Translate

2012/08/15

ノンフィクションW 幻の欧州サッカー王者 '92ユーゴスラビア代表の崩壊

録画した日〔2012/6/1:WOWOWプライム〕

ユーロ2012開幕に合わせて制作・放送されたであろうドキュメンタリー。
ユーゴスラビア代表チームの1992年スウェーデン大会がテーマで、圧勝の大会予選からオシム辞任、直前の強制送還劇までをほぼ時系列で後追いしています。
それにしても、現地入りしてキャンプまで張ってるチームを強制送還させてしまった国際政治の力とは何だったのでしょう。
20年後の今、どんなヒール国に当てはめても同じ事が起こる(起こせる)イメージが浮かばないだけに、当時の魑魅魍魎の深さに恐怖を感じます。
そんな魑魅魍魎に振り回された、当時のキャプテン・”ピクシー”ストイコビッチ。この人ほど、そのキャリアを「たられば」で語りたい選手はいないと思います。
随所で見せる静かな怒りの台詞と苦い顔から、当時の無念さが伝わってきました。
このドキュメント、新規発掘のエピソードは特になし。
しかし、特筆すべきは当時の代表選手の、2012年時点のコメントを収録している事でしょう。
ピクシー・ストイコビッチ以外でコメントしたのは、この3選手。
  • サビチェビッチ(モンテネグロ/現モンテネグロサッカー協会会長)
  • ミハイロビッチ(セルビア/現セルビア代表監督)
  • プロシネツキ(クロアチア/現レッドスター監督)
崩壊のルーツとも言われる「飛び蹴り」をブチ込んだボバンの今のコメントも聞きたかったのですが、ユーゴ寄りの番組趣旨には同意できなかったのかもしれません。

ちなみにクロアチアのプロシネツキが、セルビア最強クラブの監督になっていたとは知りませんでした。
個人レベルでは雪解けしているのでしょうか…。
もちろん、偉大な父・オシム監督も登場。てっきり昔の映像かと思うくらいギラギラした表情でしたが、れっきとした2012年バージョン。
すっかり元気になったようで、嬉しい限りです。

(ユーゴ紛争は別として)1992年スウェーデンにおける一連の案件で語り継がなければいけないのは、無茶苦茶な政治裁定がまかり通った事と、その犠牲になったのがオシム&ユーゴ代表という歴史に残る(はずの)チームだったという2点だと思います。
私個人としては特に後者。政治背景にも興味はありますが、それを抜きにしたユーゴ代表黄金期の映像集をどこかが作ってくれないか、密かに期待しています。