レッスルマニア前日恒例のプロレスリスペクト祭り。
なんと今年は炎の飛龍・藤波辰爾がWWE殿堂(=Hall of Fame)入りを果たしました。
プレゼンターはドラゴンと同世代のネイチャーボーイ・リックフレアー。
両雄の接点は「'91スターケード in 闘強導夢」。
ドラゴンが王座奪取して喜んでたらアメリカ本部からオーバーザトップロープで難クセ付けられて結局怒りのベルト返還という、NWA(WCW)の大正義伝統芸を新時代平成のプロレスファンに見せてくれた名試合です。
記録上は王座から引きずり降ろされた事となるネイチですがこの日はもちろんノーサイド。
「道場(Dojo)」などドラゴンを育んだジャパニーズスタイルを礼賛するだけでなく「ムタが好き」とW-1タコ社長の殿堂入り示唆までブチ上げてくれました。
ドラゴンとベイダーの因縁は語り尽くせぬほど。ベイダーからのお祝いメッセージはありませんでしたが、この後カリフォルニアの地で旧交を温めたことでしょう。
そしていよいよWWEのド真ん中へリングイン(ドラゴンリングインではない)したドラゴン。
もちろん会場のファンとレスラー連中からは温かく迎え入れられたのですが、日本のプロレスファンとしてはこの段階では祝福ムードなどもってのほか。
我らがドラゴンは、殿堂入り剥奪にも繋がりかねない極めて危険な爆弾を抱えています。
その爆弾とは殿堂者の必須スキルである「気の利いたスピーチ」。
日本語すらままならないダーティな滑舌がよりによってしゃべくりプロレスの最高峰の舞台に…。
グダグダだったらハサミで前髪切ってごまかしときゃいいという戦術はここWWEでは通用しません。
かくしてガッチリロックアップしたドラゴンvsWWE。アンチョコ&メガネで武装したドラゴンは、単語を一つ一つ読み上げるねちっこい無我スタイルで奮闘します。
そしてドラゴンストップもかからず無事終了したドラゴンスピーチ。
単語重視のスロートーク効果で結果的には日本語より分かりやすかったんじゃないでしょうか。
アメリカのお約束「家族に感謝」の一節では奥様のかおりさんと長男の怜於南くんもカットイン。
現役立教大生にしてなぜかプロレス入りした大バカ息子「LEONA」にとっては、パパの晴れ舞台というだけでなく業界最高峰の空気を体感する有意義な一夜となったのではないでしょうか。
新日時代のVTRもオマージュとして多数カットイン。
猪木や橋本、蝶野らにまぎれ、報道ステーションの超過激アナ・古舘伊知郎の若き日の勇姿もめでたくWWEユニバースへ向けて発信されました。
米マット限定のキャリアで見ると「なんで?」って感があるドラゴンの殿堂入り。
日本人レスラーの殿堂者が1人目猪木→2人目藤波と続いたのは、きっとWWEによる「格」への配慮。
これからムタやライガーの世代が3人目、4人目として名を連ねていく布石なのだと期待が膨らみます。
今年の殿堂入りの目玉は「マッチョマン」ランディサベージ。
その人気やキャリアを考えると、このタイミング(亡くなってから4年後)の殿堂入りは遅い評価だと言えるでしょう。
なお私としては“日米レスリングサミット”の天龍源一郎戦が25年経った今でも忘れられません。
マッチョマンを紹介したのはもちろんハルクホーガン。
「メガパワーズ」として共闘したり美人マネ・エリザベスを取り合ったり、プレゼンターはこの男の他にいないという人選。なによりこうしたお祭りイベントには欠かせない不滅の超人です。
三度の飯よりスピーチが好きなトリプルHが紹介したのは、なんと前カリフォルニア州知事のアーノルド“コマンドー”シュワルツェネッガー氏。
シュワちゃんの鉄拳制裁に自らの鼻のデカさを絡めた自虐ネタがバカ受けしてご満悦の様相でした。
「Get to the chopper!!」の一吠えでツカミはOKのシュワルツネッガー氏。ボディビルダーからプレデターに、さらにガバナーを経てホールオブフェイマーとなった鉄人です。
ちなみに好きなレスラーはオットーワンツだとか。
第1回IWGPでの泡沫不戦敗ネタが時を超えてシュワちゃんの耳に伝わらないことを祈ります。
この他の殿堂者はケビンナッシュやリキシ、日本でもおなじみの元メデューサ(アランドラブレイズ)など。
また、小児麻痺で夭逝してしまったプロレス大好きチビっ子「コナー君」も“コナー・ザ・クラッシャー”のリングネームで見事殿堂入りを果たしています。
心温まるシーン連発のWWEの良心ともいえるセレモニー。
日本も1.4ドームあたりでやればいいのにと思いますが、本家の華やかさやホスピタリティは我々日本人には真似できないような気もします。