開幕4週目にして早くもエピローグを迎える「全アジアプロレス王座決定戦」。
日本代表・伊達タイガーは、必殺技ウルトラタイガードロップ封じを公言していた謎のインド代表・ミスタークエスチョンとの大一番に挑みます。
ミスタークエスチョンによる必殺技封じは至って単純。担ぎあげてスローされる所をトップロープにしがみついて堪えるというものでした。
毒蛇・ランディオートンのRKOやオカダカズチカのレインメーカー等、プロレスの必殺技は封じられたり裏の裏をかいたりで熟成されていくもの。
伊達タイガーはこれに懲りず、ウルトラタイガードロップをピープルズエルボー級の絶対的なフィニッシュムーブに育て上げてほしいもんです。
必殺技封じにより引き出しを失った伊達タイガーの救世主は、ミスタークエスチョンに病院送りにされた韓国代表・大木金太郎(キムイル)でした。
この大一番のために病院を抜け出してきた後輩思いの大木先輩。痛々しい松葉杖姿で「頭突きムーブで怯ませて下半身攻め(ジャイアントスイング)」という単純作戦をリングサイドから提示します。
伊達タイガー言うところの「見え透いた作戦」だった大木先輩案は何故かズバッと的中。
頭突きムーブに必要以上にビビって下半身がお留守になったミスタークエスチョンをジャイアントスイングでブン回し、最後はヤングライオンチックな逆エビ固めでタップを奪いました。
見え透いた作戦はどうしてハマったのか?、大木先輩はさっそくドヤ顔で仰天タネ明かしをブチ上げます。
- #36でタイガーコスプレしてたオレは、ミスタークエスチョンに襲撃された
- ヤラれっぱなしだったけど強烈原爆頭突きもカマした
- この時、ミスタークエスチョンはタイガー(実際はコスプレ・大木金太郎)の頭突きに警戒心を持ったはず
- 頭突き=タイガーの殺人兵器って事でミスタークエスチョンをダマし通すべきと思った
- だからオレは#38のクエスチョン戦で原爆頭突きを封印した(結果惨敗で病院送り)
- そしたら今日、あのクエスチョン野郎やっぱりダマサれたな(ニンマリ)
無垢な伊達タイガーは、そんな心優しき兄貴のアシストに人目もはばからず涙を流して感動。足の引っ張り合いが社風の腹黒軍団・日プロもまだまだ捨てたもんじゃありません。
一方、敗れ去ったミスタークエスチョンは、マスクマンの掟としてその素顔を母国インドの大観衆に公開。
注目のその正体は「伝説の太陽王」として全インド人が尊敬してやまないグレート・ズマでした。
キャリア70年の90歳という脅威の超ベテラン・ズマ。しかしこれだけのキャリアと実績がありながら、温厚ベビーキャラ・大木金太郎ごときのトリックに引っかかるとは晩節を汚す大失態ではないでしょうか。
なお、ミスタークエスチョン戦は「トーナメント決勝戦」ではなかった模様。
この大会はリーグ戦形式だったらしく、伊達タイガーはこの試合の後、デスマッチ王・キングアニマル(シンガポール代表)を粉砕して見事に初代アジア王の称号を勝ち得ました。
「日本帰りは出世する」が昭和の外人レスラーの定石でしたが、インド帰りの日本人は如何なる具合にステップアップするのか?
馬場、猪木、吉村、大木に次ぐ日プロNo5の伊達タイガー。恩人・大木先輩を踏み台にするぐらいの大バケを期待します。