昭和62年放送のNHK大河ドラマ。
この#24「天下人」では、主人公・伊達政宗が小田原で豊臣秀吉と初謁見するシーンが描かれます。
かねてからの小田原攻め参戦要請に対し、月単位の大遅刻をカマした伊達政宗=渡辺謙。
真っ白な死装束に身を包み「煮るなり焼くなり…」的な命がけの豪快土下座パフォーマンスを敢行します。
政宗がひれ伏す天下人・秀吉を演じるのは、これが大河ドラマ初見参の勝新太郎。
ギラギラしてないけど枯れてもない、おっかなさ無限大のキメ顔で豪胆な若武者をギロリと待ち受けます。
この正宗vs秀吉初遭遇シーンが、役者・渡辺謙vs勝新太郎としても正真正銘の初遭遇だった事は有名な話。
勝新が下した「どうせならオレらも…」の勅令で、渡辺謙は本番撮影時まで大先輩に挨拶すらさせてもらえなかったそうです。
めでたく秀吉=勝新のツボにはまった正宗=渡辺謙は業界に大きなステップを踏み出す事となりました。
レジェンドが仕掛けた“ガチなアングル”に熱いバンプを取ったグリーンボーイ。役者魂みなぎる世代闘争です。
歴史モノや武将系に全く疎い私がこのドラマを見てるのは、エキセントリックなカツシン秀吉に謁見するため。
正宗とメインを張った今回は見せ場満載、座頭市の必殺技であるドカ食いムーブも披露されました。
それだけに、遅刻した正宗に見せたような怒りのコントラストは恐怖そのもの。とにもかくにも圧倒的存在感のバイプレーヤーです。
勝新だけでも超スペシャルなのに、徳川家康=津川雅彦、正宗の伯父さん=原田芳雄などなど、このドラマは他のバイプレーヤーも超ド級。
卒業組には北大路欣也やドリフ長さん、ゴクミなんかもいて、Wikipediaの出演者一覧を見ると目眩がするほどです。
クソドラマ警視-Kでいきなりミソが付いた1980年代は、勝プロ倒産、バカ息子&娘の大麻容疑など重たくて暗いものでした(なお、99.9%自業自得である模様)。
今回の太閤役VIP待遇は、リビングレジェンドとしての誇りを取り戻すひとすじの光明となったのではないでしょうか。
そして何より凄いのは錚々たる銀河系軍団を従え主役を張った当時28歳の渡辺謙。
豪放磊落なラストサムライは16年後に本場ハリウッドの銀河系までブレークスルーし、このドラマの価値を文化遺産の域まで引き上げる事になります。
次回#25はちょうど折り返し地点。
あと半年、日本史も勉強しつつ絢爛のオールスターウォーズを楽しみたいと思います。