昭和55年10月スタートの刑事ドラマ(日本テレビ/火曜夜9時)。
主人公の「警視-K」=賀津勝利(ガッツ カツトシ)を演じるのは最強スーパースター・勝新太郎。刑事ドラマは初チャレンジ、TV戦線には54年11月の新・座頭市Ⅲ#26以来1年ぶりの復帰です。
どっかの海辺でのオープニングシーン。真っ赤なバスローブで登場のガッツは、娘さんと朝メシをドカ食いする猛デモを披露します。
座頭市メシ食いシーンフェチの私としては、これだけでスタンディングオベーションものの大感激。
これは大いに期待できる”現代劇”ではないでしょうか…。
警視ガッツは、警視庁今宿(コンジキ)署配属のハミ出し刑事。ウイークポイントは台詞がほとんど聞き取れない事です。
TVドラマ主人公としては致命的欠陥ではありますが、関連資料によれば「大声でハッキリしゃべる刑事がいるか?」というリアリスト・ガッツのこだわりの帰結である模様。
じゃあ仕方ない、ガッツワールドに身を委ねるのが我々ファンにとっての至福の観賞術です。
ドラマ全体のウイークポイントとしては、ガッツ以外の台詞もよく聞こえないという事。要は全体的なストーリーが全く把握できない刑事モノ現代劇です。
しかしこれも、ガッツ流の即興重視、シンクロ録音による「必要悪」である模様。繰り返しにはなりますが、ガッツワールドに身を委ねるのが我々ファンにとっての至福の観賞術です。
なお今回の#1では、TV版座頭市の常連ヒール・石橋蓮司が登場してたんで、多分コイツが悪い事してガッツにしょっ引かれて一件落着したものと思われます。
更にもう一つのウイークポイントは、度々登場するガッツの娘役・奥村真粧美。
言うまでもなくガッツ&玉緒さんの実娘なんですが、「テメェ、芸能渡世舐めてんだろ?」と言いたくなる悪い意味でのナチュラルな等身大のベタ演技を爆発させてます。
これも関連資料によれば「真粧美じゃなきゃ親子の絵は自然に演じられねぇ」「オレも真粧美から演技を学んでるんだ」という、素人には理解不能の不可侵なガッツ流エンタメ哲学によるもの。
もうやんなっちゃいますが、ガッツワールドに身を委ねるのが我々ファンにとっての至福の観賞術なんです。
そんなこんなで、やたらと先天的ハンデが多い勝新太郎の刑事ドラマ初挑戦。
Webでちょっと検索するだけでも賛否は両極端、「早すぎた」というフレーズで全てを表せる傑作なのかもしれません。
実際のところ、オープニングの真っ赤なバスローブで全てを持ってかれてる状態です。
関連資料によると、信じられない程の低視聴率によりワンクール(13回)でブッタ斬られたらしいこのドラマ。
しかし私の個人視聴率は120%超、あと12回ワクワクドキドキを抑えることができません。