ)」をブチ上げる邪道流立身出世を果たしました。
ヘーシンクのへなちょこ逆エビでギブアップしたハンセン。
鳴り物入りの柔道世界一とテキサスから来た変な髪型の大男。
後のレジェンドにとっては黒歴史でしょうが、昭和50年時点のパワーバランスからすると至極当然の決着です。

ハンセン初来日シリーズの締めは、後に幾多の伝説を刻み込む事となる蔵前国技館。
「前座の試合から熱気でムンムン(by倉持アナ)」という絶好ムードの中、ザ・デストロイヤーとのチャレンジマッチが組まれました。
この日のハンセンの役どころは声の大きなガサツ系面白ガイジン。
半ズボンのちびっ子がビックリして逃げまわるマス席雪崩れ込み芸は、スモウアリーナ蔵前における必須ルーチンです。
ビッグネームとのシングル戦に燃えるハンセンでしたが、テキトーにイジられた末に必殺足四の字固めで高速タップ。
これは白覆面の魔王が授けたプロレス的洗礼。
「まだまだ荒削り、スピードに難がある(by東スポ山田さん)」と評されたグリーンボーイにとって、未来への確かな糧となったでしょう。
試合後にはミニコントで初々しい尻出し芸も披露したハンセン。
日本プロレス史上最も偉大な外人レスラーのファーストステップは実に平和。ほのぼのとその幕を閉じました。

昭和54年1月5日、ピッチリ真ん中分けのカーリーヘアで川崎市体育館に降臨したブルーザーブロディ。
平々凡々だったハンセンとは異なり「未だ見ぬ強豪」「待望の初来日」と箔を付けられての新春ジャイアントシリーズ参戦です。
ブロディをお出迎えするのは馬場さん&デストロイヤーの日米看板タッグ。
参謀役はギミック面の師匠・キングカーティスイヤウケア、更にロッカールームにはダラス地区の大ボス・フリッツフォンエリックが控えるという、次代の外人エースに対して万全の支援体制が敷かれています。
既にトップレスラーだったブロディは、ワンハンドゴリラスラムなどの定番ムーブを惜しげも無く披露。
しっかり動ける超ヘビー級。
これから先、日本の大ボス・馬場さんから寵愛を受けるのは間違いありません。
そんなこんなで全方位的プッシュを受けたブロディは、なんとアトミックドロップからキングコングニーの殺人フルコースで大ボス馬場さんからピンフォール勝ちをゲット。
まさかの結末にザワザワが収まらない川崎市体育館。正月ボケも吹っ飛ぶ「ブロディ革命」勃発の歴史的瞬間です。

飾りっけのないオレンジ無地Tシャツが一層の凄みを醸し出す鉄の爪・フリッツフォンエリック。
昭和50年7月19日の長野スケートセンター大会で、全日の若大将・ジャンボ鶴田との3本勝負を迎えました。
この日のフリッツの関心は解説席に陣取る馬場さん。ジャンボそっちのけで激烈な睨み合いを展開します。
それにしても襟首ヨレヨレの白シャツを赤パンに直接inする馬場流コーデはトホホの一語。ファッション対決ではフリッツの完勝です。
馬場さんに夢中で1本目をポカしたフリッツですが、スパン32cmから繰り出すアイアンクローで徐々に試合を掌握。
コメカミを潰されてるのになぜか額のド真ん中から大流血するジャンボは、血の海の中あえなくレフェリーストップ葬を食らってしまいました。

長野で着火したフリッツvs馬場さんの因縁は7.25日大講堂決戦で爆発。
ゴング前からエキサイトする鉄の爪フリッツは、レフェリー・ジョー樋口をアイアンクローで捕獲、そのまま場外ポイ捨てという非情な殺人ムーブを敢行します。
私の知ってるジョー樋口ならこの時点で失神KO無効試合なのですが、この日は何事も無かったかのように元気にレフェリング。
マードックとか言うサブレフェリーと2人で地獄のテキサスデスマッチをコントロールします。
ちなみに「テキサスデスマッチ」とはKOかギブアップのみで決着する反則自由の決闘ルール。
名前からして十八番試合と思われたフリッツでしたが、脳天唐竹割りの連打を食らうなどして場外失神KO。
16分に渡った血みどろの死闘は馬場さんに軍配が上がります。
殴って蹴ってからのチョップvsアイアンクローという原始的コンボだけで日大講堂を沸騰させた2人。
稀代の名ヒール・フリッツはもちろんの事、王道を行く馬場さんも抜群のデスマッチ適性を見せてくれた侠気溢れる名勝負でした。

いかついテキサス親父・フリッツとは雲泥の差のイケメンに育った「エリック兄弟」=ケビン&デビッド。
昭和56年6月の秋田大会では鶴田&天龍とのタッグマッチが組まれました。
ただ、イケメンはイケメンでも弟・デビッドは雰囲気イケメンの類か。
豪快な体躯も含めてよくよく見れば親父さんにそっくり。
だからこそなおさら3年後の早逝が悔やまれる、未完のスーパースターです。
試合はドロップキック1発でジャンボが兄・ケビンからピンフォール勝ち。
絶賛売り出し中のエリック兄弟、海外武者修行帰りの相方・天龍と比べるとジャンボは頭ひとつふたつ格上。ここは貫禄勝ちの範疇となります。

ハンセンの2試合のように、当時はなんでもなかった映像が時間を経ることで重要な「クラシック」に昇華する…。これぞアーカイブの本質ではないでしょうか。
そんな“なんでもない”お宝は無限にあるはずなので、今後も続々と放出される事を期待したいと思います。