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2013/07/27

WWEロウ #1051

録画した日〔2013/7/27:JSPORTS2〕

PPV「マネー・イン・ザ・バンク」から一夜明けたNYブルックリン大会。
WWE王座を防衛したジョン・シナの次期挑戦者は、シナ本人が指名することになりました。
タナボタGM・ブラッドマドックスの仕掛けによる異例の公開セレクション。
マネー覇者のオートンや世界王者デルリオといったトップ級から、カリ、3MBらの明らかな圏外組まで、WWEオールスターが王者からの指名を待ちます。
なお、この手の全員集合モノでまず行うべきは我らがヨシ・タツ(Yoshi-Tatsu)の捜索。
しかし今回は、残念ながらステージ上にその勇姿を見つけることはできませんでした。
ファン思いのシナは、お客さんの支持=歓声が一番大きい選手をチャレンジャーに指名する方法を選択。ディーバのビキニコンテストと同じ要領です。
ファンだけでなく仲間思いでもあるシナは、いろいろ丁寧にイジりながら居並ぶ候補者達を客席にアナウンスしていきます。
こういったファン参加型のネタで必ず陥るのは、天邪鬼なお客さんによるブック破り。
NYのファンはオートンやRVD、シェイマスらを差し置いて、ステージにいないダニエルブライアンの名前を連呼。これにはシナも苦笑いだったのですが…。
言わんこっちゃないグダグダ展開と思いきや、なんとシナは次期挑戦者にブライアンを指名。するとそこに大音量のワルキューレが。
いないと思ってたブライアンの登場に会場のファンは大沸騰です。
見事なまでにお客さんとシンクロしたWWE劇場。
お客さん達はシナリオを知ってたのか、それともジョンシナ&WWE渾身のアドリブなのか?。
ネット情報を深追いするのは野暮なので、素直にサプライズとして受け止めるべきでしょう。

それにしてもこの組み合わせ、試合当日(サマースラム)は「Cena Sucks」と「Yes」のチャント合戦になること請け合い。今からシナが気の毒です。

<メモ>
  • マネー権GETで意気揚がるオートン、なぜかファンダンゴとお茶を濁す
  • 嫌われ者ヘンリーが乱入軍団シールドに撃沈される
  • ジグラー、予想どおりAJリー&ラングストンの餌食に
  • 新ユニット・ワイアットファミリー、ケインの次は微妙なポジションのRトゥルース襲撃
  • ヴィッキーゲレロが復帰への署名活動を開始
  • パンクvsヘイマンの因縁抗争にさっそくブロック・レスナーが乱入

第80回日本ダービー記念特別番組 グリーン・シネマ「幻の馬」

録画した日〔2013/5/21:グリーンチャンネル〕

第18代ダービー馬「トキノミノル」をモデルにした作品。
公開はそのダービーから4年後の昭和30年でした。
10戦10勝うちレコード7回という完全無欠の戦績を残して、ダービー制覇の17日後に命を落としてしまったトキノミノル。
生まれた時から「映画化決定」の星を背負ったスーパーホースだったと言えるでしょう。
なお、オーナーはこの映画の配給会社”大映”社長の永田雅一氏です。
そんな超大物馬主サマが制作する映画とあって、お固いJRA(日本中央競馬会)も全面協賛。
東京競馬場をロケ地として開放した結果、スタンドやらコースやら昭和30年の風景が総天然色で記録されるという嬉しい副産物が生まれました。
歴史考証的に価値がありそうなのはスタートで用いられていたバリヤー式発馬機(バリヤーゲート)。何だか適当なロープで仕切ってフワッとスタートする仕組みです。
当然「ゲートイン」という概念は無し。ペルーサやルーラーシップは生まれた時代を間違えたかもしれません。
幾多の名馬を見守った「大ケヤキ」も60年前はまだまだ小ぶり。
しかし広々としたコースや長い直線は今と変わっておらず、あらためて東京競馬場のスケールの大きさがうかがえます。

東京競馬場よりも目を引いたのは、ストーリーの大半を占めた育成牧場の素晴らしすぎるロケーション。
海があって山があって草原をSLが走ってる、我々日本人の郷愁ポイントを総ざらいするかのような絶景がこれでもかと登場しました。
育成パートのロケ地は青森県八戸市の「タイヘイ牧場」。こんないい所なら、馬だけじゃなくチビっ子たちもノビノビと成長するでしょう。
なおWeb情報によると競馬の神様・大川慶次郎はこの牧場の次男坊だとの事。何とも意外な代表産駒です。

ストーリーは育成牧場でのトキノミノル(この映画では「タケル」という馬名)と牧場一家の触れ合いが中心。
愛情を持って育成されたタケルは、山火事に巻き込まれるアクシデントも乗り越えダービー出走を目指して東上入厩します。
タケルのウイークポイントは気性難。これは前述の山火事のトラウマであるようです。
そして迎えたデビュー戦(東京競馬場)は、なんとレース前の放馬で発走除外。
その次のレースでもスタンドの大歓声に怯えて逸走という、何とも心許ない滑り出しとなってしまいました。
タケルの気性難に困った陣営は、おしゃれな馬運車を街中や港湾作業現場、鉄道高架下などに横付け。
ガヤガヤの騒音に慣らすことにより、レース本番に物怖じしなくなるよう必死の矯正を試みます。
現代競馬でもラジカセで馬房にパンクロックを流し続けた厩舎があったはず。あの手この手、調教師のアイディアと腕の見せ所です。
不幸なことに直前にもトラウマの「火事」に遭遇してしまったタケルですが、陣営の努力が実を結んで会心のダービー制覇を達成。
これにはオシャレして青森から駆け付けた大女優・若尾文子も生産者席で大喜びです。
入厩からダービー制覇とその後の悲劇までを描いたこの作品ですが、あくまでメインは馬産地青森タイヘイ牧場での育成パート。
明るく元気なチビっ子とそれを厳しくも温かく見守る大人たちが、みんなで一緒に馬を育てていきます。
登場人物はみんな真面目で前向き。トキノミノルの偉大さというより、馬産や馬事に携わる人々の素晴らしさが全体をとおして伝わってきます。
とりあえず競馬場じゃなく牧場に行きたくなる、思いのほか癒し系の競馬ムービーでした。

WWE「マネー・イン・ザ・バンク 2013」

録画した日〔2013/7/26:スカチャン4〕

いにしえのハードコア団体「ECW」の聖地・フィラデルフィアで開催されたPPV。
看板のマネー戦は、豪華メンバー版とやや格下版の2系統で行われました。
豪華な方のマネー戦を制覇したランディ・オートン。ここ1,2年めっきり不遇を囲っていた毒蛇の本線帰還はこの上ない朗報です。
まあ、その不遇をもたらした要因の9割5分はご本人のトンパチ系行動力学にあったようですが…。
「オールスター・マネー戦」と銘打たれただけあって、このメイン戦の参加メンバーは多種多彩。
最大の目玉は開催地フィラデルフィア=ECWつながりのロブ・ヴァン・ダムでした。
久々のWWE登場となったRVDは、ハシゴ最上段からのフロッグスプラッシュ(および異常なまでに痛がる事後ムーブ)を敢行するなど、ルックス含め昔と変わらぬクオリティを披露してくれました。
豪華版マネーの副産物はCMパンクvsポールヘイマンの因縁アングル正式スタート。
途中乱入してパンクを熱烈応援してたECWオヤジ・ヘイマンは、史上初3度目のマネー権ゲット目前だったCMパンクを巨大ハシゴで強襲します。
続きは明日のRAWで…、ワクワクが募る超展開となりました。
ここ数年、大物小物いろんなスターに追い抜かれ続けた毒蛇オートン。
「ところでオートンどこ行った?」ってな感じの不在、埋没、冷遇シチュエーションが何度もありました。
目標は30回記念レッスルマニアでのジョン・シナ戦か。
何もなければ21世紀WWEの2枚看板になるはずだった2人による大河ドラマリスタートが待ち遠しいかぎりです。

①マネー戦(格下Ver)
ファンダンゴや乱入軍団シールドの薄毛も参戦した、良く言えばフレッシュなマネー戦。
まさかの伏兵・ダミアンサンドゥが相方・コーディローデスをハシゴから蹴落として、マネー権&仲間割れ因縁アングルを手に入れました。

②IC王座戦:アクセルvsミズ
フィラデルフィアのファンはECW親分・ポールヘイマンとその顧客アクセル寄り。
ベビー扱いに少し困惑のゴリ押し王者・アクセルでしたが、結構な正攻法でミズを撃沈して虎の子タイトルを防衛しました。

③ディーヴァ王座戦:AJリーvsケイトリン
AJリーが猪木イズム満点の固め技「ブラックウィドウ」でタップアウト勝ち。
リングサイドにいたケイトリンの相方・レイラがいつ裏切るか期待していたのですが、現状維持のまま因縁抗争は継続する模様です。

④Y2Jジェリコvsライバック
辛口フィラデルフィアっ子から「boring」チャントを食らってしまったノーテーママッチは、不似合いな丸め込み技でライバックの勝利。
どっちかのマネー戦に編入された方が彼らにとっては有益だったようです。

⑤世界王座戦:アルベルト・デル・リオvsジグラー
異常な程の会場人気を受けたジグラーでしたが、AJリーの不可解な大きなお世話乱入で反則負け。
これにてAJリーとはスッキリお別れ、苦労人のジグラーは心おきなく新境地ベビー路線に邁進できるのではないでしょうか。

⑥WWE王座戦:ジョン・シナvsマーク・ヘンリー
「兄弟愛の町」フィラデルフィアでも大ブーイングで迎えられる大正義・シナ。
世界最強の男のパワーに押されまくったものの必殺STF-Uで激勝。マネーカバンの男に追われる日々が始まります。

2013/07/24

タイガーマスク #68「幻の黄色い悪魔」

録画した日〔2013/7/19:TOKYOMX〕

封印ギミック「黄色い悪魔=イエローデビル」を米国マットで無断使用されている伊達タイガー。
その正体を虎の穴出身の日本人グリーンボーイ・ケンと断定し、説得のため単身ニューヨークへ乗り込みました。
NYの公園でイエローデビル情報を探る伊達タイガー。
前回#67では渡米の道が一旦絶たれましたが、1週開けたらNYへ緊急単独上陸してたというグダグダ系の顛末です。
ここへ至る馬場さんの急転直下GOサインの経緯は不明。
ジャンボ鶴田に対してもそうだったように、自分が目を掛けた子飼いのエリートレスラーには結構甘い一面があるのかもしれません。
なかなかイエローデビルの尻尾を掴めない伊達タイガーは、地元NYの大物プロモーター・ビッグボースンを表敬訪問。
これはかつて東洋の巨人としてNYを震撼させた“Baba-The-Giant”馬場さんの口利きでしょうか。
なおテリトリー的に、ボースンが仕切るプロモーションは現WWEの前身である「WWWF」と思われます。
しかし困った事に、全米に顔が効くボースンの情報網を持ってしてもイエローデビルの消息は不明。
サンフランシスコで試合を行ったのを最後に姿をくらましているとの事でした。
第三者からしたらどうでもいいこの八方塞がり状態に、ヤリ手プロモーターはさっそく営業モードにシフト。
伝説の「元祖」黄色い悪魔にワンマッチスポット参戦を打診します。
ボースンがブッキングした対戦相手は来日経験もあるスターアポロン
オリジナル殺法・ウルトラタイガードロップを初めて食らった選手として記憶に新しいところです。
なおこのスターアポロン、日本では「南米の血まみれの星」というヒールギミックでしたが、本場アメリカマットでは「2,000の技を持つマットの芸術家」として人気を博しています。
もちろん会場はプロレスの殿堂・MSG(マジソン・スクエア・ガーデン)。
別件の訪問でありながら請われるかたちで最高峰のリングに上がれるあたり、全米マットにおける伊達タイガーのネームバリュー、ステータスの高さがうかがえます。
ただしNYにおける伊達タイガーの扱いはあくまでもヒール。
日本でどれだけ正統派を貫いても、ニューヨーカーには黄色い悪魔時代の印象が残ったままという事です。
アメリカで「世界8番目の不思議」と崇められながら、極東日本マットではクソガキに生卵をぶつけられていた人間山脈アンドレ・ザ・ジャイアントに近い境遇でしょうか。
自らのスタイルにこだわる伊達タイガーは、理解あるスターアポロンと結託しベビーvsヒールの構図を全否定。ガチガチの正統派スタイルで60分3本勝負を全力疾走します。
結果、ボースンおよびニューヨーカー絶賛のフルタイムドローとなりましたが、一歩誤ればプロレスのメッカNYを敵に回す危険性を秘めた大胆不敵なブック破りだったと言えるでしょう。
降って湧いたワンチャンスをフル活用し、正統派の凄玉として全米再デビューを果たした伊達タイガー。アポロン兄弟に見送られ、日航ジャンボ機で帰国の途につきました。
やっぱりデキる男、持ってる男はひと味ちがう。
もしかすると馬場さんの急転直下GOサインもこのポテンシャルを見越したものだったのかもしれません。
で、肝心のイエローデビルはどこ行っちゃったのか?
番組後半からは案件ごと放置、次回予告を見てもその姿は確認できそうにありません。
そもそもこのパクリ野郎出現にゴチャゴチャ騒いでたのは伊達タイガー1人だけ。
満場一致の「オメェはそれでいいや」、プロレス業界の伝統芸「なかった事」にしてサクッと片付けていいんじゃないでしょうか。

2013/07/23

WWEスマックダウン #725

録画した日〔2013/7/22:JSPORTS2〕

PPV「マネー・イン・ザ・バンク」直前のハンプトン大会。
ディーバ王座戦を控えたAJリーとケイトリンによる公開調印式が行われました。
小っちゃいくせにふてぶてしいAJリーは、ケイトリンのみならず立会人として居並んだディーバに対しても猛烈な毒ガス攻撃を仕掛けます。
1人対その他大勢のまさしくAJ劇場。
ジョンシナやCMパンク、ブライアンを向こうに回して大暴れしていた頃に比べればさすがにスケールダウンしましたが、現行の女性陣の中では1枚も2枚も抜けたトップスターと言えるでしょう。
悪ノリが過ぎるAJは「隠れファン」と偽ってケイトリンと交わしていた恥ずかしい隠密メールを大暴露。
そのメールにはケイトリンによるディーバ仲間への陰口なんかも含まれており、リング上は何ともジメッと気まずい空気に包まれてしまいました。
もちろん調印式のシメはWWEの不文律である大乱闘。
今回は、プライベートメールを総ざらいされて散々なケイトリンが強烈スピアーを一閃、小憎らしいディーバ王者・AJを撃沈しました。
ブル中野の6メートル金網ギロチンを見ちゃった世代としては、どうしてもWWE女性陣のパートはスルー、流し見で終わってしまいます。
画面越しに伝わる一生懸命さは男性陣よりはるかに上。今度のPPVはちゃんと見ようと思います。

<メモ>
  • ゴリ押し新人・アクセル、Y2Jジェリコに2連敗
  • おおかたの予想どおり、シールドvsウーソズのタッグ戦はPPV第0試合という冷遇に
  • 前回RAWでワイアットファミリーの襲撃を引き受けたケイン、PPVを欠場し引き続き格上げに貢献
  • 解雇された熟女・ヴィッキーがチケット買って会場に乱入
  • ジグラー、シンカラの完全コスプレでデルリオを強襲

2013/07/22

武豊TV!II #44 「宝塚記念&セレクトセールロケ 前編」

録画した日〔2013/7/19:フジテレビONE〕

宝塚記念を中心とした6月競馬の振り返り。
1発狙いだか2着狙いだかで臨んだ宝塚記念のトーセンラーは、残念ながら5着でした。
ジェンティルドンナの後ろにぴったり付けるトーセンラー。
馬場が悪かったりで最後の直線ではヘロヘロだったようですが、この好位置をキープする事により、横にいるナカヤマナイトとフェノーメノにポジションを与えないという意図もあったそうです。
そういった難しい話はともかく、今年の宝塚記念におけるトピックは出走全馬のお父さんに騎乗していたという珍記録。
ホワイトマズル='94凱旋門賞が記録達成のポイントだとの事でしたが、それよりキングカメハメハにも乗ってたという事に驚きです。
ただこれは武豊の偉大さより、サンデー系を核とした「内国産馬=マル父」隆盛の凄さを表す記録なのかもしれません。
中京のCBC賞ではハンデ「51kg」のザラストロとかいう7番人気の馬に騎乗して7着。
往時を知っているファンからすれば51kgは“酷量”。
ダービージョッキーという看板があるためそれほど悲壮感はありませんが、まだまだA級馬への騎乗チャンスは簡単に巡ってこない模様です。
大御所集結のセレクトセールでド派手な営業を掛けるのも一つの手法。秋に向けての仕込みはできたのでしょうか。
ダービー馬・キズナはあくまでリリーフ登板。来年のクラシック戦線は、1から10まで“イズム”を叩き込んだお手馬で挑んでほしいものです。

2013/07/21

全日本プロレス王道史(#15)

録画した日〔2013/3/30:サムライTV〕

昭和56年12月13日に蔵前国技館で行われた「'81世界最強タッグ決定リーグ戦」の優勝戦。
ザ・ファンクス(11点)を1点差で追い掛けていたブロディ&スヌーカ組が、逆転で初出場初優勝を飾りました。
必殺のキングコングニードロップでドリーを粉砕し激勝の雄叫びを上げる超獣ブロディ。
全日マットを震撼させた「ブロディ革命」は、この日突如登場した”ウエスタンハットをかぶった大型の男”と共に怒涛の第2章へ突入することとなります。
昭和プロレス史に残る大事件&名ゼリフ&名シーンが続発した12.13蔵前優勝戦。
言うまでもなくそのクライマックスは”ウエスタンハットをかぶった大型の男”が衝撃の乱入を果たしたブロディ&スヌーカの入場シーンです。
大ボラ倉持アナ
「ブルーザーブロディと、それから、ジミースヌーカが、今、やってきますが…」
「おっと、その後ろに、これは、誰でしょうか?」
「ウエスタンハットをかぶっております。ウエスタンハットをかぶった大型の男」
「何やら、どういう選手か…」
大ボラ倉持アナ&東スポ山田さん
「あっ!」
大ボラ倉持アナ
「スタンハンセンだ!スタンハンセンがセコンドですねえ!?」
東スポ山田さん
「ハンセンですよ!!」
大ボラ倉持アナ
「スタンハンセンがセコンド、これは大ハプニングが起こりました、蔵前国技館!」
大ボラ倉持アナ
「山田さん、スタンハンセンとブルーザーブロディはアメリカでは非常に仲が良いんですよねぇ」
東スポ山田さん
「そうなんですよね、かつてね、タッグチームでタイトル持ってましたからね」
「だけどこれはエライ事になりましたねぇ」
大ボラ倉持アナ
「エライ事になりましたねぇ!」
ネタバレ情報源などあるべくもない当時小学3年生の私にとっては、文字どおり「ハンセンですよ!」の超特大サプライズ。
土曜の夕方、あまりの衝撃で何もしゃべれなくなった事を覚えています。
ハンセン=新日(猪木)という固定観念の崩壊、そしてブロディ+ハンセンという途方もないドリームコンビの誕生。
この両事実を一気に突き付けられたんじゃ「エライ事」どころの話じゃぁない、ちびっ子ファンのみならず全国プロレスファンの思考回路がオーバーヒートする史上空前驚天動地の”政変”だったと言えるでしょう。
スヌーカだけでも十二分に強力なのに、親友・ハンセンをも従えてイケイケの超獣ブロディ。
「これ、後で使いますよ」と言わんばかりのヤッツケ仕様サポーターを左腕に巻き、テキサスの大先輩・ファンクスをじわりじわりと追い込んでいきます。
熱狂的ファンクスファンも含めたお客さんの関心は「ハンセンがいつ抜くか?」の一点。
そしてその瞬間が訪れたのは試合終盤の15分過ぎ。サポーターを譲り受けたハンセンの無法ラリアットを食らったのは、全国プロレスファンの想像どおり世界最高峰のヤラれっぷりを誇るテキサスブロンコ・テリーファンクです。
ハンセンの自伝などでも広く語られているように、この電撃移籍&衝撃マッチメイクの舵取りをしたのは他ならぬ荒馬兄弟・ファンクスでした。
蔵前決戦前日には、馬場さんやブロディを交えての「密談」も行われていたとの事です。
リング上の激しい闘いだけでなく、フィクサーとしての辣腕ぶりでも日本マット界に殿堂級の貢献をしてくれたビッグテキサン。
我々プロレスファンはあらためて最敬礼をすべきでしょう。

かなりの理不尽決着ではあるものの、心の準備もあってか妙に納得感もある優勝戦。
超大物ハンセンの顔見せが「途中乱入」の形式だったらこうはいかなかったのかも知れません。
そして驚くべきは試合後の超展開。お約束の大乱闘を経て、まさかの番外編「馬場さん劇場」が始まります。
先に仕掛けたのは無法野獣トリオ。
馬場さんの脳天チョップを数十発食らって大流血のハンセンを核に、蔵前の支度部屋で大暴れを敢行します。
なお、この番外パートは大相撲ファンにとってもお宝モノか。
蔵前特有の狭くてゴチャゴチャの支度部屋周りから、お相撲さんがつかる湯船までハンセン達は隈なくバイオレンス行脚を繰り広げてくれました。
ブロディ、ハンセン、スヌーカの乱入でシッチャカメッチャカにされた正規軍支度部屋。
画面左の三沢光晴ら忠実な若手連中が一生懸命後片付けをします。
そんな戦時下とも言える壮絶な状況に、大将・馬場さんは「ふざけんじゃないっちゅんだよ」とカメラの前で怒りの咆哮をブチ上げました。
何とも珍しい馬場さんのジャイアント独演会。
「人の家に入ってきてだな、テリーに手ぇ出したりなんかされたんじゃこっちもタマったもんじゃないよ。そうでしょ?」
「来るなら堂々と来てもらわないと」
などなど、怒りのベクトルをハンセンに向け、ツッコミどころ無限大のプロレストークを展開します。
セミではインドの狂虎・シンに土俵の砂を顔面に擦り込まれるなど、踏んだり蹴ったりだったこの日の馬場さん。
その舌鋒は止まらず「人の家、土足で入ってくるような事されたら困るっちゅんだ」とプロレス史に残る名ゼリフ”土足発言”を投下。
更には土俵方向を指して「あのリングならいつでもやるよ、って言っといて」と三顧の礼で迎えたハンセンに最上級のエールを送りました。
ひとしきり言いたいこと言っていつもの温厚ジェントルマン風情に戻った馬場さん。
かつて同じ釜の飯を食ったI選手のようにインタビュアーにビンタする破廉恥行為などもなく「ちょっと表彰式行ってくるわ…」と支度部屋を後にしました。
馬場さんが向かったのは、お抱えのマスコミ連中やらタニマチやらが待つ表彰式のリング。
当然のことながら主役のブロディ&スヌーカやファンクスの姿は無く、何とも寂しいエンディング晴れ舞台となってしまいました。
しかしこの殺風景なリングで、まさかまさかの「馬場さん劇場」第2ステージが幕を開けます。
ヒゲの原軍治リングアナからやおらマイクを強奪した馬場さん。
「ただ今皆さんご覧のようにハンセンがこの会場のリングの中に入りましたので、私も…(聞き取り不能)…ハンセンと決着を付ける事を皆さんにお約束します。」
と、日本プロレス史に残る超々レアなジャイアントマイクアピールをブチ上げました。
シャイな温厚キャラ特有のシンプルで面白味のないマイク芸。
まあ、かつて同じ釜の飯を食ったI選手のような後先考えない激情アピールを馬場さんに期待するのは野暮というものです。
ファンであるなら王道馬場さんがマイクを持ったという事自体に満足すべき。
後の盟友・ラッシャー木村の「こんばんわ」的な爆笑失言(くしくも同年9月の出来事)をしなくてよかったとポジティブに受けとめましょう。

ブロディ&ハンセンはもちろん、馬場さんからファンクス、スヌーカ、東スポ山田さんまでそれぞれの役者がそれぞれの持ち場で万全の仕事をした奇跡の蔵前決戦。
「ホントの事」を全く知らない小学生でつくづくよかった。プロレスならでは(全日ならでは?)の血湧き肉躍る作られたカオス劇場でした。