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2012/12/09

金曜劇場・熱唱!美空ひばりSP ~栄光と苦悩の歌人生~

録画した日〔2012/12/7:BS-TBS〕

TBS(テレビ/ラジオ)で放送された貴重な映像と音源を蔵出しして女王・美空ひばりをリスペクトする番組。
昭和25年13歳時のアメリカライブ音源の発掘公開など、かなり力の入った2時間特番です。
とはいえ、女王ひばりさんには失礼ながら私の視聴目的はこの男。「悪友親友」とかいう番組で女王の悪友として紹介されたスーパースター・勝新太郎です。
女王と芳村真理(司会)が待つセットへ向かう兵隊やくざ。何やら面白トークを仕込んできたのか、眩いほどの満面勝新スマイルをスタジオに振り撒きます。
6歳の年の差がある2人の巨星。
時は昭和57年、女王は前年に伝説の50曲超え35周年武道館ライブをブッ放した円熟期。一方の勝新太郎は前年に勝プロダクションをブッ潰して、社長を玉緒さんにすげ替えただけのネオ勝プロ「勝プロモーション」を旗揚げした混迷期でした。
トークのネタは女王と勝新が「停電」に遭遇した時の面白ハプニング。
停電のドサクサで「手なんか握っちゃったんだよ」との勝新に対し、女王は「握っただけじゃないじゃないのさぁ」と貫禄のひばり節で応戦します。
シュートを仕掛けてきた女王に、勝新のエンタメエンジンは即反応。
「あら何したっけ」「それだけじゃなかったっけ?」と小芝居を開始、あろうことか絶対不可侵の女王の胸に勝新タッチで砲撃をカマす大進撃を展開します。
結局停電ハプニングは、2人が「タコみたいに(勝新談)」チューをする寸前でパッと明るくなっちゃったとの事。
まあ、話の9割8分は大ボラでしょうが女王も勝新も楽しそうで何よりです。
ちなみにこの「悪友親友」の放送時間は昼12:20~12:40。
ウキウキウォッチングどころじゃない、昼間っから突き抜け過ぎの超大物による驚愕ビッグマッチでした。

それにしても絶対女王・美空ひばりのスケールは別格。「音源発掘」がニュースになる日本人ミュージシャンは後にも先にも彼女だけでしょう。
この番組の合間合間にも全曲集ボックスセットのCMが流れており、ビジネス的にも半永久的に「現役」スーパースターであり続けるのだと思います。
私が覚えてる美空ひばりの姿は、この昭和61年頃からでしょうか。
ベストテンや紅白などの歌番組には出てこない別格の超大物という印象。
殿・ビートたけしや新鋭・とんねるずのラジオネタに頻繁に登場する、豪快な「お嬢」ギミックがそう認識させていたのかもしれません。
亡くなった平成元年は高校2年生でした。
普段良くしゃべる母親が朝のニュースを見て言葉なく呆然としていた事、どしゃ降りの通学路で「昭和が終わった」と訳知り顔で友達と話した事を強烈に覚えています。
まさしく「巨星墜つ」状態。興味のない子供連中も巻き込む日本史の教科書に載る重大事件でした。
戦後の昭和と完全同期している歌手人生は、今の人間がどんな手法を使っても再現できないギミックです。
美空ひばりがいなかったら昭和史の1ピースが空席のまま新時代に突入していたのでしょう。
まさしく日本のソウルミュージック。絶対女王が君臨していた時代の空気を少しでも吸えた事はとても有難いことなのだと思います。