放送開始から50年を誇る超・長寿番組のアーカイブ企画。
HDDレコーダーのキーワード「勝新太郎」に引っ掛かって録画されていました。
「うん、歌手として唄う事んなっちゃった」と余裕の体で番組ディーバ(当時)星野知子嬢とマッチアップする勝新。
しかし放送当時の昭和57年といえば、借金地獄でブッ潰した”勝プロダクション”のすげ替えとして新生”勝プロモーション”を旗揚げしたころ。
のんきに唄ってる場合じゃねぇ…、債権者達の歯ぎしりが聞こえてくるようです。
「夜はくりかえす」とかいう80s’歌謡史を何回ひっくり返しても出てこないレア曲を熱唱する勝新。
債権者向けの困窮アピールなのか、この日の衣装は草臥れたカーキ色のパーカー。その風情は釣りの帰りにスナック寄って気持ち良くカラオケしてるそこら辺のオッサンと変わりません。
とにもかくにも我らの勝新が気持ちよさそうで何より。貴重なお宝映像を放出してくれた番組大タニマチ「シオノギ」に大感謝です。
さらにこの放送ではビッグスター勝新太郎が霞むほどの歌謡史名場面が連発。80s'にクソガキだった私にとっては感涙モノのアーカイブとなっていました。
80s'のアイコン・松田聖子。名曲「夏の扉」は弱冠19歳のときの作品でした。
「ぶりっこ」「ママドル」というギミックを創出したスーパーアイドルは、度重なるヒールターンを経ながら現在もトップに君臨。
その他大勢の80s'アイドルと絶対に迎合しないガチなファイトスタイルはもっと賞賛されるべきではないでしょうか。
”いわゆる普通の”どころじゃない17歳の絶対女王・中森明菜。
その立ち振舞いのカッコ良さと存在感は、男性アイドルも含め歴代最強クラスです。
90年代以降は長期低迷に入ってしまったようですが、彼女が80s'に残した威光が陰ることはないでしょう。
「なんてたってアイドル」など邪道スレスレのアングルを仕掛け80s'を席巻した小泉今日子。
聖子&明菜がいるトップ戦線ド真ん中では勝負をしない、今思えば実に絶妙なポジショニングです。
しかしこれは彼女にトップ級の実力とセンスとあったからこそ。その後30年に渡る超一線級の活躍がそれを証明しています。
なぜかムード歌謡シフトのチューブに、ボンテージ/モジャモジャ/ド派手という不動の隊列を誇るアルフィー。
両軍とも私が釘付けだった80s'の印象のまま、今だトップランナーとして走り続けています。
特にアルフィーは今年結成40周年だとか…。その芸の力は計り知れません。
スキャンダルを歌一本でチャラにできる超実力者・玉置浩二と、絶頂期はジャニーズ勢を軽く凌駕していたポップスター・藤井郁弥(フミヤ)。
30年後の今見てもそりゃモテるわなというルックス、何と言っても眼力が違います。
2人とも「あの人は今」とは対極の世界に生きていくのでしょう。
そんな群雄割拠の80s'最強の王者は寺尾聡「ルビーの指環」。ベストテンというシステムが生み出した巨大現象です。
当時小学生だった私を含め、歌詞の意味など分かる筈もないクソガキ連中もフルコーラス対応可能。
郷愁を誘うとかとは懸け離れたジャンルなのですが、例のイントロを聴くだけで懐かしい気持ちになれる全世代共通の流行歌と言えるでしょう。
司会者やゲストのコメントが一切無い、実にストロングスタイルで良心的なオッサン殺し番組でした。
まあとりあえず、勝新の「夜はくりかえす」もたまには思い出してみようと思います。