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2014/05/28

ワールドプロレスリングクラシックス#4

録画した日〔2013/10/18:テレ朝チャンネル2〕

昭和57年4月1日に行われた「第5回MSGシリーズ優勝戦」蔵前大会。
この年で最後となったリーグ戦(IWGPへ発展的解消)を制覇したのは、人間山脈・アンドレザジャイアントでした。
ダスティローデス、マスクドスーパースターら超豪華取り巻き連中から祝福を受け「とりあえずビール」のビッグボス・アンドレ。
しかし2m23cmの巨体からするとキリンラガー中瓶はまるでグリコパピコ。
この後あらためてワイン5ダース生ビール30ガロン級の超巨大な祝勝会が開催されたものと思われます。
もともとアンドレ(リーグ戦1位)の対戦相手は2位の猪木だったのですが、おりからの両脚負傷が悪化して無念の欠場。
かわって優勝戦のリングに立ったのは、3位からの繰り上がりとなった新潟出身のモンゴリアン・キラーカーンでした。
本場NYではドル箱だったこのカード。カーンにしてみれば母国日本のファンに実力を知らしめる一世一代の大舞台です。
一方アンドレは、面倒くさい猪木シフトから解放されリングをのびのびと掌握。
これぞまさにケガの功名。メンタル含め両者とも絶好のコンディションで激突する日米バトルオブスーパーヘビーウェイトとなりました。
両雄のマッチアップにおけるポイントは、カーンが1年前にアンドレの右足を骨折させていたという因縁。
この事件は「大飛鳥アルバトロス殺法」という甘美なネーミングとともに日本のファンに周知されていました。
もちろんお客さんも2人の経緯を把握済み。カーンがアンドレの巨大な脚部を攻撃する度に蔵前は沸点到達の大熱狂です。
因縁の足折りニードロップこそ出せなかったものの、カーンの「大飛鳥アルバトロス殺法」はこの日も全開。元祖モンゴリアンチョップ(奇声付き)の連発に、あの人間山脈が両手で頭を抱えてイヤイヤする場面もありました。
試合中に国技館を包んだ「小沢」コールは、冷やかしでもネタバレでもなく日本のプロレスファンがカーンへ贈ったリスペクトです。
アンドレは相手のストロングポイントを引き出しながら試合をコントロール。ガンガン撃たせてビシッと1発返す最上級の肉弾戦を構築しました。
NYではカーンにとっても心優しいビッグボスだったアンドレ。
母国でビッグマッチに抜擢された事の意味を誰よりも理解してくれていたのでしょう。
この試合が生涯のベストバウトとされるキラーカーン。
アンドレ采配のおかげとはいえ、過酷なバトルオブスーパーヘビーウェイトを16分やり切った身体能力は驚異的と言えるでしょう。
そしてこの優勝戦はアンドレにとっても日本における名勝負の1つ。自由を与えられた人間山脈が放つポテンシャルは無限大です。

この年の元旦決戦で栄光の「ディファジオメモリアル」WWFジュニアヘビー級王座を手に入れた佐山タイガー。
もうすぐデビュー1周年となるこの日、スティーブライトを相手に5度目の防衛戦に臨みます。
「蛇の穴」ビリーライレージム出身の挑戦者・スティーブライトは英国発祥のランカシャースタイルを継承する超テクニシャン。
その後ろ姿(というか頭部)からそこはかとない貫禄が漂いますが、当時はまだアラサー28歳だったとの事です。
動きが精密すぎてむしろ変則的ファイターの域に足を突っ込んでるスティーブライト。どこがどう痛いんだかよく分からん組体操式レッグロックもお約束の範疇です。
そしてこれら一連のムーブに終始がっちりロックアップしていた佐山タイガー。
「天才」をあらためて証明するパーフェクトな対応力を見せました。
ケレン味のない流れるような名勝負。惜しむらくは佐山タイガーが失敗気味のブロックバスターでフィニッシュしてしまった点でしょうか。
しかしそんな時頼りになるのが解説の東スポ・桜井さん。
「一瞬の電撃殺法」と根拠ゼロの大ボラで佐山タイガーの防衛ロードに華を添えてくれました。

社長不在をカバーして余りある大ブレイクを果たした1982.4.1のキラーカーン。
その後ジャパンプロレス、お笑いウルトラクイズ参戦を経て今は新宿で居酒屋を経営。会いに行ける元レスラーとして活躍中です。
それはともかく「大飛鳥アルバトロス殺法」の語感の良さは抜群。テキサススーパーロデオマシーン等と並ぶ、声に出して読みたいプロレス用語だと思っています。