録画した日〔2013/3/12:サムライTV〕
昭和60年10月21日に世界で初めて実現したNWAvsAWAの最高峰ダブルタイトルマッチ。
舞台は両国国技館。「2人のリック」フレアーとマーテルは30分を超える大熱闘を繰り広げました。
立会人のPWF会長・ロードブレアースを挟んで睨み合うフレアーとマーテル。
解説の山田さんは「ナウい現代のレスラー」と2人のリックを一括りにしていましたが、狂乱の貴公子・リックフレアーが1枚も2枚も格上なのは自明の理。
当時中1だった私にもネイチャーボーイの貫禄はビンビン伝わって来ました。
全世界注目の一戦はフレアーがノラリクラリと組み立て役を担当。
マーテルにガンガン攻めさせつつ要所要所でプロレス世界遺産の命乞いムーブを敢行し、緊張に包まれた両国国技館を「いつものNWA戦」ムードに変えていきます。
空中殺法狙いなのか?、時間をたっぷり掛けてコーナーポスト最上段へ登頂したフレアー。
しかし勝利の雄叫び「Wooo」を呼び水にマーテルが緊急捕獲。そのままビターンとキャンバスに叩き付けられてしまいました。
例によってヤラレっぱなしのNWA王者は、試合終盤もナックルパンチを1ダース食らって前のめりバタンキューKO。
ボクシングのように判定があったなら完敗の王座陥落劇だったでしょう。
しかしこれはあくまでもプロレス。芸術点、技術点、献身度、安定感…、すべての面でマーテルを凌駕した世界最高峰のネイチャーボーイ劇場でした。
試合は全世界の予想どおり、ブックメーカー介在不能の両者リン決着。
NWA、AWAとも10.21両国が「最後の日」になる事はありませんでした。
大ボラ実況アナ倉持さんの言うところ「全日本プロレスのポリシーをファンにアピールしたゴールデンカード」。
強大なアメプロの常識をブチ破り、極東の地に両雄を並び立たせた事にこそ大きな意義があると言えるでしょう。
そんなプロレス史に残る大偉業を成し遂げたのはもちろん御大・馬場さん。
世界最高峰のプロモーターとして内外にジャイアントな豪腕を見せ付けました。
ちなみにフレアーとマーテルはこの後地方巡業にも同行。ビッグババの大きな掌に乗ってノビノビと王者タッグを結成しています。
なお今回の放送もう1試合は、同年7月の福岡国際センターPWF戦。
馬場さんは不沈艦ハンセンのバックドロップにより王座から陥落してしまいました。
これ以降、2度と世界のベルトを巻くことがなかった馬場さん。プロレスラーとしては一区切り、大プロモーターとして再スタートした年だったのかもしれません。