シカゴブルースの父・マディウォーターズが「ザ・チェッカーボード・ラウンジ」で敢行した1981年11月22日のライブ。
翌々年4月に亡くなったマディ・ウォーターズの最後のオフィシャルフィルムだそうです。
ブルースの巨星には甚だ失礼ですが、セットリスト中で知ってた曲は「Mannish Boy」のみ。
オーニングで「どの人が巨星マディだろう?」と探すレベルのブルース無知の私の視聴目的は、途中参戦した元祖不良ロック・RollingStones連中のパフォーマンスでした。(実際、オープニングで巨星は不在。3曲目からの登場…)
時空を超えた愛弟子参戦による奇跡のセッションとして有名なこのライブ。
ストーンズは「ゲスト出演」ポジションだと思っていたのですが、あくまでも彼らは”偶然”お客さんとして入店。ミック他メンバーが、リング上の御大・マディウォーターズに招集されるという「乱入」アングルだったようです。
①入場ゲートにカメラ
「Baby Please Don't Go」演奏中に、なぜか会場入り口にカメラチェンジ。
なぜそこにカメラが?、はプロレスファンならツッコんではイケない常套設定です。
②元祖不良ロック軍団乱入
入り口を抜けてきたのは、ミック&キース&ロニーのストーンズ軍団(+イアンスチュアート)。
巨星の熱唱中に堂々カメラ前を横断。リングサイド特等席に鎮座します。
③ミックジャガー招集
大物「若手」バンドの入店に気付いた巨星は、ドラフト1位でミックジャガーをリングに招集。
ミックは戦闘服・ellesseの上下ジャージで憧れの巨星とのマッチアップに臨みます。
④オイ、キース出て来い!
あっという間にミックジャガーを懐柔した巨星が続け様にキースを招集。
ボトルガブ飲み芸を披露していた不良番長は、輝く少年の瞳でステージに合流します。
⑤巨星&グリマーツインズ夢のセッション
即興が大得意な巨星&グリマーツインズは、さっそく絶妙のセッションを展開。
ただ、せっかく一緒に来たのに呼ばれてないメンバーが…。
⑥「もうひとり」どうすっかな?
ただの酔客に落ちぶれかけた永遠の若手・ロンウッドもミックの気配りで招集。
これで来店メンバーが全てリングイン。巨星vsストーンズのビッグマッチが開始されました。
こうして実現した世紀の競演はわずか数曲。ライブ途中で巨星とミックは客席に移動して、すっかり「お客さん」になってしまいました。ストーンズ系でリングに残ったのはキース&ロニーのリズム隊と、ピアノ・イアンスチュアート。それはそれで素晴らしいセッションだったのでしょうが、フロントマン原理主義の私としては「あれっ?」という展開でした。
あくまでも主役はマディ・ウォーターズ。絶対不可侵の巨星が、お気に入りのメンツを集めて演りたいようにヤるのが当ライブのコンセプトです。
その意味では産業ロックの巨星・ストーンズも単なるパズルの1ピースだったのかもしれません。
ブルース好きにはおそらくマストアイテム。ストーンズ好きにとっても見ていて嬉しくなる大御所依存リラックスモードの貴重ライブ。
お酒を飲みながら見るとすこぶる楽しい。ストーンズがいなければ知り得なかった超大物・マディウォーターズ入門キッカケ編のアーカイブだと思います。