2006年2月にリオデジャネイロで開催されたストーンズのフリーコンサート。
会場となったコパカバーナ海岸でのステージ構築など、様々な舞台裏を追い掛けたドキュメントです。
予想動員200万人、会場は全長2km、トレーラー9台300トンの器材、小さな町1個分の消費電力などなど、いかにもナショジオが好きそうな汗かき系ビッグプロジェクト。
となると主役は当然「中の人」。御大ストーンズは二の次、三の次の扱いとなりました。
ステージをこしらえる以外にもやる事は山積み。決して穏やかとはいえない南米リオデジャネイロではセキュリティ対策に妥協は許されません。
その一環として「中の人」はホテル/ステージ間にストーンズ専用歩道橋を建設。いろいろ規模がデカすぎて会場設営はほぼ街づくりの領域となっています。
安全、快適、トイレ個別、プライバシー確保、スヌーカ台必須というよく分からん条件のもと、5つ星ホテルの良さを台無しにする黒いリフォームが展開されました。
5つ星ホテルのふかふか絨毯はさぞ足元にやさしい事でしょう。
これは一般企業でいうところの役員決裁の類か?
まあ、どうせ最初と最後の曲ぐらいしか確認してないんでしょうが…。
一方のミック部屋では、ステージ構成やVIP席はどこにあるのかなど段取りの最終確認が行われます(もちろんキース抜き)。
無数の修羅場を経験しつつもビジネス優先で話ができるフロントマン・ミックジャガー。
今回のようなビッグイベントで実に頼りになる男です。
地元タニマチ連中とへらへら記念写真に収まるストーンズ。ガチンコ団体・ナショジオは禁断の接待シーンまでも激撮していました。
伝えたいのはあくまでも「インサイド」。世界最強バンドのギミック崩壊など知ったこっちゃないのでしょう。
そんなこんなで迎えた「本編」でしたが、オンエアーされたのはJJF(オープニング)、ミスユー(稼働式Bステ)、サティスファクション(最後)の3曲のみ。
それもミックやキースより照明さんやセキュリティの方が登場時間が長いというブレの無いものでした。
たった3時間のために膨大なヒト・モノ・カネが注ぎ込まれた空前の興業。
集まった観衆は100万とも150万とも言われていますが、海に落っこちた人が24人いただけで死者重傷者ゼロという完璧な運営だったようです。
なおこの他、この手のイベントではお約束の“産気づいた女性”が1人いたとの事でした。
飛行機が飛ばなかったら、大雨が降ったら、ミックが風邪引いたらなど、要素が1つ欠けただけでもライブは成立しないもの。
そう考えると、キースがイントロ間違えたとかのトラブルなど取るに足らない枝葉の部分ではないでしょうか。
ワクワク始まってハッピーに終わる。そんな当たり前の事が実はもの凄く大変なんだと思い知らされるドキュメントでした。